February 11, 2009

「天から降りてきた日本のマナ」:岩渕真奈

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 昨夜の、サッカー2010年ワールドカップのアジア予選で、日本はオーストラリア相手に0−0で引き分けた。
同じ相手にドイツ大会で3−1で敗れ、しかも日本がとった1点は幸運の手助けをうけたのだったから、11日の結果はよくやったというべきなのかもしれないが、ファンとしては満足できない。岡田もこのまま続いちゃうんだろう。
 このごろ、日本のスポーツの多くの分野で女子の方がすぐれているのは周知の通りだが、昨年のオリンピックのサッカーも女子の方が楽しみであることがあきらかになった。それにもまして、昨年の10月から11月にかけて、ニュージーランドで開かれた女子の17歳以下ワールドカップでは希望を抱き胸が高鳴った。といっても、ぼくはテレビでは見られなかったので、FIFAのサイトの記事を追っていた。
 日本チームはグループリーグを圧倒的な強さで1位突破した。
女子サッカーでは世界最強のアメリカを初戦で3−2で破ると、2戦目のフランスにはじつに7−1、パラグアイに7−2で圧勝した。だが、残念ながらトーナメントではイングランドに2−2からPK戦で負けてベストエイトに終わった。にもかかわらず、大会の最優秀選手(adidas Golden Ball)3人のうちの一番目に、日本の岩渕真奈15歳が選ばれた。FIFAのホームページの速報は、試合ごとに彼女と日本のチームを絶賛した。

 そのうちにNumberででも取り上げてくれないかと期待していたが、なぜか日本のマスコミでは、このことを取り上げない。まだ中学生だからそっとしておこうというような心遣いを、日本のマスコミがしているのだとすればうれしいことだが、FIFAのサイトからも、いつのまにか予選の詳細はなくなってしまったので、記録を残しておきたくなった。それにもまして、ぼく自身が日本語で読みたかったのだ。さいわい、アメリカに勝った初戦とイングランドに負けた最後の試合だけは記事と写真を保存しておいたので、まずはアメリカ戦の記事をブログに残しておこう。YouTubeのビデオを見ると、かならずしも岩渕だけが傑出しているのではなく、チームそのものがすこぶる魅力的なサッカーをしているのだ。

初戦のときの記事を日本語訳して写真を添えておこう。

Mana2S.jpgClick to PopuP:FIFA.comより
      *  *  *  *  *  *  *
「天から降りてきた日本のマナ」(予選リーグの試合速報/FIFAによる)
(真奈という名前と、荒野で食べるもののなくなったユダヤびとにマンナという食べ物を神が降らせたという旧約聖書のエピソードをかけた見出しなのだろう。wikipediaには、当然ながら「マンナ」より「manna」の方が丁寧な記述があります。)
 
 なんという選手だ。わずか15才にして、いずれ彼女は女子サッカーのスターになるだろうという私の思いに、だれも異論はあるまい。
この思いはわたしだけではない、ハミルトンにあるワイカト・スタジアムに居合わせた全ての観客の間にもつぎつぎと伝わり、2戦目で日本チームとあたるフランスチームの監督ジェラール・セルジャンさえ例外ではなく、だれしも日本の10番・岩渕真奈に夢中になった。セルジャンの目の前で、ヤングなでしこのプレイメーカーはニュージーランド2008の大会の中でも傑出したパフォーマンスを示し、優美と技と狡猾でニュージーランドの観客にスリルを楽しませ、アメリカのサポーターを苦しめた。
 セルジャンが眉をひそめ岩渕にマーカーをつけるべきか否かと頭を悩ますのをよそに、真奈の監督吉田弘は秘蔵っ子について尋ねられると、手を左右に動かすしぐさで彼女のしなやかですばやい動きを示しながら笑みを浮かべる。岩渕は15才にして日本のチームに欠かせない「うちのキープレイヤー」だという吉田の言葉をまつまでもなく、足をすくわれたアメリカ選手たちがいさぎよく賛辞を送り、チームのスターのひとりに「あの子は、ずば抜けているわ」とさえ言わせた。
「前半は、ちょっとナーバスになっていました」と岩渕はFIFA.comに話した。「初めての試合だったし、なにしろ相手が強いアメリカでしたから。でも、わたしたちはとにかく自分らしくやれたので、それがわかってからはすっかりリラックスして試合を楽しめるようになりました。」

