November 02, 2004

アジア子供のいえと図書館・ヴィエンチャン

otukai いま、ぼくはラオスの首都ヴィエンチャンのホテルのベッドで2日目の夜にiBookのキーボードを叩いている。自治労が資金を出して、ヴィエンチャンに多目的小ホールつきの図書館をつくるという計画のお手伝いのためだ。
 自治労は地方公務員の労働組合だが、自分たちの権利の獲得の組織にとどまらず、よりよいコミュニティをつくるための研究や活動をしてきた。そのなかに途上国のコミュニティ作りの支援があるが、そのひとつとして、これまで8年間にわたりラオス、カンボジア、ヴェトナムで「アジア子供のいえ」という施設つくりと運営を資金と人で支援してきた。というはなしをきいてからヴィエンチャンに来てしまうまで、さほどの時が経っていない。

たとえばヴィエンチャンの子供の家は、おそらくかつて住宅として作られた建物を借り、裏庭の一部に鉄板の波板でボールトの屋根をかけて、壁のない小さな体育館のような場所をつくった。
 家の中には小さな図書館がある。壁に鏡を張った部屋がある。民族楽器がある。ぼくがそこを見せてもらったときには、まだ学校が終わっていないから、こどもたちはいない。だが、そこに子供たちがやってきて活気にあふれたときの様子を思い浮かべることは難しいことではない。なぜなら、くりかえし読まれた本や使い込まれた楽器、床のモルタル、チークの寄せ木は、どれもがおだやかにつややかな光を反射しているから、そこで本を読み、楽器を鳴らし、丸屋根の下で踊るこどもたちの様子を思い描かせてくれるのだ。
 本棚には、ぼくの娘たちが小さかったころに読んでやった「はじめてのおつかい」などの日本の絵本が何冊もならんでいる。日本語の文章の上に、ラオ語の文字を書いた紙が貼ってある。自治労の人たちがラオ語に訳した文章を貼ったものだ。ラオ語の本は1年に5、60点ほどしか出版されないので、こういう本がこどもたちには貴重なのだ。

 先日、若井から電話が来た。「自治労がラオスで図書館を作ろうとしている。相談に乗ってほしいことがあるんだが、いま時間はあるか」という。いいよというと、すぐに自治労本部国際局局長の井ノ口さんといっしょに事務所に現れた。
 他の地方に、自治労の支援で独立した図書館を2つ作ったが、来年、ヴィエンチャンに図書館をつくる計画を進めている。ラオスでは多くの施設が設計施工でつくられるので、縁のある施工会社に頼んで基本設計と概算見積をしてもらったんだが、それをチェックしてくれないかというのだった。資料をあずかり、後日、関係者があつまった会議で、このままつくったのでは、せっかくの機会がもったいないからこちらから提案した方がいいということになった。
 そんなわけで、敷地などさまざまな環境を知ること、これまでに自治労の協力で作られた施設の様子を知ること、ラオス側の関係者に計画を説明して協力を求めることなどを目的に、ここまでぼくはやってきた。
 同行者は井ノ口さんともうひとり吉川健治さん。EFA(empowerment for all)の事務局長である。今回の図書館建設を機会に自治労の人たちによってこういう活動を支援するためにつくられたNPOである。彼は学生時代からインドシナ難民の支援のためにタイに渡り難民キャンプなどで活動した。その後、NGOであるSVA(sharanti Voluntier Association)でタイ、やラオスで活動しラオスにも6年間ほど住んでいたから、タイ語もラオ語も使える。

 子供の家を運営するのは、そのSVAである。所長の八木沢さんと川村さんの日本人スタッフが駐在して、ラオス人のスタッフとともに活動して長いから、二人ともすっかりここにとけ込んでいる。そのヴィエンチャン事務所には、やはり小さな図書室があって、こどもたちや若者がやってくる。移動図書館も走らせている。
  あちこちの施設を見たり活動する人や利用者たちや役所のひとたちの重層的で立体的な背景が、ぼくにも実感として分かって来た、ようやく。自治労を通じて日本からの資金や本などの支援をEFA-japanが担い、現地での運営をSVAがおこなうという役割についても把握できるようになった。

投稿者 玉井一匡 : November 2, 2004 11:19 PM | トラックバック
コメント

えっ栗さん
こんにちは。ほんとうに、おもしろいですね。
しかも、井上さんがこのエントリーのコメントに書き込んでくださったおかげで、ぼくもしばらく読んでいなかった、このエントリーを読み返しました。もともといのうえさんは、自分のブログを持たずに、いろいろな人のブログを巡ってコメントを書き、いつのまにかブログのネットワークを広げるというのを得意にしていた人です。だから、こういうことを引き起こす名人なのです。カフェ杏奴のこともあちらこちらにひろげるので、カフェ杏奴の営業部長と、仲間内では言われているくらいでね。
ラオスのことは日本ではあまり知られていないので、書きたいことはたくさんあります。妹さんともども、ときどき合いの手を入れてください。もし、ふるいエントリーを掘り起こしてコメントをしたくなったら、どうぞ書き込んでください。

では、妹さんが帰国なさったら、カフェ杏奴でお会いしましょう。

Posted by: 玉井一匡 : January 23, 2008 02:04 PM

玉井さん初めまして、ブログ訪問ありがとうございました。妹からメールが来て、今もお仕事で関られてるとの事、不思議な縁の繋がりに驚きました。
妹が帰国の際に、是非井上さんもご一緒にお会いする機会があれば嬉しいです。
未だラオスの記事近辺だけですが、ブログをじっくり拝見中です。今後もちょこちょこ遊びにこさせてください!!

Posted by: えっ栗 : January 23, 2008 07:57 AM

いのうえさん
おどろきました。
あそこで働いていらっしゃる日本人はひとりだけですから、存じ上げています。ラオスでも日本でもお会いしています。
さっそく、このブログサイトをちょっとのぞいてみました。まだ、コメントは書きこんでいませんが、スウェーデンにいらしたことなども一致するし間違いありません。
どうも、いのうえさんとぼくは、赤い糸で結ばれているようですね。

Posted by: 玉井一匡 : January 21, 2008 12:26 AM

玉井さん 掘りおこしましてすみません。
実は私とブログでつながりのある方の妹さんが ラオスの図書館にいる事が判りました。
下記がそのブロガーさんのエントリーです。

http://blog.goo.ne.jp/snowkamakura/e/9e829d109b24dfc95909a80341162062

玉井さんのエントリーもご紹介しています。 

Posted by: いのうえ : January 20, 2008 11:48 PM
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