July 30, 2005

根津・谷中 界隈探検

この夏でも屈指の暑さの中、Kai-Wai散策のmasaさんに先導されて、aki's STOCKTAKINGのaki氏とその病友Tuk氏とともに4人のおじさん探検隊が根津谷中の界隈に散在する古い長屋や商店を探検した。千代田線根津駅前に集結してさほど歩きもしないのに曙ストアなどを見たあたりで、一同まずはそばを食いたい気分になった。予定通り鷹匠の暖簾をくぐる。初対面に近い顔合わせが多いのに自己紹介もほとんどいらない。blogのおかげだ。 冷たいそばと温かいつゆという鴨せいろの逆説的な食べごこちも手伝って話がはずんだ。

AppleⅡもモールトンの自転車もBe-h@usもBlogも、ぼくは面白いものを見つけるとオルグして仲間をつくってしまうんだと、masaさんに向かってAkiさんが自説を展開する。これはもちろんBlogのときも同じだったよということなんだ。Blogはそれ自体がオルグによるオルグのためのメディアではないか。Akiさんは、モノを通じて世界を見るという、自分の視点を公開するだけでなく、それらをモノと思想のセットにして積み重ね残してゆこうとしている。それが、さまざまにネットワークとして構築されてゆけば、きっと少なからぬ力を持つだろうと僕も思う。この探検をもちかけた相手のmasaさんは、自分の生活圏の周囲を歩き回り写真を撮る。だから、こまかに、そして繰り返すことができるから時とともにまちが変化を強いられる様子もわかる。そこは、東京の中では空襲の被害も少ないところだったので、けっして立派なつくりとはいえない庶民の家が小さな路地に軒を接して並ぶまま残されていた。そのような、いまにも消え去りそうなまちの風景を、彼はBlogという引き出しに残そうとしている。これは、だれでも覗ける引き出しなのだ。まだBlogの野に足を踏み入れていないTuk氏が、来年から引き出しに何をいれるのを楽しみにしよう。
そんなことを話したり考えたりしているうちに、この店が朝の七時半から開けるのはなぜなのか尋ねるのをすっかり忘れてしまった。このあたりのむかしの蕎麦屋は、根津遊郭の帰りの客があさの腹ごしらえをしていたんでね・・・とか、職人が多かったから、昔は出がけにそばを・・・なんていう説明を期待していたのだったが、そとに出ると、いつのまにか日差しはやや横から少しやさしく差していた。近くには、10年ほど前にぼくたちの事務所で設計して、町工場を改装し店と住まいを上下に重ねた「根津くらぶ」がある。ひさしぶりに行ってみると、となりにあったうどん工場が壊されて瓦礫が広がっていた。おかげで、図面でしか見ることのかかった立面があらわになったのは思いがけない発見だったけれど、前提としていた風景がすっかり変わってしまったことに、内心では動揺があったかもしれない。

細い路地には日が射さなくなる頃まで根津と谷中の探検を続けた。masaさんとまちのひとびととのやりとりは、まちに張り巡らした根のひろさと深さを感じさせる。昨日も、古い建物が壊されてゆくんのをなんともしようがないんだという嘆きと憤りを松戸できいた。松戸でもそうだが、川口の知人が相続で立派な構えの大きな商家と土地を手放さざるをえなくなり、買い手は古い建物などなんの未練もなく壊してしまったという。根津・谷中でぼくたちが見てまわった長屋などは立派な造りではないからつぎつぎと壊されて、おそらく10年もすればすっかりなくなってしまい、その後にはマンションが建ってゆくのだろう。昔のいえは、同じような材料をつかいながら、それぞれのまちがそれぞれの表情を持っているのに、新しくなるとどこも同じようなまちになってしまうのはどういうわけでしょうねというmasaさんの疑問は、ぼくも同じだ。きっと、長い時を経るあいだに、そこに生きるひとたちが切実な思いから手を加えてきた結果として生じたまちのありようは、場所のもつ力が人間に影響を与えたからなのではないだろうか。こういう建物を懐かしがるばかりじゃなくて、使えるようにして生かしてやりたいですねなどとmasaさんのblogに書いたのは1、2週間前にすぎない。もちろん丁寧に手を加えられて昔の様子がそのまま残されているたてものを見るのはうれしいのだが、無人になった長屋や住居が残されているのも、過ぎ去った時間がそこで凍結されたようで、解体を近くに控えた風景のあやうさと諦めなんだろうか、特別の思いを抱かせる。masa さんはそこにも惹かれているのかもしれない。
 とはいえ、その後には、すくなくともこれまであったものよりもいいもの、いい場所をつくるということが、すくなくとも越えなければならないハードルだと肝に命じたい。

投稿者 玉井一匡 : July 30, 2005 05:13 AM | トラックバック
コメント

Tukさんは ブログなさらないんでしょうか?
なんかとても楽しみなのですが・・・

Posted by: いのうえ : July 31, 2005 01:15 PM

玉井さん、先日はお時間を割いてくださいましてありがとうございました。僕は、町を、単に、手をこまねいて見ているに過ぎませんが、玉井さん、秋山さんは、町に関与し影響する、という観点からご覧になっているのですね。その意識の違いというものが、同じ対象を眼前にしても、見て取るものを別物にしてしまうことがあるのだ、ということを感じました。それが具体的に何なの?と問われると答えに窮しますが、抽象的に言えば「皮膚を通して骨格をご覧になっている」ということです。しかし、僕にはそれは無理です。したがって、「骨格をうかがい知れる皮膚を撮る」ことにつとめるのがせいぜいかな? しかし、それも難しいぞ、などなど、いろいろ考えさせられています。
でも、実のところ、想像以上の、とてもの楽しい時間でした。大変ありがとうございました。

Posted by: masa : July 31, 2005 04:39 AM
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