March 04, 2006

薬王院の枝垂れ梅 と 落合のみどり

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 通勤途中に牡丹の花で知られる落合の薬王院の前を通る。2月28日、道路から見ると参道の奥の山門前にしだれる樹があわい紅色の花をつけていた。桜だったろうかとおもいながら自転車をおりて近づくと、やはり梅だったが淡くて品のいい桃色が春の気配の中に浮かんでいる。枝はゆるやかに下りてゆきそこに花を点在させる姿はとても品がいい。山門から中をうかがえば、そこにも梅が春をつげている。やっとこのとき、もう3月だと気づいた。

高台の尾根を目白通りが走り、その足元を、かつて十三間道路とよばれた新目白通りが並走する。その間にある傾斜地は東西に長く続き、林芙美子記念館などのある西よりの一帯から、東には学習院の馬場などを経て椿山荘のあるあたりまで樹木のゆたかなところが点在して江戸川公園に至る。さらに、神田川と支流の妙正寺川が流れる。無論、高台があり足元を川が流れ斜面は樹木におおわれるという地形がはじめにあって、道路はそのあとにつくられた。この梅のあるあたりでは薬王院、野鳥の森、お留山公園などの緑がゆたかで、そのつらなりの一部に大きな住宅の建つ屋敷林がある。それをディベロッパーが手に入れて低層のマンションを計画しているのに対して、みどりを残そうと周辺の住民たちが決起した。

下落合みどりトラスト基金をつくり、実に2億3000万円をあつめた。新宿区長東京都知事あての要望書を提出、基金を一部として土地を購入し、環境を保全するよう求めた。このあたりに狸が出没することが新聞にも掲載されて話題をあつめたこともある。

にもかかわらず、ディベロッパーは購入価格をつりあげ、新宿区は予算がないといい、業者は説明会で声を荒らげて恫喝さえしたと、chinchikopapalogに書かれている。確認申請はすでに出されている現在、状況は厳しい。今月中にも樹木の伐採がはじまるかもしれないそうだ。

もしも新宿区が本気でここを守りたいと考えているのだとすれば、すべて買い取るか諦めるかの二者択一以外に方法をさぐることできないのだろうか? たとえば区が負担できる以上の費用は借り入れをおこして土地を購入し、建物の計画を縮小して借り入れ分の金額を回収できる規模で森と共存する集合住宅をつくる。集合住宅にとっても周囲にとっても、きもちよい場所がつくられるだろう。当初は、この土地にあった古い邸宅そのものを含めた保存を目指していた。森と古い屋敷を残そうと考える側としてはそういう案は計画の容認でもあって賛成しがたいところだが、時間が過ぎていって計画がなしくずしに進められていきそうなのだとすれば、そういう方法も選択肢のひとつとしてあるのではないかと、このごろは思う。

投稿者 玉井一匡 : March 4, 2006 10:50 PM | トラックバック
コメント

大変な広さと大変な借金ですね。町の中でどのような位置にあるのか分かりませんが、それくらいの広さとなれば、まち全体の性格を決定してしまうでしょう。たしかに、政治は結局は有権者の選び方の問題であるのと同じように、商品をよくするも悪くするのも、本当は消費者の責任ですね。品質がわるくても買いやすいものに流れてしまうのは、我々消費者の責任なのだと自戒します。

Posted by: 玉井一匡 : March 9, 2006 12:13 AM

盛岡の造り酒屋さんは何と二箇所の工場で8000㎡+6,000㎡もあるのだそうです。借財が12億、結局やる気のある当主さんではないとのもっぱらの噂です。
それにしても街の骨格をなす敷地や建物を投げ出すというのは公共性を考えて維持していかなければならないとの認識が無かったとも言えそうです。
周囲の人間ができることは品質の誇れる酒造りになるよう意見を言いながら購買して支えるということが重要だったようです。何しろ誰に聞いてもあまり買わないとのことですから・・・。酒の名前も重要なファクターだと感じています。川な流れるという意味でご祝儀ごとに利用されないと言ったかたも数名いらっしゃたのです。

Posted by: ai : March 8, 2006 06:31 PM

Chinchiko Papaさん  ほんとうは、内容を確認していただいてからエントリーした方がよかったかなと思っていたところでした。間違いや追加するべきことがあったらご指摘ください。これだけの行動に対して、行政が具体的な対応をできないのではお話にならない。もしかしたら、ギリギリのところでの大逆転を期待したいところですね。googleマップやgoogle Earthは、こういうことを具体的に認識するのにも、とてもいいツールだとおもいました。さらに欲を言えば、衛星写真をとった時期がわかり、古いものも検索できるともっといいですが。

Posted by: 玉井一匡 : March 7, 2006 10:23 AM

aiさん  「落合みどりトラスト基金」のサイトから、計画の図面などが見られますが、たしかに面積は何平米なのかという数値は、ぼくも探しましたがまだ見つかりません。わかったらお知らせします。
盛岡の造り酒屋さんの様子は、眼に浮かぶようで、つらくて腹立たしいですね。先日も、あるクライアントから埼玉県川口の酒屋さんのことをうかがいました。相続税などのために手放さざるをえなくなったけれど、自治体も何もできなかったそうです。
それどころか、ちょっと見せてほしいとやってくる人たちが来ると、人柄のいいお年寄りが「どうぞ」とおっしゃる。すると、彼らはだまっていつのまにか古いものを持ち去ってしまうということが頻繁にあったそうです。
 日本中で、そういういことが起きていますね。「野草の愛好家」が山のお花畑を荒らすように、「古いものを好きな人」や商売人が、ますます古いものを壊してゆくのですから。

Posted by: 玉井一匡 : March 7, 2006 08:46 AM

玉井さん、取り上げていただき、ありがとうございます。いろいろ、ギリギリのところでせめぎ合いをつづけているのですが、業者は聞く耳を持ちません。新宿区は、建築確認をまだ業者へ下ろしてませんが、建築前の整地は建築確認が下りなくてもできてしまいますので、とても悩ましいところです。建築基準法、新宿区条例、消防法、道路交通法・・・と、あらゆる側面からアプローチしていますが、伐採を止められるかどうか危うい状況です。
東京地裁で、2件の訴訟が進行中ですけれど、もっとも最悪のケースは、森林が伐採されてしまってから新宿区の「特例」をベースとした「安全認定」が違法だという判決が出る・・・というパターンですね。もう、森は伐られて存在しないし、更地だけが放置される・・・というケースは、なんとしても避けたいところです。
これについても、区や業者の両面から、いろいろと交渉中だったりします。さて、どこまで闘えるか、区や業者がどのように出るかで、局面が大きく変わることもありえる状況です。

Posted by: Chichiko Papa : March 6, 2006 06:55 PM

こんにちは!この低層マンションの計画はどの位の広さになるのでしょうか?今盛岡の酒醸造元も破産申し立てで他所へ渡ろうとしている敷地に蔵などがあって、もうもったいないとしか言い様がないところに来ています。丁度いらしたお客さまが弁護士さんなのでその話しで盛り上がりましたが、何としても取り壊しにならないように智恵を出し、いい買い手が付けばいいと願っているところです。反対の多い道路を作るよりあの敷地を市で買うように議会質問をするとおっしゃている議員さんもいてどうなることやら注目しています。久しぶりに議会傍聴に出かけようかな~と…。

Posted by: ai : March 6, 2006 05:26 PM
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