July 20, 2006

おとなりから西瓜


 東京に戻った翌朝、電話が鳴った。おとなりのEさんの夫人からだった。「西瓜が送られて来たので、おひとつお届けします」
おとなりはご夫婦お二人だが、うちは食欲旺盛な親子がいる。それをご存知だから、何かが郷里から届けられると、ときどきお裾分けしてくださる。もちろん、こちらにも到来ものがあれば玄関のインタフォンを鳴らす。
重いものを届けていただいては申し訳ないから、あわてて玄関に走りドアを開けると、すでにE夫人が大きなスイカを抱えて立っていらした。お礼を申し上げながら受け取ってスイカをみると、大きいだけではない。頭に40cmほどの蔓がついている。
「こんなふうに蔓を切っちゃったらこの先のスイカも、みんないっしょに取らなきゃならないでしょうね」

「いいえ、ここのスイカは、ひとつのツルにひとつか、せいぜい二つしか実をつけさせないんです」
うーむ、内心ぼくはうなった。なるほど、一本の蔓についた実を間引きしてひとつだけにしてしまうのだ。栄養を集中させて、うまい実を育てる。あらゆる努力を惜しまず手を加え、少しでもうまいスイカを作ろうと努力する、こんな芸当は、日本でしかできないだろう。ある種の感動と、でも・・・という気持ちとが混在していた。日本の農業が安い輸入品に勝つには、こういうやりかたがひとつの重要な方法であることはたしかだ。しかし、そんなふうにして作られた繊細なスイカを、当然のようにして食べるようになって、いいのかなとも思う。でも、関アジや関サバだって、ぼくはまだ食べたことがないんだから、このスイカを食べることも滅多にあることじゃない。そんな心配は不要なのかもしれない。そういえば、このスイカのようにして厳選して育てられるものたちの話が、つい先ごろ、他にもあった。友人から、ランチュウの子供はいらないかと言って来たのだ。こちらは、スイカとは逆に、はねられた連中だった。
いただいたスイカは、まずは仏壇に供えた。まだ味わってはいないが、そろそろ手塩にかけられたスイカの成果を確かめたい。シールには生産者の写真もある。

投稿者 玉井一匡 : July 20, 2006 05:03 PM | トラックバック
コメント

masaさん 反省しています、ときどき。でも、すぐ忘れちゃう。

Posted by: 玉井一匡 : July 22, 2006 02:42 PM

玉井さん、玉井さんの辞書には、いくら探しても、「年甲斐」という言葉が見あたりません(^^;

Posted by: masa : July 22, 2006 12:35 AM

たしかに、健啖家です。よく食べるから元気というより、元気だから食べるということなのでしょう。ぼくも、いい年をしてやっと気がついたのですが、何でも食べる、しかし食べ過ぎないという人になろうとしています。ワールドカプでユニフォーム交換するときに腹筋を見て、朝晩の腹筋運動をはじめるという、これも年甲斐のない行動です。

Posted by: 玉井一匡 : July 21, 2006 07:59 AM

玉井さん、わきたさん、こんばんわ。お二人のやり取りを拝読して、強靱な精神は、やはり強靱な体力によって支えられるのかな?と感じた次第です。そういう意味では、玉井さんは、明らかにお祖父様の血をひいていらっしゃいますね(^^;

Posted by: masa : July 21, 2006 01:59 AM

玉井さんのおじいさまは、鉄の胃袋ですね~。監獄でも粗末な食事が出るのでしょうが、それではとても足らなかったのですね、きっと。「戦時中に監獄」というと、「はっきりモノを言う」方だったのだろうなと、いろいろ想像してしまいます。masaさんの『Kai-Wai散策』で報告されている「T氏邸」のほうのおじいさまでしょうか。そうそう、こんどお会いしたとき、「T氏邸」や「T氏邸」界隈のこと、ぜひ教えてください。

Posted by: わきた・けんいち : July 21, 2006 12:25 AM

わきたさん そういえば、うちの祖父もアルコールをやりませんでした。ホルムアルデヒド分解酵素は少ないようですが、たしかに消化器系は強い。戦時中に監獄に入れられていた時にも、となりの料理屋から仕出しの弁当を取ったことがあるとききました。料理には空腹、スイカには渇きがなによりの味つけですね。それに、健康。

Posted by: 玉井一匡 : July 21, 2006 12:10 AM

玉井さんちは、家系的に消化器系統がお強いようですね。おじいさまも、ちょっとスゴイですよ。「天ぷら定食を注文してご飯を天丼に代えてもらう」というのは、ご飯は大盛りになるし、天ぷらは2倍近くになるわけですよね。絶句、、、って感じです。私も好奇心が強いので、なんでも食べてしまうのですが、最近は、食欲はあっても「量」が減っています(^^;)。まあ、私のばあいは、アルコールにかなりの意欲がむけられているせいかもしれませんが。
ところで、本日のエントリーに戻りますが、スイカって、なんだか高級果物になってきたような気がします。最近、夏になってもスイカを食べていないな~と思ったのですが、価格が高くて手がなかなか出ないのですね、きっと。

Posted by: わきた・けんいち : July 20, 2006 11:26 PM

わきたさん うちでは、出されたものは残さないという習慣が身についていて、子供たちも旅行や仕事でよそに行くと、かならずふっくらして帰って来るのです。おっと、ぼくも本筋をはずれましたが、話題は「親」もふくまれているということでしたね。
そうなのです。もともとよく食うのに加えてふたつ、アルコールに向けられるべき意欲が食べ物に向けられること、もうひとつは好奇心、初めての場所はじめての食べ物は試さずにはいられないのです。ぼくの祖父も、70代後半にして天ぷら定食を注文してご飯を天丼に代えてもらうという人でした。

Posted by: 玉井一匡 : July 20, 2006 10:42 PM

玉井さん、こんばんは。エントリーの本題とはずれてしまいますが、「うちは食欲旺盛な親子がいる」に目がとまってしまいました。最初は、瞬間、「食欲旺盛な子どもでは?」と思ったのですが(少しづつ老眼が進行しているので・・・(^^;))、しっかり「親子」と書いてあったので、笑ってしまいました(^0^)。

Posted by: わきた・けんいち : July 20, 2006 09:48 PM
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