March 30, 2006

馬スジ肉のシチュウ:桜を食べる


 iPhotoを見ていたら、サクラの季節だからなのか馬肉のシチュウの写真を見てお腹がすいて来た。もう、ひと月ほどがたってしまったが、2週間くらい天草に行っていたあとで生月をまわって夕海が帰って来たとき、手に提げた発泡スチロールの箱には、刺身とレバサシ、そしてスジ肉、いずれも馬肉が入っていた。天草からおみやげにいただいたのを友達に分けるんだと言っていたが、2日後の夜おそくに帰ると、スジ肉だけが冷蔵庫に残っていた。いたんでしまってはならじと、12時頃になっていたが僕は馬スジ肉のシチュウをつくりはじめた。スジ肉のような固いものを煮込んで柔らかくするのは圧力鍋の得意技だ。この日は、アーセナルとレアル・マドリードのサッカーのTV放送があったから、その間に煮ればいい。

 さっと肉を炒めて、きつね色に炒めたタマネギ、月桂樹、胡椒、酒などと一緒に圧力鍋にほうり込んで強火にする。蒸気を吹きはじめたら火を弱めて30分、その間に冷蔵庫をあると人参と大根のややひからびたやつ、ジャガイモは大きいのがひとつがあった。イモは、くずれないように皮のまま二つに切る。野菜は適当に時間をおいて加える。チキンコンソメ、水煮のトマト、牡蠣ソースなどを加えてしばらく煮込んでサッカーが終わる頃には完成。サッカーでは霜降り肉のように高価なマドリードが負けた。

御所浦町は、熊本県で唯一の離島の自治体だった。映画「もんしぇん」をつくるために、さまざまな方にお世話になったのだが、ことし町村合併で天草市となって町がなくなる。そこで、「閉町記念式典」をおこなうことになって夕海にその企画演出をする機会をくださり、監督をした草介に記録映像をつくらせてくださった。その帰りにおみやげとして馬肉をいただいてきたというのだ。そうか、と言って聞いていたが、ふと疑問が浮かんだ。
「天草のあとで生月(いきつき)にまわったんだろ、馬刺を持ち歩いたのか?」  天草は熊本県、生月は長崎県の平戸の脇にある島だ。ちなみに、ぼくは平戸の向かいの田平というところで生まれた。
「いや、車を貸してもらって生月まで行ったから、それを返しに天草に戻ってお土産をいただいちゃった」 御所浦町から、合併の準備のために天草本島にしばらく前にのりこんだ知人に車をお借りして、そのうえ帰りにはお土産までいただいてきたというわけだ。(ニュアンスとしては、「友達にクルマを借りてお土産までもらっちゃった」という感じなんだが) 市場原理なるものからすれば甚だしい逸脱だが、構想以来10年もかかって映画ができたのも、ひとえにそういう密度の濃い人間関係のおかげだ。
いまのぼくたちは、滅多に馬肉を食べないけれど、明治以前に肉をたべる機会は、きっと牛や豚よりも馬の方が多かっただろう。「桜なべ中江」のサイトには、桜という呼び方の諸説が書かれているが、馬を喰うようになった由来は、牛鍋を水増しするために使われたなんてことが書かれているばかりだ。建前はそうかもしれないが馬刺なんて、戦国時代の戦場ではきっと非常食だっただろうし、喰うもののない時代に食べないわけがないだろうなんて思いながらも、なんだか馬を喰うのはかわいそうな気がしてしまう。でも、シチュウはうまかった。

投稿者 玉井一匡 : March 30, 2006 12:05 AM | トラックバック
コメント

そうそう次の桜を食べる2を拝見していてやはり絶妙なエッセイだと感服していたらどうやら皆さん桜肉の方が興味があってそちらに流れたのでしたね~(笑)。岩手も馬肉の産地だとか・・・、自分から積極的には食べないのですが食べると美味しいことは認めますね。
時事通信のアンケートによると盛岡が住みやすさ№1を2年も獲得したとか。確かに環境、食材の面でそのような気がしますが行政面でみるとずい分と不足だと言わざるお得ませんです。

Posted by: ai : April 8, 2006 06:27 PM

3日もかけてシチュウをお作りになるというaiさんに、レシピとして参考にしていただいたなんて、うれしいです。ぼくは、どうも食いしん坊が災いして、何日も煮込むという我慢ができません。早く食べたくなってしかたないのです。でも、煮物は、途中で味見をしながらじっくり育ててゆくという感じがいいんですね。材料が化けるというか。
わきたさんのブログで知りましたが、盛岡が日本で一番住みやすい街になったそうですね。藍blogを読んでいると分かる気がします。と、書きながらきづいて、おそまきながら藍blogに飛んで、拝読しました。

