March 05, 2005

イームズ展

土曜日の昼前にチャールズ&レイ・イームズ展に行って、ぼくはとても気持ちよく帰ってきた。
 近頃はイームズが人気なのだそうだが、そのわりには土曜日の昼すぎという時間帯にしてはすいていて、ゆっくりと見ることができた。人気が「イームズ」をブランドにしてしまわないように、この展示はイームズ夫妻の考え方見方を伝えることに重心を置いたからなのだろうか。

 どんな些細な身近なものの中にも美しさがあり、宇宙を含めた世界を理解する鍵が潜んでいることを、イームズは表現し伝えることができた。「Pwoers of 10」では、ミシガン湖とおぼしき湖のほとりでピクニックをたのしむ二人をとっかかりにして、十億光年の単位(10の+21乗)の宇宙からオングストローム、もっと小さいフェルミ(という単位があるのも知りませんでした)の単位の原子核(10の-18乗)まで、わずかな時間の映像で10倍ごとにスケールを表現してみせた。だから「10の力」なのだ。

  ぼくがイームズの椅子を世界観や生き方と結びつけて考えられるようになったのは、川合健二の自宅にイームズのラウンジチェアとオットマンがおかれ、外にはベンツのトラックとポルシェが置かれた写真を見て、オフィスの役員室や金持ちのリビングルームのための椅子ではないことを知ったときからだったのかもしれない。この椅子の原型になった、合板の椅子も展示されていた。この椅子の方が、ぼくは惹かれる。

 ある会議で同席したイームズ夫妻を、チャールトン・ヘストンが描いた鉛筆のスケッチがあった。イームズがヘストンを描いたのかなと思うくらいのもので、となりに並んでいたイームズによる他の人のスケッチよりもむしろいいくらいだったから、「ボウリング・フォー・コロンバイン」にあらわれた時の情けない様子のヘストンを、ぼくはちょっと見直した。そう思ってみると、アメリカの銃を保有する権利というのは「革命権」を認めることなのだときいて感心した高校時代のことも思いだした。
大丸ミューシアムで3月14日(月)まで

投稿者 玉井一匡 : March 5, 2005 04:39 PM | トラックバック
コメント

 成形合板による副木は、今回の展示にもありました。脚の長さの違いにはどうやって対応するのだろうかという疑問を残しますが、木製であるおかげで暖かみがあります。その曲面をつかって、レイ・イームズは彫刻にしてしまったという茶目っ気も見られます。
ヒーター付きの拷問用椅子のようなものも展示されていましたが、それが椅子の成形合板をつくるための「カザム!マシン」というやつで、スイッチを入れるとアパートメントのヒューズが吹っ飛んだそうです。
 雑誌については、ぼくだって30年くらい前からそういう状態だったんだから、学生たちがいわゆる建築雑誌よりもカーザブルータスなどに流れるのは当たり前。内容が濃いし安いしカラー写真も多いんだもの。そうなると、クライアントと同じ情報を共有することにわけだから、一種の情報公開のもとでの実力勝負はいいことではないでしょうか。

Posted by: 玉井一匡 : March 8, 2005 09:08 PM

今日8日の昼、行ってきました。
このコメント欄で話題になっている、成形合板の「副木」は、イームズの最重要な作品(製品というべきかもしれませんが)ではないかと私は考えています。

Posted by: 秋山東一 : March 8, 2005 08:20 PM

いのうえさん こんにちは。
それは負傷兵の運搬にも使える、脚を固定する成型合板による添え木です。
2001年の東京都美術館のイームズ展に現物が展示されてました。

造形大の教授も言ってましたが、最近の学生の情報源はカーサ・ブルータスが一番で、他の専門的建築雑誌を読む学生は少なくなっているということです。

Posted by: iGa : March 8, 2005 09:25 AM

玉井さん こんにちは。 14日まで大丸ミュージアムにてですね。 何とか時間を作って行きたいものです。 イームズは 以前雑誌 カーサにて特集をやってましたね。 彼らの合板製品の最初のものは軍需用だったようなおぼろげな記憶がありますが・・・

Posted by: いのうえ : March 7, 2005 11:27 PM
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