April 22, 2007

Monastery of Sainte-Marie de La Tourette:ラ・トゥーレット修道院

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ラ・トゥーレット修道院 1953-60 ル・コルビュジェ
バナナブックス 写真:宮本和義 文:栗田仁
このバナナブックスシリーズの版型はA5サイズで21cm*15cmほどだからジーンズのポケットにいれるにはちょっと幅が大きいけれど、薄くて軽いからジャケットのポケットに入れて連れて歩くにはちょうどいい。対照的に、ぼくたちが学生の頃から親しんできたADA EDITAのGAシリーズは、ほぼ36cm*26cmという大きな版型だから、本棚には特別席を必要としてきた。しかしGAたちのすてきなところは、そのことをむしろアドバンテージとしたことだ。ぼくたちの記憶の特別席を占める建築たちが特別に大きな写真になって一冊ずつの本に納められていたからだ。
 GAから数十年を経てつくられたバナナブックスは、はじめから日本語と英語で表記するという二川幸夫さんの画期的なスタイルを踏襲していることでもわかるように、GAを念頭においてつくられたにちがいない。うまくいけば、バナナブックスも特別席を占めることができるだろうが、それはGAとはまったく別のところ、たとえばジャケットやバッグのサイドポケットだ。

 修道院という建築は、それ自体がとても魅力的だ。なにしろそこは、日常の生活や生産と同時に、宇宙の無限大への広がりと自らのうちへの探求がひとつの場所で一致する、小さな惑星のようなものなのだから。
 この小さな本には、GAの大きな写真が伝えるのと同じものを伝えることは、けっしてできないし、ひとつの「惑星」を伝えきることもできない。しかし、ページをパラパラとめくって修道院のあちらこちらを瞬時に移動して巡るうちに、小さいおかげで、かえって全体像がぼくたちのなかに作られやすくなる。コンピューターに取り込んだ写真をスライドショーで見る時のように、ぼくの中に保存された。
 図面を自在に拡大縮小できるCADのおかげで、あるいは携帯電話と大きなディスプレイとの間を始終行き来しているおかげで、いつのまにかぼくたちは小さな画像によって想像力をひろげる訓練ができているらしい。飛行機の中で見た小さな液晶画面の「Mr.インクレディブル」(the Incredibles)でも充分に感動したり興奮が残されたりしたから、それをどこで見たものだったかを誤解してしまうほどで、自分でおどろいたことがある。さらにぼくたちは、Google Earthを開けばこのあたりの地形について知ることができるし、日本列島もラ・トゥーレットも、同じ惑星の上に乗っていることを実感として知っている。
 GAシリーズのラトゥーレットがみつからないので、ユニテ・ダビタシオンと並べて記念撮影をした。バナナブックスをGAとならべるとずいぶん大きさの印象が違うのだが、面積で比較するとGAの936cm2に対してバナナブックスは315cm2だから、ほぼ1/3。数字にしてみると思いのほかバナナブックスは大きい。1/3の大きさをいつでも持ち運べるというのはうれしい。
 ラ・トゥーレットはコルビュジェが死ぬ1965年まで5年というときに竣工した。開くことと閉じること、影と光、住宅と教会のためのたくさんのボキャブラリーがのこされている・・・はずだ。AKiさんはおもいのほか小ぶりで驚いたと書かれているが、まだぼくは行ったことがない。訪れる時には、この本をポケットに入れて、本のあちらこちらに書き込みを残してこよう。その時には、MacBookかiPhoneでGoogle Earthをつれていくことになるのだろう。ラ・トゥーレットにはFONがあるんだろうか?そもそも、若い修道士たちは、インターネットをつかっているのだろうか。思いはつきない。

投稿者 玉井一匡 : April 22, 2007 06:44 PM
コメント

石原さん
じつはぼくもバナナブックスを見て岩波写真文庫を思い出していました。オジキが岩波にいたので、うちには子供のころから身近に写真文庫がありましたから、ぼくにとってはモノクロの写真文庫は戦後のイメージをよびさます呪文のような本です。あのころは、アメリカっていうことばが、ほとんど外国という意味でもありました。バナナブックスは、建築の専門家でない人たちも気軽に買ったり手に取ったりしてくれるような、けれども専門家の鑑賞にたえるというような本になるといいですね。たとえばこどもたちが、家に転がっている本を目にしているうちに自然に建築のことが身について、あとになってからそれがじんわりと影響をおよぼしてゆくというようなことができたら、すてきだなあ。

Posted by: 玉井一匡 : April 27, 2007 11:37 AM

マック全快おめでとうございます。
会社を立ち上げてから早20年です。まだインターネットが始まる前につけた社名です。二川さんのGAは、意識のなかにあったと思います。
さて、A5の版型を選んだ第一のわけは、岩波写真文庫の現代バージョンをつくりたかったことです。子供のころ、家にさまざまな岩波写真文庫があり、これが世界やさまざまなジャンルへの窓になっていたことが記憶のなかにあります。

Posted by: 石原秀一 : April 27, 2007 11:01 AM

石原さん 数日のあいだ入院していたMacBookがもどってきて、初めてのコメントです。キーボードがさらさらで気持ちいい。
そういえば、石原さんのところの会社の名称はGrobal Netだけれど、GAはGrobal Architectureですね。もしかすると、それも二川さんからきていたんですか。バナナブックスが、GAとはうまく棲み分けするということは、ぼくたち読者からすれば、さまざまなメディアをいろいろな形で生かすことができるということでもあるわけで、とてもうれしいことです。
バナナブックスは1200円だからamazonnから買うときに送料がかかるので、ぼくはCDを注文したけれど、二冊まとめて買えば送料がいらなくなるのですね。

Posted by: 玉井一匡 : April 25, 2007 07:40 AM

玉井さんへ 批評ありがとうございます。そうなのです。GAの二川さんに対してバナナブックスのポジションをどこにするかずいぶん考えました。日本だけではなく、海外へ発信する手立てとしてハンディに場を置いて編集、発行することにしました。小さくしたことにより、逆に写真とテキストのバランスに神経を使います。手元に置いていただき、パラパラといつも見ていただければ幸いです。 次は、サヴォア邸です。

Posted by: 石原秀一 : April 24, 2007 06:16 PM
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