November 11, 2006

カマトンカチ


 aki's STOCKTAKINGで、AKiさんが買った赤いiPodの「REDプロジェクト」を取り上げて (RED) というタイトルでエントリーした。エイズ、結核、マラリアの患者の救済のために、売り上げから一部を寄付するというプロジェクトについて「これが新しいcommunismの方法なのだ」と書いたら、これに「通りすがり」なる人物がコメントでかみついた。
「世界を牛耳るアメリカ大企業の商業チャリティがcommunism??
アメリカ主導のグローバル資本主義に反旗を翻しつつある南米の
左派反グローバル活動家が聞いたら呆れると思いますが」と。
ただ単純に読み取れば、それはその通りだ。・・・しかし、と言って反論することはせずに、AKiさんはオトナらしく「communism」を「commies」と訂正した。commiesということばそのものに含まれる逆説的な含意に下駄をあずけたわけだ。AKiさんは思想堅固なコミュニストなんかじゃないし、ジョブズがコミュニストだと思っているわけでもない。AMEXやconversは、通りすがりさんのいうような矛盾を両手からこぼれるほど、いや、トレーラーに積み残しができるほど抱えているやつらだということを、当然わかったうえで括弧付きのcommunismと書いたのだ。皮肉や逆説というのはなかなか高度な言語表現と読み取りの遊びだ。だれがどういう事象についてどういう背景でどういう時期にいっているのか、たくさんの意味のレイアを同時に読み取らねばならない。REDというのは血の色であって、三つの感染症は血と深い関わりがある。
おなじようなことを、つい2月ほどまえに僕自身も感じたことがあった。ビエンチャンで「カマトンカチ」印のTシャツを買った時だ。

「ビエンチャンこどものいえ」に行った時のこと、エリート然としたお父さんが奥さんを連れてやって来た。彼は真っ赤な胸に「カマトンカチ」の黄色く染め抜かれた真新しいTシャツを着て、髪はハサミも櫛もきれいに跡が残っているような様子だったから、「あれは党のエリートでそのお印にあのTシャツを着ているのだろう」などと、僕たちは話していた。ラオスは社会主義国で、ラオス人民革命党がただひとつの政党。ソ連にならって鎌とハンマーを交差させたやつがシンボルになっている。とはいえ、けっこうゆるやかで、ひとびとは自由にくらしている。あれはなかなか買うわけにはいかないのでしょうねと、くわしい日本人にきくと「なにも、そんなものじゃなくて、市場にいけばいくらでも売ってますよ」という。じゃあ、ひとつ買いにいこうよというわけで、その日の午後に市場に行ってみた。

「いまは、赤いのはないなあ。でも黒ならあるよ」と店の奥から引っぱりだしてくる。同行者は、黒ならいらないというが、なかなかかっこいいと思ったので、ぼくは黒をひとつ買うことにした。たしか2ドルだった。
「けっこう、これを着るのはむずかしいね」
「マジで着ていると思われるとちょっとちがうからなあ。赤だったら、もっとマジだと思われるぞ」
「だから、もし赤を買って行くとしても、パジャマにするんだよ」
「そうだよな、きみだったらまともに受け取られちゃうかもしれないな」といってぼくは黒のTシャツを買ったけれど、まだだれにもあげず、自分で着てみたこともない。やはり、これは強力なメッセージがあることをつい考えてしまうのだ。
はじめて、試しに着てみたら、けっこういい。

追記
「カマトンカチ」は英語では Hammer and sickle というようだ。

投稿者 玉井一匡 : November 11, 2006 02:27 AM
コメント

AKiさん エストニアにすれば、長い間ソ連に支配されていたのだからそう思うのも不思議ではありまませんが、いまさら法律で禁止するということは、逆に言えばいまでもこのお印が使われているということなんでしょうね。ロシア国内だって、これはもううんざりのマークでしょうから国内で使うやつなんかいないんでしょうに、よそのひとに言われるとおもしろくない、ましてナチと一緒にされちゃあいやだよってことなのでしょうか。

Posted by: 玉井一匡 : December 3, 2006 03:40 PM

この「カマトンカチ」、「鎌と槌」をバルト三国のエストニアはナチスドイツの「カギ十字」と同様に公共の場で表示することを禁止するようですね。
http://www.tokyo-np.co.jp/flash/2006120101000401.html

Posted by: AKi : December 3, 2006 01:19 PM

ぼくたちの世代にとってもソ連のアイコンなんて時代遅れでしたから「カマトンカチ」ってことば、 実はぼくもこのときにはじめて知り、ちょっとズッコケ感があるのが気に入ってしまいました。赤の地に黄色のお父さんのTシャツと、黒地に赤のTシャツを比べると、ひとひねりしているぶんこちらのほうがゲバラの図像に近づいているようです。いずれにしろ、もう歴史上のアイコンかもしれませんね。

Posted by: 玉井一匡 : November 11, 2006 08:42 PM

玉井さん、どうもです。
「カマトンカチ」なんて、最近の若い方々にとってはちんぷんかんぷん、なんでしょうね。私にとっても、きっと意味違いと言う感じですが、黒地に赤のカマトンカチは、ゲバラの有名な図像と同義な感じがありますね。

Posted by: AKi : November 11, 2006 06:53 PM
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