October 15, 2005

DAY INN HOTELの人なつこい犬

 
 デイイン ホテルのロビーと続く食堂に人なつっこい犬がいる。ときにドアの外にも出てゆく。日本で大流行りの長毛のミニチュアダックスのようでもあるが、それにしては足が長いから雑種なのだろう。客が階段を下りてくると、ゆっくりとそばにやってくる。愛想を振りまくわけでもなくえさをねだりもしない。すこぶる自然に客のかたわらにやってくるので頭をなでてやると、冬の日ざしのような穏やかなよろこびをあらわす。ほかの客にもひとしく挨拶に行くが必要以上になれなれしくしない。

 朝食は、ブッフェ形式ではない。パンとサラダ、もしくはおかゆの4種類の中から選ぶのだが、ぼくはチキンのおかゆをたのんだ。メニューの写真には、参鶏湯のように一羽分の鳥が胸を張っているが、まさか朝から鳥一羽じゃないだろうなと心配していたら、塩味のスープのおかゆにトリの胸肉の細切りが浮かび、水面下に卵の黄身が潜んでいた。迷った末に、ぼくは卵を崩さずにそのままにしておいたから、最後に半熟になった。
 大きなマグカップのコーヒーを飲みながら、ぼくは本を読みつつときどき彼を観察していた。大理石張りの床に長くなって寝ている様子は、南国でのタイルや石の床の心地よさを背中で語っている。客室の床はやはり人研ぎのタイルがはってある。ぼくは裸足がすきだから、ひんやりした床がことさらに気持ちいい。
 やがて、ひとり若い女の客の朝食がくると、彼女はパンをちぎってやった。もらえばよろこんで食べるが催促もせずガツガツ食べることもない。よその犬ながら珍しく思想のある犬に会って、ひとに伝えたくなったことがなんだかうれしい。ぼくは犬党だから、猫のことをエントリーする人を、これまでうらやましくながめていたのだ。

投稿者 玉井一匡 : October 15, 2005 01:02 AM | トラックバック
コメント

いやあどうも。そんな雰囲気なのでしょうか。今日は早起きして散歩してきました。やはりくつろいじゃってるのかもしれませんね。

Posted by: 玉井一匡 : October 15, 2005 12:01 PM

同窓生諸君、結構な距離をものともせず、くつろいでおられますね。
これも又、ネットが作り出した世界、なんとなくほほえましく、一言いいたくなりました。

Posted by: AKi : October 15, 2005 10:09 AM

 どうも、その穏やかさが、この国の経済的な「発展」には邪魔になっていると、日本の政府機関などには考えられているようです。ぼくから見れば、それはむしろ外国からの客にとっては魅力になると思うのですが。

Posted by: 玉井一匡 : October 15, 2005 06:51 AM

玉井さん、文章からも、その「穏やかさ」伝わってきます。そして、ひとときでも、その「穏やかさ」に包まれた時間をお過ごしの玉井さんを羨ましく思います。お仕事でお忙しいことは棚上げにして…(^^; お帰りをお待ちしています!

Posted by: masa : October 15, 2005 04:07 AM

この国を愛する日本人のだれもが、インドシナの各国の中でもここのひとたちはとりわけ穏やかだといいます。そういう中で育った犬は、やはりこういう振舞をするようになるのでしょう。

Posted by: 玉井一匡 : October 15, 2005 01:55 AM

玉井さん こんにちは! こういった ゆっくり経過する時間の中で 食するお粥はおいしいだろうなあ、と思いながら半熟になったタマゴの味まで想像してしまいました。 私も犬党なのですが、 このような優雅な環境の中では
犬も思想を持ち得るのですね。 

Posted by: いのうえ : October 15, 2005 01:35 AM
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