January 20, 2005

モーターサイクルダイアリーズ

che.jpg 昨年の誕生日に、娘がチケットをプレゼントしてくれたのだが、グズグズしてひと月以上も行けなかった「モーターサイクルダイアリーズ」を、やっと見ることができた。
 大晦日に初詣にゆくの車の中で、J-WAVE恒例・沢木耕太郎のミッドナイトエクスプレスというディスクジョッキーでこの映画のことを話していときには、聞かないようにやり過ごした。正直に言って原作の翻訳「チェ・ゲバラ モーターサイクル南米旅行日記」からは、なんにも感動を引き出すことができなかったけれど、映画は期待した通りに原作の翻訳よりもはるかにいい。そういう意見は、以前に僕の書いたエントリーにトラックバックされたblog「40歳からのクローン病」にも書かれていたが、ストーリーを知っていながらも、映画には胸を打たれた。

 たくさんのひとたちのエルネストに対する愛情のこもった表情が生み出すものに、ぼくは心を動かされたのだが、それは演技によるものだけでなくて、きっと南米の人々のゲバラへの敬愛から自然にみちびきだされたものなのだろう。
 終映後のロビーに、主演のガエル・ガルシア・ベルナルのインタビュー記事が張ってあるのを見つけて、映画館の館員が後かたづけを始めるまでそれを読んでいた。
「メキシコでは、ゲバラのことは学校でも教わるし、みんな尊敬しているんです」
メキシコはトロツキーが亡命していて暗殺されたところでもあるし、ゲバラがカストロに会ったところでもあるのだから、それも当たり前かもしれない。カンヌで、この映画以上に評判の高かった「華氏911」についてさえ、「アメリカ(合衆国)の中の選挙のために作られた映画にすぎない。ほかの国では、誰でも知っていることを並べただけの映画だ」と言い、かつてF.L.ライトに美術館を設計させたグゲンハイムは、この映画の中で先住民たちにひどい労働をさせていたチリの鉱山の持ち主だったことも指摘していた。そんなことを、ぼくはまったく知らなかった。
 映画は数カ国を移動する旅なのに、どこでもスペイン語で言葉が交わされ人種の構成も似かよっているし、国境を越えていることがあまり感じられない。むしろ、人間は国境よりも階層や人種によってできているレイアで分かれていることを、この旅でエルネストは実感したのだろう。国境についての意識には、外の人間にはなかなか理解できないものが潜んでいるはずだが、ぼくたちが「アメリカ」というとき、それはアメリカ合衆国を意味するけれど、じつは南米でアメリカといえば、南米すべてと「アメリカインディアン」を意味するのだろうと、今頃になってぼくは思う。

投稿者 玉井一匡 : January 20, 2005 02:32 AM | トラックバック
コメント

 秋山さんが、ここに、何かな?と思って開いてみました。
そうでしたか。いい映画ですよね。いろんな意味で。
今月、塚原夫妻はキューバにいくんですよ。ちょっとうらやましいですが、囲碁の指導でいく一行に便乗というかおつきあいというか。
今日は、外出するのですが、帰ったらアルゼンチンのことをエントリーしようと、ちょうど思っていたところでした。

Posted by: 玉井一匡 : November 7, 2005 11:25 AM

実は、私め、モーターサイクルダイアリーズを見ていなかったのです。

最後の機会であったギンレイホールも見逃し.....というわけだったのですが、昨日、レンタルビデオ店から DVD をレンタルし、見ました。
いい映画でした。旅行が始まり、そして終わり、ちょっと、涙が......でした。

Posted by: AKi : November 7, 2005 08:51 AM

玉井さん、こんにちは

TBありがとうございますm(_ _)m。ついに見に行かれたんですね。

>ストーリーを知っていながらも、映画には胸を打たれた。
そうなんですよね。ストーリー自体は凄く単純なのでやはり演出、演技の力が凄いです。それにマチュピチュを始めとして、南米大陸が凄く綺麗に描かれてますよね。以前ペルーには旅行したことがあるのですが、また南米を旅行してみたくなりました。

>主演のガエル・ガルシア・ベルナルのインタビュー記事が張ってあるのを
この映画を見るまでガニエ君のことは全く知りませんでしたが、非常にしっかりした人みたいですね。これから楽しみです。

Posted by: くろーん40 : January 20, 2005 09:07 AM
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