ーわたしには、グループ戦をトップで突破することが、とても重要なんですー

岩渕は、目標を高くおいているのだ。
「わたしたちには、グループ戦をトップで突破することが、とても重要なんです。それには、全勝しなければなりません」
 目標にしている選手は?ときかれると、岩渕はリオネル・メッシと女子サッカーのマルタをあげた。スピードにあふれたアルゼンチンの天才メッシや女子サッカー最高のタレントとは、まだ肩を並べるのは早いにしても、技術には通じるところがあるのはまちがいない。身長がないというところは彼女のアイドルたちと同じだが、15歳という若さは、パワーと身体能力をマルタまで伸ばす時間が充分にあるということだ。今大会の参加者中で二番目の軽量44㎏という身体で、すでに蝶のように舞い蜂のように刺すという域に達している。
 彼女を体格の差で阻止しようという試みは、はじめ泥沼にはまったものの後半戦ではときにパニックに陥りながらも二人がかりの守備がある程度成功した。にもかかわらず、同じやり方は通用しないと岩渕はフランスに警告している。「後半は、前半ほどには思うようなプレイができませんでした。アメリカのプレッシャーが強くなったんです」と認めながら「でも、こういう戦術を実際に経験できたのは、とてもよかったと思います。もう相手の出方が予測できますから、つぎの試合ではなんとか対応できると思います、きっと」
レ・ブリュエット(フランス女子)にとってはやっかいなことだが、ニュージーランドに来てから、まだ彼女のベストを見せていないというのだ。
「わたしも、チームも、アメリカとやったときよりもずっといいプレイができます」と。
北米代表を相手に見せたアジア代表の攻め上がりは、すでにとても美しい戦い方だったから、それよりももっとよくなるというのはおどろくべき発言だ。たしかに、岩渕はベストに達しないまま安住するプレイヤーではない。あこがれていたチームを破ったということは日本もタイトル争いに名乗りを上げたということだねとたずねると、躊躇なく答えた。「もちろんです」
まもなく彼女の自信が検証される時が来る。指揮官の大胆な予言からすれば、これは信ずるにたる予測のようだ。    (玉井訳/誤訳があるといけないので以下に原文を添えます。)


--Japan's Mana from heaven--

"What a player! She's young - only 15, I think - but you can she is a future star of women's football."
These words, echoing the thoughts of everyone inside Hamilton's Waikato Stadium, belonged to France coach Gerard Sergent, and were devoted to Japan's brilliant No10, Mana Iwabuchi. Sergent had just watched the Young Nadeshiko playmaker provide arguably the outstanding individual performance of New Zealand 2008 to date, thrilling the Kiwi crowd and tormenting favourites USA with a display of grace, skill and cunning.
While Sergent furrowed his brow and pondered the merits of assigning a marker to follow Iwabuchi's every step this Sunday, her own coach, Hiroshi Yoshida, merely grinned when asked about his talisman, moving his hand quickly from side-to-side to symbolise her lithe, darting movements. It certainly didn't require Yoshida labelling Iwabuchi "my key player" to identify the 15-year-old's importance to Japan's cause, with the heavily-tipped Americans left to graciously pay tribute to a player hailed as "outstanding" by one crestfallen US star.
"I was actually a bit nervous beforehand," Iwabuchi told FIFA.com, "just because it was the first game and it was against a great team in the US. But we managed to play our own style against them and once I saw that we could do that, I became more relaxed and started to enjoy the match.


--It was a great one for us to win because my ambition is to finish top of this group.--

Iwabuchi is setting her sights high.

"It was a great one for us to win because my ambition is to finish top of this group. And to do that, we're going to need to keep on winning."
When prompted, Iwabuchi named Lionel Messi and Marta as the players upon whom she has modelled her game, and while comparisons with Argentina's darting genius and women's football's greatest talent are perhaps premature, the technical similarities are nonetheless too obvious to ignore. Like her idols, she also lacks in height, and while the 15-year-old would benefit from developing Marta's power and physique - at just 44 kilos, she is the second-lightest player in the entire tournament - she is already well capable of floating like a butterfly, stinging like a bee.
The Americans' attempts to dominate her physically certainly floundered and while their panicked plan of ‘doubling up' succeeded to an extent in the second half, Iwabuchi warned France that the same ploy will not work twice. "In the second half, I wasn't able to control the play as I had in the first because of the pressure the Americans put on me," she admitted. "But it was a good for me to experience that kind of tactic and now I know what to expect, I'm sure I can cope with it in our next match."
Worryingly for Les Bleuettes, she also insists that New Zealand hasn't seen anywhere near the best of her yet. "I can do a lot better than I did against the US," she said. "I know I can. And so can our team."
This might seem a remarkable statement, given the stylish manner in which Asia's runners-up disposed of their North American counterparts, but Iwabuchi is clearly a player unaccustomed to settling for anything short of the best. Indeed, when asked if beating the favourites meant that Japan too could now be considered candidates for the title, she responded without hesitation. "Oh yes. Definitely!"
Only time will tell whether her confidence is justified, of course. As for Sergent's bold prediction, that looks to be a safer forecast altogether.

