June 13, 2009

モンゴルの20歳の校長先生:「シリーズ 20歳の挑戦 第1回 愛して伸ばせ」

20SaiKoCho.jpg 先日の朝、BSでモンゴルを撮ったドキュメンタリーを放送していた。見始めたら興味深くて最後まで見てしまった。「非電化工房」の非電化冷蔵庫をモンゴルに行ってつくってきたという話を思い出したから見はじめたのだが、すてきな話だったので録画しておけばよかったと気づいたのはあとの祭り。「NHKオンライン」で検索すると、「シリーズ 20歳の挑戦 第1回 愛して伸ばせ」という番組で、もう一度6月14日の日曜日午後11:40から12:00まで再放送がある。たった20分しかない番組だったのだ。さっそくぼくは録画予約したが、できるだけ多くのひとに見てもらおうと思い放送前に駆け込みのエントリーをすることにした。

 モンゴルでも近頃は経済が自由化されたので、たくさんの私立学校ができるようになった。
そのひとつに20歳の校長先生の学校があるというのだ。モンゴルにも格差社会が始まったというのかと見ていると、そんなつまらない話ではなかった。

 ずいぶん若い校長だとだれしも驚くだろうが、彼は16の歳でこの学校をつくって、すでに4年が経っている。彼はとび級で大学に入り16歳ではもう卒業した。自分で考えてみつけた方法をこどもたちに伝えたくて学校をはじめたのだという。天才でありながら、それをたとえば自分自身の利益や出世という世俗的な目的のためではなく、自分の研究のためにですらなく、こどもたちのために使いたいと考える若者がいるところに、この国が若く健全な時代にあることがわかる。そうするに値する国だと、少なくとも彼に思わせるほどの国なのだ。GDPや経済成長率などというものは国の健康や質を示す指標ではなく、ただ体重のようなものなのかもしれない。日本という国だって、いまでこそこんなデブになってしまったが、かつては空腹だが健康で意欲にあふれ未来を信じていた時期があった。
 彼はエリート教育を受けたわけではない。それどころか、まだ小さい頃に母が病気になり、のちに父親が家を出て行ってしまう。学校をやめて母と弟たちを養わなければならなくなり、独学で学ばざるをえなくなった。そのときに見つけた学習方法をふまえて学校をつくったのだった。

 小学校から高校までの生徒がいる彼の学校では、学科にわけて授業をしない。既製の言葉で言えば総合学習だ。かつて「ミュンヘンの小学生」という本を読んで、ぼくたち夫婦はシュタイナー学校の教育にひどく感動した。こういう学校をつくりたいとぼくたちは思ったのだが、彼は小学生にしてそれを自分自身の力でみつけたのだ。
 ぼくたちの受けた教育は、国語、数学、理科、社会科などという学科に刻まれていたが、じつは世界というものはひとつであって、それをさまざまな切り口から別の見方をしているにすぎない。だからそれをひとつの授業のなかで見つけさせることで、世界はひとつのものなのだと理解してもらおうという考え方なのだ。
しかし、この教育方法は容易なことではない。まず先生自身が、おなじ一つのものごとについてあらゆる方向から考えることができる能力を身につけていなければならないからだ。さらに彼は、他の先生の教育もしなければならないのだ。

Nansa.jpg このドキュメンタリーを見るうちにモンゴルへの思いがふくらんで、ぼくは「天空の草原のナンサ」を見たくなった。うちには、次女が姉にプレゼントしたDVDがあるのだが、ぼくはまだ見そびれていた。
 今朝はそんなことを娘と話していたら、午後にはこんなこともあった。
「玉井さん何でも好きですか?」と、クライアントの娘さんが突然に言った。
「ぼくは、嫌いな食べ物はひとつもなくて、何でもすき。」
「だったら、巣鴨にある「シリンゴル」というモンゴル料理屋さんの、羊肉に塩をしただけで蒸したのをタレにつけて食べる料理がとてもおいしいんです。
玉井さんきっと好きだと思うから、行ってみてください。正確には場所を憶えていないけど」
「じゃあ、インターネットで調べて行ってみますよ」

投稿者 玉井一匡 : June 13, 2009 01:15 AM
コメント

玉井一匡様
コメントありがとうございました。私も先週「天空の草原のナンサ」映画を見ました。モンゴルの遊牧民の生活をそのまま見せた映画でした。懐かしくて...帰りたくななりました。でも、日本でたくさんのことを習っていい教師にならないと。