Posted by: 玉井一匡 : April 8, 2006 08:36 AM

桜肉のシチューや花の話が飛び交っていて何処にコメント入れてよいやら・・・
近頃牛肉をあまり食べないのでシチューもご無沙汰していますが、私もシチューを煮るのは大好きで3日かかりぐらいで朝晩火を通して作ります。
そうシチューじゃなくてマーマレード、こちらのレシピを参考に(実も入れて)美味しく出来上がりました!ありがとうございました。
検索するといろいろありすぎて、迷いましたが玉井さんのものが一番いいように思ってつくりました。

Posted by: ai : April 7, 2006 06:28 PM

プロにそういっていただくと、うれしさも格別です。かつて、ハナマサで買った安物トリッパ も、これでやりました。やはり短時間でやわらかくなりました。解凍してみたら胃が丸のまま袋状になっていたのでびっくり、少々においもあったから動揺してしまったのでしょうか、写真も撮らずに煮てしまい、でも食べました。もちろん、殻々工房でいただいたトリッパの煮込みとはどうも違うのでした。あたりまえですが。まだ、トリッパに再度の朝鮮はしていません。
プロのお話を、そのうちきかせてください。

Posted by: 玉井一匡 : April 3, 2006 12:14 PM

肉のゴロゴロしたシチュウ、美味しそうだなぁ...
しかも圧力鍋ってそんな便利なものなんですね。よーし、まずは圧力鍋を買ってみよう!

Posted by: nOz : April 3, 2006 10:12 AM

さすが、わきたさんはすごいですね。もう作っちゃいましたか。圧力鍋だと、何度で沸騰するのかは知りませんが、早く柔らかくうまくできますね。スジ肉は、安いしうまいし栄養もあるから、今度は、ぜひやってみてください。
ところで、もうあちらこちらのBlogに、わきたさん登場ですね。ほんとうのお帰りなさいですね。

Posted by: 玉井一匡 : March 31, 2006 01:38 PM

玉井さん、私もさっそく、圧力釜で「玉井風のシチュウ」を作ってみました。筋肉はなくて、バラ肉でしたが、と~っても柔らかくなっていました。普通の鍋では、なかなかこういうふうにはいきませんね。野菜についても、味がしみ込んでいたように思います。とっても、美味しかったですよ。

Posted by: わきた・けんいち : March 31, 2006 09:59 AM

yukiりんさん  コラーゲンもたっぷりだし、安いし、スジ肉はシチュウに最高です。数年前に、親しい肉屋さんが「ワンちゃんにおみやげ」といって、牛のスジ肉を1.5キロほどおまけにくれました。圧力鍋で煮ているうちに旨そうなにおいがたまらず、手を加えているうちにシチュウを作ってしまいました。もちろんタマネギは入っているし、犬はタマネギを食べさせようものなら、お腹をこわすやらもどすやら大変なことになるので、とうとう愛犬には一口もやらずに我々が食べてしまいました。わるいことをしたなあと、あとになって思いました。
かつては、スジ肉は売っているものではなかったけれど、このごろは安く売っているので、かえって手に入りやすくなりました。
話は変わりますが、「脈動変光星」ダウンロードしてくださったんですか、ありがとうございました。映画は、どうやら7月頃から公開できそうです。そのおりには見てやってください。

Posted by: 玉井一匡 : March 30, 2006 06:32 PM

ああ〜写真をクリックしてしまいました〜。おいしそうでたまりません!思わずアーンとしたくなります。お料理もお上手でいらしたのですね。
ところで映画「もんしぇん」とても楽しみです。夕海さんの歌もよかったでし、きっと映像も美しいでしょうね。本当に多才で素敵なお嬢様ですね。影ながら応援してます。

Posted by: yukiりん : March 30, 2006 05:50 PM

おつかれのところ、コメントありがとうございます。中国には、まだ行ったことがないのですが、わきたさんのいらした寧波の上空をGoogle Earthで飛行しました。まったく広いですね。大きさや量でこういう国と張り合うのはやめた方がいいと、思ってしまいます。ゆっくりおやすみください。そのあとの、渾身の中国レポートを楽しみにしています。
圧力鍋は、煮込みにはとても便利です。野菜などはすぐに柔らかくなりすぎるので、入れる頃合いに注意しなきゃならないですが。

Posted by: 玉井一匡 : March 30, 2006 04:32 PM

こんにちは、玉井さん。ちょっと、ヘロヘロしていますが、とりあえず帰国しました。じつに美味しそうなシチュウですね。圧力釜を使うと硬い硬いスジ肉でもこうやって短時間に料理できちゃうんですね。我が家にもじつは圧力釜があるのですが、棚の奥にしまわれたままになっています。さっそく利用してみようと思います。ところで、写真ですが、シチュウの彩りがじつにすてきです。いいかんじです。

Posted by: わきた・けんいち : March 30, 2006 03:52 PM
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