September 03, 2008

ヘクソカズラはくさいか?

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 世の中にひどい名前というものはいろいろあるが、「ヘクソカズラ」は、中でも一二を争うものだろうと前々から思っていた。漢字にすれば「屁糞葛」ということになる。あまりではないかと思っていたのに、これまで自分でにおいを嗅いでみたことがない。さぞかしひどい匂いがするだろうと思って気が進まなかったのかもしれない。
 公園のフェンス沿いの雑草にからみついているやつの花に、おそるおそる鼻を近づけて嗅いでみた。・・・が、これは悪臭とはいえないぞ。匂いでなく香りと言いうべきだ。むしろ芳香かもしれない。いったいどういうわけで、こんな名をつけられたんだろうか。

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 「草木花 歳時記」という本がある。その夏の巻、末尾の索引から探してみるとヘクソカズラはあった。
あるにはあるのだが、本文の見出しには「灸花(やいとばな)」という名が使われていて、その下に別名として「へくそ葛、早乙女花」。「かわいい花に似合わず、茎や葉にいやな匂いがあるので屁糞葛の名のほうが一般には通りがよい」と書かれている。

「やいと」とはお灸のことだ。花のかたちが、盛り上げたモグサのようだし花を外側から見れば白いのに内側が濃い赤なので、白い肌を透かして赤い色が見える。それが、ちょうど火をつけたお灸が中の方で燃えているさまに似ているからだと説明されている。歳時記に書かれている別名というのは、とかく気取ったものいいにつかわれそうなものが多いけれど、さすがにこいつは特別扱いをしてやりたい。
この本の解説には葉や茎に悪臭があるのが、へクソカズラの名の由来だと書いてあった。花ではなくて、茎と葉がくさいのかと思って、茎と葉の匂いを嗅ぐために、また公園に寄ってみた。

葉と茎に鼻を寄せてかいでみるがどちらにも、なんの悪臭もない。つまんでつぶしてみたが悪臭はない。
ためしに、茎と葉を少し食べてみた。が、ただ青臭いだけだった。
何の恨みがあるんだろうか、ひどいぬれぎぬではないか。そうは思うものの、すでに深くぼくの記憶に刷り込まれた「ヘクソカズラ」は、もう消しようがない。ちっとも臭くないんだと知ってからは、こういう名称をあたえた人間たちを「ヘクソカズラ」が、むしろあざ笑っているように思われる。お前はやはり、ヘクソカズラと呼ばれながら、じつはなかなかいい香りがするんだと思いながら大きな顔をしているがいい。

■関連エントリー:「季語」/MyPlace

投稿者 玉井一匡 : September 3, 2008 11:06 PM
コメント

kadoorie-aveさん
そういえば、ぼくがヘクソカズラという言葉を知ったのは、妻の母がリースをつくっていたのを見聞きしているうちのいつかでした。オレンジがかった茶色の、胡椒の粒のようなやつ。なんでこれがヘクソカズラなのかと思ってから、十数年にもなると思いますが、これまで自分で確かめてみなかったのが、むしろ不思議です。
たしかに、クソカズラっていうよりはいいかもしれないと感じるのはどういうわけでしょう。
カメムシは、昆虫といえばなんでも捕まえてみた子供の頃に、悪臭に懲りて以来、決してさわらなくなりましたが、芋虫のなかには、さわるとオレンジ色などの毒々しい角を延ばしながら悪臭をはなつやつがいて、その豹変ぶりが面白くて棒でつついたりしました。
ヘクソカズラの匂いについては徹底的に追跡してみます。とはいえ、ラオスでカメムシをむしろスパイスとして香りを生かすのだと言いますが、あまり気が進まないなあ。
ところで、セミをWikipediaで調べたときに、セミはカメムシ目に属すると書かれていました。植物の幹にへばりついている様子とか、背中と羽の構成などは、たしかに通じるところがありますね。

Posted by: 玉井一匡 : September 16, 2008 02:45 AM

私は実が黄金色になった頃の「へクソカズラ」ファンです♪フェンスに絡まるのをくるくるっとまとめて、小さなリースを作って仕事机の周りに飾ったりします。変な名前だけど実はけっこう可愛い...というところが気に入っています。(ヘクソカズラ自体のにおい自体よりも、むかし蔓と一緒に思い切り握ってしまったカメムシのニオイの方がショックでした。)
今調べたら、へクソ...には「早乙女花」という名前もあるんですね。けれど、万葉集での呼び名は「クソカズラ」...それならいっそ「ヘクソカズラ」のままのほうがいいような気もします。(http://pianix.exblog.jp/3994821/)
花言葉 : 誤解を解きたい(http://surugaki.exblog.jp/3501136)
しもやけ、あかぎれなどの外用民間薬のほか、生薬の鶏屎藤果としてもしられている(Wikipedia)ということですから、玉井さん是非また実験してみて下さい...。(ちなみにカメムシもラオスでは食用にされるようです。油っこい味と特有のにおいがある。種によっては食後に口中に清涼感が広がる...とありましたから....)

Posted by: kadoorie-ave : September 15, 2008 12:03 AM

光代さん
こんな名前をつけるなんて、ほんとうにひどい話ですよね。
ぼくは名前の方を先に知りましたから、どうしても先入観からはなれられないところがあります。先に映画を観てから小説を読むと、どうしても役者の顔がうかんできてしまうような。
もちろん、報告します。じつは、fuRuさんは自分の匂いを嗅いでいたのかもしれないですね。本人には内緒ですが。

Posted by: 玉井一匡 : September 5, 2008 02:43 PM

fuRuさん
そうなんですか?
実をつけて葉を落としたツルは生け花にも使われますよね。枯れた状態も試してみようと思っていましたから、たのしみだなあ。

Posted by: 玉井一匡 : September 5, 2008 02:34 PM

これって そんな名前だったんですか!何とまあ、愛情のない事!
可愛い花のイメージしか有りませんでした。
・・・と興味をもって読んでいましたが、fuRu氏のコメントも気になります。
「続き」に期待致しますね。

Posted by: 光代 : September 5, 2008 01:48 PM

いやいや、けっこう臭うんですよ
特に実が褐色になってきたころお試しくださいませ

Posted by: fuRu : September 5, 2008 12:07 PM
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