February 20, 2006

緑のどこでもドア

 丸の内の工事現場、仮囲いのフェンスの一部に正方形の緑がはめ込んであった。近づいてみるとツゲの苗のような小さなやつがびっしりと鉛直面に植えてあるのに、水平面にあるように枝も葉も平然と整然をまもっている。まだ2年くらいはかかりそうな現場だが、それでも仮設の期間ならこの状態をまもるのだろうかと、感心しているときに気づいた。コートのポケットから携帯電話を取り出すと、緑のランプが点滅して着信があったことを知らせている。この何度かの週末、東京ステーションギャラリーの「前川國男展」と京島のLOVEGARDENに行きたいと思いながら、実現できなかったけれど、気持ちよく晴れた冬の空と残り1週間になったい会期に後押しされて、両方とも行こうかと思い立ったのだが、LOVEGADENは京島の迷路の中にあるから案内するとmasaさんが言ってくださるので、当日になって電話するのは申し訳ないけれど、もし都合がよかったらどうだろうと携帯に電話をかけたのだが4回鳴ったところで電話を切り、彼の都合次第に委ねたのだった。

 あわてて携帯を開くと案の定、masaさんからだった。着信記録でぼくからの電話だと知って、LOVEGARDEN行きを予想して、すでにそちら方面に向かっているという。「ほんとなの?」合わせてくれたのではないかと、ちょっと気になったが素直に話に乗ることにした。なんのつながりもない前川國男展とLOVEGARDENだったけれど、ステーションギャラリーから前川さんの設計された東京海上ビルを見に行ったあと駅に戻る途中、不思議な植物を見ているときに連絡をできたことで、この緑の正方形がガーデニングのお店に行くための「どこでもドア」だったような気分になった。「緑のどこでもドア」は、近寄ってみるとプラスティックの箱を覆った黒いシートを抜けて顔を出した苗たちの集合なのだ。もちろん上に向いて伸びて行きたいのだろうからちょっとかわいそうだが、ソニービルが得意になってディスプレイしていた松の磔よりは罪がないな、などと思いながら日本橋をめざして歩きはじめた。LOVEGADENの最寄り駅曳舟は都営浅草線で一本だ。曳舟とは、考えてみればすてきな地名だ。こどもの頃、遊びの縄張りからすればずっと遠くに「こまつなぎしょうがっこう」というのがあったけれど、大人になってからそれが「駒繋小学校」であることを知ってすっかりうれしくなったことなどを思い出した。

投稿者 玉井一匡 : February 20, 2006 06:55 AM | トラックバック
コメント

LOVEGARDENの入り口の両脇に、空に向かってネジが、あるいは空にしっぽを向けたヘビがいるでしょ。シザーズハンドがつくったのでしょうね。

Posted by: 玉井一匡 : February 20, 2006 11:29 PM

いづれこの建物の植栽に使うというのは最高ですね!是非、LGにご依頼願いたいところですが…(^^; あと、ネジをつくっているというのは…?すいません、思考回路が鈍いもので(^^;

Posted by: cen : February 20, 2006 07:14 PM

cenさん、yukiりんさん、ありがとうございました。
この「どこでもドア」は、この現場では工事中の期間限定とはいえ一種の壁面緑化ですよね。ぼくも、じつは壁面緑化につかえるかなと、すぐに考えました。しかし、いずれこの子たちは上を向いて延びていくんじゃないかと気になりました。それとも、こいつは、そんなことはないいんでしょうか。毎日90°ずつ回転させたりしてるのかもしれませんね。たとえば、工事中はこうやって仮囲いに使い、いずれはこの建物の植栽に使うということにすれば、いいですね。そんなことを考えると、ソニービルとはまったく違うんだ。枝の向きを変えるのなら、盆栽のお手の物だし、そういえばLOVEGARDENだってネジをつくってる。

Posted by: 玉井一匡 : February 20, 2006 03:34 PM

玉井さん、先日は、短時間でしたが、ご一緒させていただき、ありがとうございました。昼(^^;起床し、着信を見て、すぐに京島へ意識が飛んでいました。
最近、バイオ技術の多様化からか、不自然にしか見えない植物のデスプレイやこうした植栽を目にすることがありますね。例のソニーの松の磔などは、ソニーミュージックが密かに音楽CDに組み込んだ、ルートキットという悪名高いソフトのことを、逆手にとったのか? とも思いましたが、制作アーチストにしてもソニーにしても、そんなセンスを持ち合わせているとはとても思えません。
このドアも、玉井さんが彼岸花のエントリーで書いていらしたように、記号としての緑に見えてしまいますね。

Posted by: masa : February 20, 2006 02:10 PM

玉井さん、先日はわざわざ迷路のなかおこしくださり、ありがとうございます。また、「前川國男展」さんと同時に載せて頂いたりしちゃって、感無量でございます。
「どこでもドア」をあけて頂き、我が“ドラミちゃん”と遊んで頂いたりと、LoveGardenを満喫して頂けたでしょうか?はちゃめちゃなところに加え、おもてなしも下手で、満足度も⋯?と気になっておりますが、今後ともよろしくお願いいたします。
また、この緑のどこでもドア、いつまで生き続けるのか?これが“いいことしてます壁面緑化”なのか?さもなくばガーデニングなのか?またまた新たな課題を頂いた気分です。

Posted by: cen : February 20, 2006 09:08 AM

はじめに自分のエントリーにコメントを書くというのも変なものですが、前川國男展とLOVEGARDENのこと京島のこと、一緒に書こうとはじめたのですが、長くなりそうで、ちょうどその間にあったこれから取りかかったのです。

Posted by: 玉井一匡 : February 20, 2006 08:28 AM
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