投稿者 玉井一匡 : February 11, 2009 11:59 PM
コメント

マスクマンさん
 そうらしいですね。
ワールドカップでは、まだまだお姉さんたちに遠慮があるようでしたから、オリンピックで本領を発揮してもらいたいと思っていました。
予選は休んで、じっくり治療に専念しつつ、意欲を高めてもらいましょう。

Posted by: 玉井一匡 : August 9, 2011 11:57 AM

あ すみません 集合写真の一番右ではなく
左でした。

岩清水選手のブログ記事はこちらです。
  ↓
http://ameblo.jp/azusa1014/entry-10978909208.html

Posted by: マスクマンすずめ : August 9, 2011 11:51 AM

岩清水選手のブログを見ていたら、スイカ割りの集合写真の一番右に松葉杖をついている岩淵選手が写ってました。 もしやと思っていたらやはりワールドカップでの激闘で怪我をしたということで五輪メンバーからは外されてしまいましたね。 でも将来のある選手だからこそロンドンはお休みしても次の舞台に向けてじっくりと準備していってもらいたいものです。

Posted by: マスクマン : August 9, 2011 09:14 AM

古川さん
 何度かピッチに立ちましたが、初戦にドリブル突破でファウルを誘い、宮間のフリーキックをもらって2点目を取ったのがいちばんの功績でしたね。しかし、まだまだお姉さんたちに遠慮している様子で、ボールを受けると、まずはパスを出す相手をさがすので、飛び出しがちょっと遅れるようでした。
 オリンピックでは、もっと成長したところを見せてほしいけれど、だれに代えるのか悩んでしまいます。

Posted by: 玉井一匡 : July 19, 2011 03:26 PM

ワールドカップ優勝という快挙の舞台の、最後の最後でしたがピッチにたっていましたね。

Posted by: 古川泰司 : July 19, 2011 11:25 AM

山口さん
 今日の韓国戦は録画予約しましたが、まだ見ていません。岩渕がやってくれるか、楽しみです。この大会のあと、ちょっと壁にぶつかったようですが、今回の代表メンバーに選ばれたのは成長したということなのでしょう。永里も安藤も活躍しているし、ワールドカップ優勝を期待しましょう。

Posted by: 玉井一匡 : June 18, 2011 05:14 PM

天孫降臨ー神武天皇みたいですね。-新燃岳の近くに降りてきてー高天原で子供のころずいぶん暴れたらしい!木の花咲くや姫か?
長友佑都、伊野波、慎三等も きっと天照大神の血を引いているのか?MSCA

Posted by: 山口 正太郎shotaro : June 10, 2011 04:18 AM

かきのきのクラさん
 
 女子の代表チームは、最後の最後まで諦めずに力を出し尽くすというのは、ほんとうに感動させられましたね。
オリンピックの大会だけでなく、予選の段階からそうでした。
この前のワールドカップも、もう一つ前のオリンピックもそうですね。
 クラさんがおっしゃるように、みんなが見てくれるところで、一試合でも多くサッカーができることがうれしいんだという気持が、ひしひしと伝わるようでした。
 実際、この不況の前に田崎真珠はチームを解散してしまったし、いつサッカーのできない状態になるかもしれないという事実が背中から追い立て、それ以上に、前から「サッカーが好き」という気持が引っ張っているんでしょう。
 
 沢や荒川がアメリカに行ってしまっても、岩渕とU-17がいるさという安心がありますね。アルビの女子もがんばっているようだし、楽しみですね。


 クラさんの「好きだから、サッカーが。」・・・がポスターに書かれているんですか? うらやましいなあ!