Posted by: アズザヤ : November 30, 2009 08:11 PM

アズザヤさん
 お役に立つことができて、ここに書いた甲斐がありました。
あの番組を見ても、「天空の草原のナンサ」のこどもたち、親たち、周りのおとなたちを見ても、モンゴルはとてもいいなと思いました。
日本には、たくさんのモンゴル人が勉強にいらしてるのですか?
あなたは、モンゴルに帰ってから先生におなりになるのでしょうね。こちらで、日本のいいところ悪いところをしっかり見ていって、モンゴルを素敵な国にしてください。日本には、とてもいい自然に恵まれていて、それを大切にしなければならないのに、不必要に手を加えてしまったところがたくさんあります。こんどはぼくたち日本人に教えてください。
すでに、この校長先生は、教育とはなにかをわれわれ日本人に教えてくださったと思います。

Posted by: 玉井一匡 : November 28, 2009 10:10 PM

玉井一匡 様
お返事遅くなって申し訳ありません。玉井様のお陰で見られました。教員を目指している私はこの番組を見て自信付きました。たくさんの人も見てほしいです。ありがとうございました。
アズザヤーです。

Posted by: アズザヤ : November 28, 2009 09:24 PM

アズザヤさん
返信コメントがおそくなってごめんなさい。
あなたは日本にいらっしゃるんですか?
NHKのひとが、このブログを見て気にするといけないから、付け加えておきますが、DVDはもちろん無償でお送りします。
住所も分からないので、とにかくメールをお送りしますね。

Posted by: 玉井一匡 : November 20, 2009 09:03 AM

皆さん、こんにちは。アズと申します。モンゴル人の留学生で、いま教師を目指しています。私はまだ「愛して伸ばせ」という番組を見てないんです。ぜひ手に入れたいです。送って頂きますでしょうか。よろしくお願いします。

Posted by: アズザヤ : November 17, 2009 01:27 PM

えっ栗さん
見逃したことを残念に思ってくださりありがとうございます。
家族やまわりのひとたちに見てほしくて、ぼくは再放送のときに録画しておきました。DVDにコピーしたものをメール便でお送りします。
・・・といっても住所を知らないか。
目先のペーパーテストの結果などで動揺して、よってたかって否定されましたが、「ゆとり教育」というのは、こういうことを志していたのだろうと思うのです。

Posted by: 玉井一匡 : July 12, 2009 12:08 AM

この番組、見られなくてものすごく残念でした。
知ってたらテスト前でも時間を作りたかった位、惹かれる内容ですね!

校長先生の教育方針を玉井さんのブログで読むと、私自身がこんな学校に通って見たかったと思いました。ばらばらに習うことが、実は一つで、見方が様々であるという総合的な視点を子供の時に、教えてくれる大人がいるということのすばらしさを思わずにはおられません。シュタイナー教育の本だけでも、手にとって見ようかと思っています!

Posted by: えっ栗 : July 11, 2009 12:34 PM

kadoorie-aveさん
コメント遅くなって失礼しました。自宅のモデムがおかしいのか、このところインターネットがつながらず、開けないのです。

無事に番組をごらんになれましたか?もし、料理に夢中だったりしてお忘れになったようでしたらご連絡下さい。ぼくはしっかり録画しましたから、CDにコピーしてお送りします。

 ぼくももう一度見ましたが、こういう人と学校が、よその国であるにせよ存在するということに、やはり勇気づけられました。現在の日本からいえば、学校というよりも塾のような規模だし校庭もほとんどないし、学校として認可されることはないでしょう。制度が確立するというのは、可能性を狭めるということでもあるんですね。
 ちょっと記憶の間違いがあったり、思いを新にしたところがあったので少し加筆訂正しました。5歳で母が病に倒れたとしていましたが、10歳で家族みんなで撮った写真がありましたね。そのあとに母が病気になり父もいなくなったのですね。

Posted by: 玉井一匡 : June 15, 2009 06:04 PM

とても興味があります。今晩...ですね?見逃さないように、私の小さな脳みそが覚えていてくれますようにー。
小学生の頃はおマセな子供だったので、学校の先生や学年の年齢別の切り方など、たくさんの疑問がありました。とても軽い知的しょうがいのある級友を、漢字の書き取りテストの点が悪いからと、先生がみんなの前でばかにした時。「10点満点の5点がとれるまで、班長(私)とあなたは家に帰っちゃいけないよ!班長はちゃんと指導しなさい」と先生が終礼のとき言い放ちました。先生が友だちのプライドを傷つけたことも許せなかったし、同じ歳の子なら同じくらいのレベルの習熟度でないといけないことも不思議なことでした。人それぞれの発達の速度というものがあるのに?ばかにするっていうのもおかしいんじゃないかなと。
教員になってからは、「美術」の教科書の魅力のなさに愕然。大体美術って、どこからどこまでの範囲を美術って決めたのでしょうか?これじゃあ、生徒が面白くない世界だって決めつけてもしかたないなあ...と思いました。(私学なので自由にカリキュラムを考えられて、ちょっと救われましたが。)
長くなってすみません。...というわけで、「学校」と聞くと興味津々です。

Posted by: kadoorie-ave : June 14, 2009 01:09 PM
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