July 27, 2005

アメリカンチョイス

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 この本は、雑誌「PEN」の書評で青山南が取り上げているのを見つけた。それが可能な環境にありながらブッシュという人は、大統領になるまで一度も外国に行ったことがない。自分の住むテキサスの隣国メキシコも例外ではなく、彼には他者に対する関心というものがなく、想像力がとぼしいからなのだという発言を紹介しているのにひかれたのだった。「アメリカンチョイス」とは、昨年、アメリカ人が大統領を選んだときの「選択」のことだなのろう、同時にそれは、アメリカの国民が選択した4年間の未来でもある。
 星条旗をもとにした表紙に赤い腰巻きをつけると、表紙デザインと書面のレイアウトは、中味の安っぽい本のように想像させるが、じつはすこぶる内容が濃いうえに読みやすい。腰巻きを外せば、表紙の印象も向上する。
アメリカ在住20年の英米文学批評家、翻訳家、新元良一氏が、アメリカの20人の物書きにインタビューしたものだ。新元氏が共感するこの20人にたいして、ほぼ同じ質問をする。

1)9.11のとき、どこにいて何をしたか、どう感じたか
2)ブッシュをどう考えるか
3)イラク侵攻をどう考えるか
 これらのインタビューは大統領選挙の前と後にまたがっているので、2)については前と後で訊き方がちがっている。選挙前には「誰を大統領にしたいか」だが選挙後には「ブッシュが大統領になったことをどう考えるか」である。
じつは、ぼくはこの人たちの本はどれも読んでいない。著者は、もう一人、話をききたいと思っていた人がいたが、体調がよくないのでちょっと待って欲しいと言われ、結局はガンで亡くなってしまい、話をきくことができなかったという。スーザン・ソンタグだ。ぼくが読んでいるただ一人のひとだけ、話をきくことができなかったわけだ。彼女が書いて9月24日にニューヨーカーに掲載された文章と彼女自身が袋だたきにあっただけに、なおさら彼女の意見を聞きたかったのがなにより残念だ。
新元氏が共感を持っている人たちを選んでいるからだろう、このひとたちの基本的な立場は共通している。だから、だれが何を言ったのか、いまぼくは正確に記憶してはいないけれど、このひとたちの集積がひとりの人格を形成したとしても、決して不自然ではないくらいの共通する思想領域をもっている。

 この20人すべてがブッシュを大統領にすることに否定的で、イラク侵攻に反対している。だからアメリカの物書きの一般を示すわけではないのは間違いない。
 とはいえ、かれらは決して極端な思想の持ち主ではなく、むしろまっとうな意見を述べるにすぎないが、メディアに意見を表明できる機会がこのごろ減っていると多くの人が指摘している。アメリカではまっとうな意見が排除されようとしているのだ。メディアの自主規制的な戦時の言論自粛なのか、はたらきかけのようなものがあるのだろう。
就任演説の中で三十数回も「自由」を声高にさけんだというブッシュのもとで、ほかならぬ発言の自由がせばまっているのだ。平和のためといって軍事力が強化されるように、自由の名の下に他者の自由が抑圧される。このことから、世界中の他者の自由を自分たちにとっての自由の支配下に置こうというのがグローバリズムであることが、よくわかる。
 複数の自由がかさなりあいながらほかの自由を尊重しつつ共存する自由の市場(いちば)、「共通性なきコミュニティ」を困難を承知の上でつくることが、ぼくたちのめざすべきものだと確認できる。アメリカ合衆国はそれをめざしていたはずではないかと、この20人はみな言いたいのだ。

投稿者 玉井一匡 : July 27, 2005 06:31 AM | トラックバック
コメント

さきほど、この本を、このエントリーから amazon に注文しましたが、Amazonギフト券を使ってしまったから.....かもですね。

Posted by: AKi : July 27, 2005 10:58 AM
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