Posted by: 玉井一匡 : February 16, 2009 01:53 AM

iGaさん
旅人の高校時代のインタビューはプロ入り直後に見ましたが、おっしゃるとおり、いかにも性格も頭もいいすがすがしい少年という感じでしたね。
あれを思い出しては、ほんとはいいやつなんだと思ってきたのですが・・・
F1の佐藤琢磨が出てきたとき、高校時代の中田のような頭のいい好青年という感じだなと思いました。
中田の場合、おそらく、マスコミは火のないところに煙をたてる記事を書いたり、あるときは袋だたきにして不信感をそだて
ときには掌を返して持ち上げて増長させて、さいごにサニーサイドアップの魔手に仕上げをほどこされて、あんなことになってしまったのでしょう。
 しかし、上村愛子、福原愛、浅田真央なんかは、ちいさな頃からアイドル扱いされながらちゃんと成長しているのは、えらいものだと思うのです。
そういう意味でも女子の方がしっかりしてるのかなあ。

*さきほど、間違えてiGaさんのこのコメントを消してしまいました。それで、かきのきのクラさんのコメントのあとに入れ直すことにしました。
iGaさん、クラさんご容赦ください。

Posted by: 玉井一匡 : February 16, 2009 01:51 AM

kawaさんも書いているように、僕もオリンピックの女子サッカーには感動しました。男子の代表をスタンドに呼んで見せてあげたいほど、気持ちが伝わってきました。なでしこ、ならぬ、彼女たちは、真のサムライでした。でも、偏った母国愛ではなく、たぶん、世界の桧舞台でサッカーをできる喜びを感じての試合、だったからではないでしょうか。それだけ、リーグを含めた試合環境が、男子ほど整っていないのまもしれませんね。このあいだ、地元の少女女子サッカーチームのスローガンを考えてくれとのオーダー(当然ボランティア)があったのですが、
考えたのが「好きだから、サッカーが。」というものでした。目を輝かせ、ボールを追いかけている姿は、少年よりは、ピュアに感じたからです。マナさんの言葉にも、同じものを感じました。これからも、今のなでしこが辿り着けなかった高みを目指して走り続けてほしいですね。;

Posted by: かきのきのクラ : February 15, 2009 10:01 PM

岡田が監督している間はとても見る気になれないので、私、昨日の試合は見ませんでした。

フジテレビがU-17ワールドカップ・女子の前に「すぽると」の枠内で特集した「なでしこSPIRITS 岩渕真奈」がYouTubeにありますね。
http://www.youtube.com/watch?v=ATr6KWRForg
「すぽると」は地上波で欧州サッカーの速報を放送するので、見ますが、ゴールシーンを集めた、あのふざけたナレーションには、分かっていても腹を立ててしまいます。

そういえば自称・旅人も韮崎の高校生だった頃の映像を見る限り、屈託のない少年でしたから、周りの大人が彼をあんな風に変えさせたのでしょうね。それだけに岩渕には真直ぐ育って欲しいですね。

それにしても、対フランス戦の前半だけで6得点とは凄いです。

Posted by: iGa : February 12, 2009 05:05 PM

fuRuさん
岩渕のことは、この大会のまえにフジのスポーツニュースで、15歳でU17の代表になったというので紹介されていたのて知りました。
トップ代表の試合だと、オリンピックやワールドカップの予選から、BSや地上波でも放送してくれるのですが、この大会はフジテレビのCSしか放送がありませんでした。
うちのテレビでは見られないし、スポーツ新聞や日本のスポーツ関連のニュースサイトでも報道されなかったから、FIFAのサイトが唯一の情報源なのでした。

Posted by: 玉井一匡 : February 12, 2009 04:27 PM

kawaさん
女子サッカーのチームは、最後の最後まで全力をつくして、しかもちゃーんと追いついたり逆転したりするから、いつも感動的なゲームをしますね。
ドイツとの試合は、たしかによかったですね。負けた試合なのに、満足感を残すというのは、滅多にできることではないですね。
いい試合をして勝たないと、所属チームがいつ廃部になるかわからないというせっぱつまったところがあるからなのでしょうか。
U-17の子たちがトップにくる、この次のオリンピックは、優勝できるかもしれないと、ひそかに期待しているのです。
日本では、もうベレーザのメンバーとして、沢や荒川と一緒にプレイしているようです。

Posted by: 玉井一匡 : February 12, 2009 04:13 PM

IWABUCHIのプレイをついつい見てしまいました。
こんな戦いが昨年 おこなわれていたんですね。
まっすぐなプレイが素敵でした。

Posted by: fuRu : February 12, 2009 03:14 PM

この間のオリンピックでも一番印象に残ったのは女子サッカーのドイツ戦でした。負けはしましたが、その内容と質では圧倒していた様に思いました。
技術と体力は必要ですが、私達が見たいのはそれを使って何をするかです。センスとアイデアとタイミングにあふれたU-17の動画、素晴らしいと思いました。男子より面白い女子サッカーなんて想像もしていませんでした。

Posted by: kawa : February 12, 2009 01:56 PM
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