February 04, 2005

映画ポスター・スチール写真展:アーク灯の映写機

nishizakiprojecter2S.jpgClick to PopuP

 なかのZEROの廊下で、前日に函館からワンボックスを連れて大洗にフェリーで到着していた移動映画館の西崎さんとすれちがった。
初めて会ったというのに、こちらは以前から写真を見ているので顔はわかるので、つい「こんにちは」と挨拶をしてしまった。
すると、西崎さんの方もずっと昔からの知り合いのように、うれしそうに「こんにちは」と返してくれた。 
西崎さんの映写機を見ると、熱を逃がすための煙突がついて、さながら「ハウルの動く城」みたいなようすをしているから、これはなんですかどう使うんですかと、西崎さんが組み立てている最中なのに機械について聞きたいことがいっぱいある。ちょっと質問をすると、西崎さんの胸の中にも伝えたいことがいっぱいにあるものだから、次から次へと気持ちをつれてことばが溢れ出てきてとどまるところを知らない。
いかにも映画への愛情がほとばしるのを抑えきれないという様子だ。

 映写機のうしろ半分を占める蒸気機関車の胴体のような部分のふたを開けて、仕掛けを説明する。
銅で包まれた炭素棒を2本近づけて、その間に50~70ボルトの低い電圧をかけて放電させる。それが放つ光で映画を映すのだ。炭素は、徐々に焼けて短くなってゆくので、のぞき窓を見ながら手動で2本の棒の距離がはなれすぎないように調節するのだ。1本が、およそ2時間保つ。ギンレイでも、15年くらいまでは炭素棒を使っていたがその後クセノン電球を使えるように映写機を改造した。その映写機もすでに次代にゆずって、ここに展示されている。
 西崎さんは映写機を1台で映写するから、フィルムの1巻が終わっても他の映写機に取り替えるということができない。だから、映写しながらフィルムをつながなければならない。残り少なくなったフィルの終わりの方をリールからはずして、つぎの1巻の頭を貼り合わせるのだ。前に進んでゆくフィルムがなくなる前につぎのフィルムの準備をおえなければならない。その時間をかせぐために、のこりのフィルムを床の上に広げておく。それが写し終わる前につぎの1巻を前のフィルムに貼り合わせリールを映写機に取り付ける。なんという大変な作業だ。

 北海道は広いから毎日いえに帰るわけにはゆかない。一切の機械と道具を積んだワンボックスの中で泊まるけれど、機械がいっぱいのせてあるし、そばで眠る方がずっと安心なんだと言う。どれもこれも大変な苦労だろうが、それでも映画の話をする西崎さんの顔は、とにかくうれしそうだ。
現役のこの映写機はこれ一台だけ、だから使っているのは西崎さんただひとり、「炭素棒は、私の持っているものしかない。あと10年ぶんは保つよ」と笑った。
10年後、西崎さんは87才になる。
     Click image to pop up.

投稿者 玉井一匡 : February 4, 2005 12:31 AM | トラックバック
コメント
コメントする









名前、アドレスを登録しますか?