March 28, 2006

回遊美術館というこころみ

IkebukuroMontparnas.jpg
「洋館に綱が:刑部人アトリエ」のエントリーにChinchiko Papaがトラックバックをしてくださった。そこへ跳んでみると、行き先は「椎名町のみなさん、ありがとう」というエントリーだった。「以前に紹介した新池袋モンパルナス西口まちかど『回遊美術館』が、きょう最終日を迎える。」と書いてあるので、あわててこれをエントリーした。
chinchikopapalogは、毎日のように渾身のエントリーが続くのだが、それだけにちょっと目を離すと、しばらく学校を休んだあとに教室へいった子供のように、なんだか取り残されたような気がしてしまい、ついついChinchiko Papalogに寄りそこなってしまうものだから、ぼくはこの回遊美術館のエントリーを読んでいなかった。池袋西口の、かつて「池袋モンパルナス」と呼ばれ画家などが多く住み、立教大学を中心とする学生街といっしょに魅力的なまちができていたという。それを掘り起こしてみようという催しなのだ。こののChinchiko Papaのエントリーを見ると、いつものように密度が高い。しかも彼のブログが、この地域にあったものをいかに丁寧に掬い上げてきたかを示すように、自身のブログ内へのリンクがすこぶる多い。
回遊美術館というのは、独立した施設としての美術館ではなく、まちのなかの銀行、学校、美術館、画廊、カフェ、地下鉄のコンコースなどで一斉に美術展などの催しをやろうというこころみ、つまりモノでなくデキゴトなのだ。まちをみんな美術館にしてしまおうよというわけだ。

googleを探したら、「新池袋モンパルナス西口まちかど回遊美術館」を開催しますというサイトがあった。この催しは立教大学や豊島区などが協力したイベント。Chinchiko Papaが椎名町のみなさんにありがとうとおっしゃるのは、豊島区の椎名町のひとたちが「池袋・椎名町・目白/アトリエ村散策マップ」というのをつくったが、そこには新宿区にある佐伯祐三や中村彝のアトリエなどがちゃんと掲載されていて、豊島区がなんてケチなことをいわずにそんな枠を踏み出しているからなのだ。それにひきかえ、新宿区の体たらくは自分の区のことさえ・・・・と言わずにいられない。「池袋モンパルナス」ということばは、今になってみるとちょっと気恥ずかしいが、それは大正から昭和にかけての日本の気分を伝えてくれる。トップライトのあるアトリエに小さな寝室がついている家をたくさんつくったというのだから、本気だったのだ。近頃のデザイナーズマンションというものが、デザイナーの住むマンションではなくデザイナーが設計したマンションを意味するのとはそもそも話が違う。

大きな箱モノをドカンとひとつだけつくるよりは、むしろ小さなものを点在させる方が、大きな影響をまちに及ぼすことができると僕は思う。そうすれば、点在するところを移動する間に、訪れたひとはまちと接し、まちに生活するひとと接することができる。
これまで日本では、モノが作られるときの経済効果ばかり考えて、作られたあとの使われ方・デキゴトはろくに考えてこなかったけれど、使う側からの行動がこうやってブログといっしょにひろがれば、面白いことになるかもしれない。

投稿者 玉井一匡 : March 28, 2006 02:50 AM | トラックバック
コメント

neonさん 根津や谷中はそれを前から実現している先頭集団だから、そういうところで活動していらっしゃるということは、表現者としてこの上ない環境ですね。点在するということは、点といいながら、じつは点がひとつではないからむしろ面になって、それがほかの場所と接することによって時間、空間、ひと、できごとに広がっていきますからとても広く深くなっていく。国家や自治体という、制度に基づく領域というものは放っておけばどんどん排他的になって、内にむかってゆくけれど、人間や文化がそれを解かして境界をゆるめてゆくことができると思いたいですね。
国家がボーダーレスとかグローバルという時は、強いものが弱いものに踏み込んでゆく、あるいは取り込んでゆくときの論理に使われることが多いから、その違いに気をつけるようにしなければならないですね。

Posted by: 玉井一匡 : March 31, 2006 07:00 PM

点在する面白さというのは、根津へ来てとても感じるところです。秋には谷中芸工展というのがあるし、4/29には一箱古本市というのもあります。地元の芸術関係の人、お店、書店などが一斉にタイアップします。スタンプラリーなど町歩きを楽しめるようになっています。今日もポスター配りを少しやってきました。池袋は一歩奥へはいるとなかなか懐深いものがありますよね。そもそも境界をつくってしまう意識をとっぱらわないと・・と思います。

Posted by: neon : March 31, 2006 04:22 PM

いのうえさん よかったですね。ぼくは、時間の定かでない来客の予定があったので、結局は行けませんでした。知っていれば、あの翌日に行ったところでしたが。
いのうえさんは豊島区民でしょう、豊島区は、自由学園のこともそうですが、よくやっていますね。現実の住民の意識と、行政体の意識の食い違いは、アフリカの部族と無関係にヨーロッパの国が勝手に分割して国家をつくったのと、全く同じですね。われわれは消しゴムを手に、せっせと境界をなくしていったり、境界の存在を遊んじゃうことにしましょう。

Posted by: 玉井一匡 : March 29, 2006 11:25 AM

週末玉井さんとお会いしたあとに鬼子母神前の古本屋さんで回遊美術館の資料をいろいろもらい、翌日谷端川を遡って 千川駅ちかくの西部区民事務所内アトリエ村資料館まで行って来ました。充実した展示でなかなか面白かったですよ。 ボランティアの方々が運営されているのと 区も積極的でお隣の峯孝作品展示館では 回遊中の区長と会いました。 

Posted by: いのうえ : March 29, 2006 03:41 AM
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