March 22, 2005

ビールのキャップと屋根

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天井に張ってあるは段ボールに、ビールのキャップがついている。ここではただ一つのブランドなのだろう、どこにでもある「ビアラオ」だ。見回せば、あちらこちらに段ボールに食い込んで並んでいる。ヴィエンチャンのモーニングマーケットという大きな公設市場の、中心をちょっとはずれたところに2メートル足らずの低い天井の一画。これは何なの?と訊きたいが言葉が通じない。

通路の向かいの店は英語のメニューもあって、ヨーロッパ人とおぼしき客も少なくないが、そうでない方がおもしろそうだと思ってここに入ったんだからしかたない。親子3人連れのとなりの客は、そばを食べていたらこれを入れるんだと、青い唐辛子のいっぱい入った丼をよこしてくれた。友好的ではあるが英語は通じない。
 二回目のヴィエンチャンに着いた日曜日、初めて一日中ひとりで歩ける自由な時間ができたので、まずはモーニングマーケットに向かった。大きな屋根が3つならんでいる周りに、車がぎっしりとつまっている。昼過ぎになっていたから、まずは腹ごしらえをしたいと店をさがすと、前回に連れて来てもらったときにはナマズや鶏やさいの目に切った血の塊なんかをならべでいたあたりが、大部分は食べさせる店になっている。そこは大きな屋根の下でこの中の正式な場所らしいが、その一角を通り過ぎたあたりは、天井が低くてなんだか落ち着きそうな店だった。段ボールの天井の上には亜鉛鉄板の波板である。断熱材として段ボールを鉄板に固定するのにビールのキャップをつかっているようだ。

 翌日、別の店でそばを食べているときに、鉄板の屋根については別の話を聞いた。昨年の11月にASEANサミットが開かれたときのこと、会議の始まる3日前になって、突然お触れが出た。歩道沿いの店の多くが鉄板の下屋をつけてテーブルを並べていたのだが、その屋根を撤去しろと言う。それにはみんな大ブーイングだったそうだが、なにしろここは一つしか政党がないくらいのところだから、渋々したがったそうだ。ぼくが行ったときには、屋根は折りたたみ式のテントに変わっていた。
 ASEANサミットの時には、そうとう肩に力がはいっていたんだろうが、もうひとつ政府が見栄を張って市民が苦労したことがあった。こちらでは学校や役所では、長い巻きスカートをはくことになっているのだが、サミット中にはヴィエンチャン市内の女性はみんな巻きスカートの着用が義務づけられて、中には、その場で店に連れて行かれ巻きスカートを買わされた人もいたという。

そんな強引なことをやっている割には、まあしょうがないかという雰囲気のようなのが、このまちの不思議なところだ。ここの人たちの生来の陽気なところと、政府の強引なやり方のおかげでいいこともあったからなんじゃないかと思う。かつてここは、ドラッグとセックスの町と言われていたそうだが、いまではまったくそんな面影がない。まちに立っている女も薬はいらないかなんて訊いてくる男もいない。それでも、そばを食べているテーブルの脇に子供がやってきて手を伸ばしてきた。
「観光客が増えるとつい1ドルくらいと思ってやっちゃうんですが、かわいそうだけれど、別の形で助けてやるようにしないといけないんです。公務員の給料が15ドルくらいだったりするから、物乞いをするほうがいいと思ってしまって、そのままはたらこうとしなくなる」と、SVAの川村さんが言う。ビールのキャップのことは聞き忘れた。

投稿者 玉井一匡 : March 22, 2005 07:48 AM | トラックバック
コメント

いのうえさんありがとうございます。ナ・ル・ホ・ド間違えてるってんで、すぐになおしました。
ぼくのようなそそっかしいやつにとっちゃあ、いつでも誤植を訂正できるblogってのは便利です。(註)これは、internet guest houseってとこで書き込んでいますが、Mlle someoriの個展があるよなんてことを、異国で言われて、おはるさんの個展もあるなんておもいだすと、やっぱりいまでも、時と場所を飛び越えるblogに不思議な気がします。
こちらの設計事務所と打ち合わせに来たのですが、やはり隔靴掻痒というおもむきで、精神衛生上は必ずしもよろしくないです。

Posted by: 玉井一匡 : March 22, 2005 11:27 PM

玉井さん、ちくわじゃなくて な・る・と ですよ~  さてラオスのお仕事 もしかしたら 玉井さんのライフワークになる予感が ・・・ って勝手に妄想したりしておりますが どうなっていくんでしょうか、 とても楽しみです。 でも帰ってきてくださいね! 明日から江古田でそめおりさんの春の第一回目の展示会ですよ~

Posted by: いのうえ : March 22, 2005 10:50 PM

 ナルトは放り投げるだけでくっつくだろうけれど、こいつは簡単じゃないだろうな。ほかのところでは、立木の表面にビールのキャップがいっぱい埋め込まれているところがありました。そっちのほうがなんだか分からない。

Posted by: 玉井一匡 : March 22, 2005 08:05 PM

私の高校では、皆がラーメンやうどんのナルトを放りあげるので食堂の天井はナルトだらけで、いつ落ちて来るか分らず、安心して、御飯も食べられませんでした。

Posted by: kawa : March 22, 2005 04:24 PM
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