February 10, 2005

くらら劇場の映写機

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 ギンレイホールの「映画ポスタースチール写真展」の終わった翌日、加藤さんから電話があった。明日、くららの映写機を取り外すそうだから、映写室を見に行きませんかというのだった。くららというのはギンレイホールの地下にある「大人の」映画館で、この館主は加藤さんではない。本当は、ここもギンレイホールにして、インディの映画なんぞを細々とでもいいからやるところにしたいというのが加藤さんの望みなのだが、なにさま施設が古いものだから館主がかわると、もうあらためて許可をとるのがむずかしい。名目上の館主は現在のままでいいから演しものをウチに任せてくれないかと話をもちかけたが、こういう映画館が少なくなってフィルム屋さんも苦労しているから、昔からのつきあいを考えるとこれをやめるわけにはいかないんだと言われたそうだ。
 毎日、この映画館のすぐそばにいながら、ぼくは一度も入ったことがなかったので、二つ返事で加藤さんにお願いして見学させていただいた。

 階段を下りてゆくと、突き当たって左に切符売り場、「料金900円7時以降600円」とある。せんべいは、ひと袋100円だ。
「ご注意」と書かれた額には「つぎの行為を禁止しております」として3項目が書かれている中に「女装の方」とあるのをみて笑いがこみ上げる。ちなみに、他のふたつは「猥褻な行為をしている方」と「他のお客様にご迷惑をおかけする方」だ。
切符売り場の向かいにある客室への入り口を入ると、そこはスクリーンの脇なので、いきなり観客たちに正面から向かい合うことになる、意外なレイアウトにおやと思う。でも、上映中はきっと観客の顔はみえないんだろう。
暗い、古い、しかし観客も映画もないのに、とても魅力的な空間だ。
工事中なので灯りがついているにもかかわらずそれでも暗いから、そこここに反射したささやかな光がとてもたいせつなもののように感じられる。映画館は光を貴重なものに感じさせる仕掛けなのだ。
    奥には廊下を挟んでトイレの向かいに映写室があって、機械の解体の準備に余念がない。ここには2台の映写機がならんでいる。教訓の書かれたカレンダーや世界地図が壁にある。
 廊下には積み重ねられたフィルム。廊下のさらに奥は床が2mほど低くなっていて古い鋳物のボイラーが、かすかな光をうけて黒く光っている。
突き当たりのドアをぬけて階段を上ると、ビルの裏口に通じるはずだ。ニューヨークだったら命の危険を感じないではいられないようなこんなあやしい、しかし魅力的な空間が、日頃しごとをしている場所のすぐ下にあったことに、ぼくはちょっとした感動をおぼえた。

投稿者 玉井一匡 : February 10, 2005 04:32 PM | トラックバック
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