October 04, 2007

Z-1グランプリ:直線109m雑巾がけレース

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先日の朝、NHKのテレビを見ていると、かつて朝ドラの主役を演じていた女優が木造の小学校の教室前とおぼしき廊下で雑巾がけをしていた。ひたすら長い一直線の廊下を全力疾走の雑巾がけの半ばにして彼女は力を失って転倒した。あれくらいのことでと、ぼくはその挫折を嗤っていたが、聞けばその廊下は全長109m。ただ走るだけでも僕は息絶えるかもしれないと、すぐさまみずからの軽率を恥じた。
 廊下は1間ほどの幅で、それと同じ長さの土間が、やはり1間の幅で建物の端から端まで続いている。引き違いのガラス戸が教室の両端にあって、その間は腰壁のうえにガラス入りの引き戸。廊下からは、そのガラス越しに教室の中が見える。教室から廊下が見えるという、かつての小学校の廊下の王道だ。それがひたすら一直線だから、登下校時には廊下にあふれる子供たちの豊穣を一望にすることができたのだ。
1.82×60=109.2。尺貫法でいえば60間だ。ひとクラス5間ずつの教室が一学年2教室ずつで、合計12教室がならぶということなのだろう。

 かつて宇和町小学校だった建物が、いまでは移築されて「宇和米博物館」(愛媛県西予市宇和町卯之町二丁目24番地)となっているのだという。このサイトには内外を360°回転して見られる写真があって、廊下の様子がよくわかる。GoogleMapで見れば、山を背後に控えたひたすら一直線がいかにも潔い。
蓮華王院三十三間堂の2倍もあろうかという長さ、サッカーのゴールからゴールまで走るより少し長い。

この廊下を使ったすてきな催しがある。
今年は10月14日に決勝が行われるZ-1グランプリ。Zは、いうまでもなく雑巾の頭文字だ。109mの雑巾がけのタイムレースで、参加者には専用の雑巾と膝当てが支給され、小学生以下・一般シングルスの男女・それにダブルスという4種目。
 賞品として米が贈られるのは、現在の建物の用途からして当然。協賛にはラジオ・テレビの放送局の他にダスキンが名を連ねている。

 これまでの最高記録を聞いて唖然とした。・・・・・18秒38。ただ走るだけでも、ぼくは完走できないかもしれない。この記録は遠く及ばないだろう。レースの様子を記録したビデオがないかと探してみたら、これがみつかった。ふたりずつでこんな具合に行われるのだ。(movie)
ここに行けば、いつでも雑巾がけをすることができるらしい。価値の数量化を、ぼくは気に入らないことが多いけれど、誰もがここでやって時間を計ってみれば、たちどころにZ-1レースの一部を共有する参加者になれる。
記録保持者とこの企画を考えたひとを、ぼくは尊敬したい。

投稿者 玉井一匡 : October 4, 2007 11:13 PM
コメント

こんこんさん
こんなすてきな学校を母校に持つことができたのは、ほんとうにしあわせなことですね。うらやましいかぎりです。
それなのに、日本中のどこの学校でもコンクリートのつまらない校舎に建て替えてしまいました。それを、近代化だと思いこんでいたし、国や自治体が建物をつくりたがったんですね。よくいえば内需の拡大のために、悪く言えば土建業界にお金を流すための重要なしくみだったわけで、もう、今では悔やんでも遅いことになってしまいました。
せめて、残されているところだけでも、こうやって活用されているというのは、ほんとうにうれしいことです。

Posted by: 玉井一匡 : December 15, 2009 11:58 AM

追記
あ・・・すんません^^; もう一言っす。
ちなみに、現在の形になる前、文化財指定になる時に、価値を認められながらも保存不可能とされ、惜しまれつつ消えたものに、「本館」「百間廊下」「講堂」がありました。
あれだけ立派な作りは、技術面は勿論、現代その木材を用意する事さえ厳しい程のもの。 残念です。

Posted by: こんこん : December 15, 2009 02:24 AM

私も卒業生です。建て壊し直前の。岡本さんの投稿で懐かしくなりましたね~。人数が多い時代は1学年4クラスの時もあったんですよ。
古さも広さも歴史的な学校で、日本で1・2と数えられるものが沢山あった。 天井が異様に高く、本館以外オール平屋建てw 120年経ってると言われた本館2階建ては、現代住居の3階建てより高いw んで、山が敷地の一部w 無柱、完全木造での体育館(講堂)の広さも驚異的でした。
最高に楽しい学校で、今の鉄筋なんて絶対ヤダw 走り回れるし、転んでも怪我しない。 平屋だからどっからでも出入りできたw 子供が触るから、廊下とかツルツルなんです。
あんな超贅沢な学校もう2度と作れないって聞いてたけど、今作ったら鉄筋校舎の何倍もかかるらしいね。

Posted by: こんこん : December 15, 2009 02:10 AM

岡本さん
新しいコメントに気づかず、失礼しました。
さっそく、宇和島小学校を宇和町小学校に訂正しました。
こういう学校を母校としてもっていらっしゃることを羨ましく思います。
おかげさまで、このビデオを久しぶりに見て、おもわず共感の笑みが浮かびました。

Posted by: 玉井一匡 : August 20, 2009 06:29 PM

私はその小学校出身ですが、宇和島町小学校ではなく宇和町小学校です、当時は1学年月、花、松と3クラスあり、その廊下は1年生から4年生までの廊下です。よく昔は廊下でかけっこもしました。Z-1で今でも残っているということは嬉しいものです。

Posted by: 岡本 : August 14, 2009 10:01 PM

AKiさん
面白いですね。建物のつくりかたも、それを生かしたイベントもすこぶる素直なのに、意表をつかれた感じがしました。実をいうと、ぼくはここに行ったらやってみたいと思っています。何十年も100mをはしったことさえないのですが。
わたくしも、宇和島は瀬戸内海側のように思いこんでいたし、宇和島は島でしょうか?というクイズを突きつけられたら自信をもって答えることはできなかったかもしれません。Google Earthで見ると、本当に瀬戸内海に島が多いことを実感しました。

Posted by: 玉井一匡 : October 7, 2007 12:40 PM

kawaさん
教科書通りの平面なのだからどこにでもありそうなのに、他にはちょっと記憶にないところを見ると、普通ならこの規模になると2階建てにするということなのでしょうね。で、真ん中に唐破風の玄関があって正面に堂々の階段というスタイルにしたがる。この学校ではそれを平屋にしたところが、設計者か町長の考え方の非凡なところなのでしょうね。
土間は全面がガラス戸なのかと思ったら、外観の写真を見ると思いのほか壁が多いので驚きました。台風への備えのためなのでしょうか。

Posted by: 玉井一匡 : October 7, 2007 12:32 PM

やぁ、面白いですね。やる気はないけど。ただただ直線での走行を競技するところは、自動車競技でいえばドラッグレースに似ていますね。
GoogleMap も見ましたが、60間の細長い建屋がいいですね。Map を引いて見たら、宇和島ってこんなところにあったんだ...と勉強になりました。

Posted by: AKi : October 7, 2007 10:13 AM

番組の内、女優さんがやってみる所だけ、私も見ました。学校建築の教科書通りではあるのですが、廊下に沿って土間が続いているのが不思議でした。

Posted by: kawa : October 7, 2007 10:07 AM
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