March 12, 2007

桃の花をひろいあつめて

Click to Bloom
 愛犬クーと散歩に行く途中、階段のわきにまるで雑草のように勝手に生えたという風情の桃の木があって、季節になると花を咲かせ、小さな実をたくさんつける。けれど公園の外だからだろうか、小さいまま落ちた実はみんなに踏みつけられたりするから、あたりはきたならしくなるが桃の実の香りに満たされるのに、なんだか大切にされていない。ことしは、桜はまだ咲きそうもないのに桃の花がはやい。
 先日の強風の翌朝、その木があたりにたくさんのつぼみを散らせた。ぼくは、いつも腰につけているケースからデジカメを出して首にかけ、つぼみをそのケースにいっぱい拾った。去年は桜の花を浮かべた白い皿に水を張って、今年はモモの蕾を浮かべた。日ごとにつぼみは少しふくらんできたけれど、このままでは開くことのないままに腐ってしまいそうだったから、つぼみをほどいて花びらにして浮かべてやった。(click to pop up and bloom)
つぼみのままたくさん水に浮かんでいると、なんだかニンニクの梅酢漬けみたいな色になってしまうので、ちょっとがっかりしたのだが、花びらになると、にわかにさわやかな桃色になった。花びらを透かしてとどく光のおかげなんだろう。

 そう感じたのは、つぼみを拾い集めた翌々日、本来あるべき枝に咲いた花たちが空を背景にしていると、それらを光が通り抜けるととても美しかったからだ。それを待ちかねた小鳥たちが花をつついては、花弁のそろった花を道に落としてくれていた。ぼくはヒヨドリの贈り物をありがたく拾い集めて、器に水を張って浮かべてみていると、ひとつひとつの花がこんなに大きいのかと思うほど花弁を精一杯に開いた。
PeachBlossoms3.jpgClick to pop and pick up
 数日経っても、花はまだ器の中に元気でいるのをみているうちに、ちらし寿司を食べたくなってしまった。三月三日のひな祭りには、ぼくは東京にいなかったのだ。冷凍庫にはホタテ貝の断片の冷凍と殻付きのボタンエビは生で食べられそうだし、裸にされた冷凍の小エビはゆでる、干し椎茸もある、スーパーで菜の花と蓮根を買って来た。賽の目に切ったダシ巻き玉子、エビを散らし、菜の花を茹でてさらに散らす。樹の間がくれに色が見えるのが美しいと思いながら食べているうちに記録写真を撮るのをおもいだした。慌てて撮った写真には、すでに樹の間がくれの風情はなくなっていた。

 こんなふうに、満開の春の花たちやちらしずしの上の景色は、すぎてゆく季節をあたらしい季節で包み込む。空間や季節を向こう側とこちら側にきっぱりとへだてるのではなく、それらが透けるかさなり具合をさまざまなかたちで受けとり表すというありようを、ぼくたちはたくさん受けついでいるのだ。
季節のある国で春と秋に祭りが多いのは、あたたかさの訪れるよろこびと収穫への感謝のためなのはいうまでもないけれど、季節を重ね着するようなときを楽しむことができるからでもあるにちがいない。

投稿者 玉井一匡 : March 12, 2007 02:57 AM
コメント

わきたさん ひさしぶりですね。楽しみにお待ちしています。隊長もネタによりをかけることでしょう。あとは、花見日和の天気をいのるばかりですね。

Posted by: 玉井一匡 : March 16, 2007 02:42 PM

玉井さん、31日ですが、今のところ東京にうかがうことができそうです。晩は、1泊する予定です。皆様にお会いできることと、晩は、隊長の独演会も堪能できるのではないかと、楽しみにしています。

Posted by: わきた・けんいち : March 16, 2007 01:18 AM

 わきたさん お久しぶりです。こんにちは。自分で言うのもなんですが、うまいことはうまかったです、たしかに。われを忘れて食べてしまうことが多くて、困ったものだと思っていたら、おいしそうなものをよくつくるONE DAYのkadoorie-aveさんも、ついつい写真を忘れて食べてしまうと、書いていていらしたので安心しました。ところで、31日にはお会いできそうですか。

Posted by: 玉井一匡 : March 13, 2007 11:45 PM

こんにちは。いや~、でも美味しそうですよ!!

Posted by: わきた・けんいち : March 13, 2007 05:02 PM
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