September 10, 2009

ルー・タバキントリオ+岩城里江子

LewTabakin1.jpgClick to open this Jacket.
 昨夜、ルー・タバキン トリオのライブを聴いた。場所は、柏のライブハウス「studio WUU」だった。
  昨年の秋にも同じ場所で同じトリオの演奏を聴いた。そもそも去年このライブのことを、わたしが前座で演奏するといって教えてくれたのは岩城里江子さんだった。
ひどく感動したのに、エントリーしなかったのはなぜだったんだろうか、iPhoneしか手元になくていい写真が撮れなかったし、masaさんがすてきな写真といっしょにkai-wai散策にエントリーしていたから、もうそれで充分だと思ったのかもしれない。今年は、写真をとらないでほしいというのでまた写真がない。
 ところが今年は、思いがけぬ素敵なできごとが起きたので、エントリーをせずにいられなくなった。だから、昨年の演奏のあとに買って三人のサインをもらったCD「Lew Tabackin Trio Live in Paris」のジャケットを使うことにした。(このCDの演奏がまた、とてもいいんだ)
 去年と同じく演奏の前に、ぼくらが学生時代に「スイングジャーナル」の編集長だった児山紀芳さんがマイクの前に立って解説をした。

 「アメリカのジャズ雑誌が毎年、各国のジャズ批評家百数十人の投票によって楽器別に演奏家のランキングを発表します。ぼくは、日本からひとりだけ投票したんですが、ルーは昨年のフルート部門の二位でした。一位は90才の人だから、ルーは現役で実質一位ということになります。夕方に、彼らのリハーサルをこの会場で聴いているときに、まさしく『Soud filled the room(だったと思うが・・・)』という感じがしました。」
 一年前、ぼくたちが聴いたときにも、同じように感じたのだった。ぼくはルー・タバキンのことを秋吉敏子の夫君だという思いばかりが強かったので、演奏を聴くやその認識不足を即座に撤回した。テナーサックスの音の断片のひとつひとつが、身体に沁みこんでぼくたちをゆさぶるのだ。ステージと客席が同じ高さにあるうえに、ぼくたちはドラムのすぐとなりにいたからなおさら、あたかも空気を間にしないでじかにぼくたちのところに音がやってくるようだった。

 7時、演奏開始・・・「ルーが、どこかにいってしまって、まだ戻らないけれど始めます」といって岩城里江子さんがアコーディオンをかかえて椅子に腰をおろした。楽しげにゆるやかに自分自身の曲から入って、4曲が終わる頃にあわせたように、入り口の近くにちゃーんとヒゲの男が現れた。

 去年は驚きに圧倒されていたけれど、今年は、はじめはウォームアップのような気持ちで入っていった。曲が進んですっかり血のめぐりがよくなったところで休憩に入ったあと、後半戦の前にふたたび児山氏が登場した。前半はみなさんの拍手が少々控えめだったように感じたから、後半はもっと盛大にと誘導したあとで
「はじめに演奏した岩城里江子さんが、さいごにルーと一緒に演奏することになりました。ジャズの世界では、そんなふうにして若い演奏家が育ってきたんです」と締めくくった。あとから来る人たちをそうやって育てるのだとすれば、ステージはとてもすてきな学校なんだ。来年はルーと一緒にやってよと、昨年のライブのあとに言ったのが本当になった。

 後半戦にはいって、ぼくたちはテナーのサウナにどっぷりと浸されたり、フルートの涼しい風に吹かれたりしてすっかり心地よくなったあとに、里江さんが加わった。
曲は「枯葉」、ジャズではスタンダードナンバーだし、もともとアコーディオンにもぴったりだ。このひとは、初めてジャズのセッションをやるというのにいささかも動じない。
いつものあふれんばかりの笑顔で、サクス、ドラムを相手にかけあいを演じて楽しんでいる。
そういうところが、里江さんはほんとうに素敵なのだ。
最後に、ルーが里江さんのひたいにKISSをしてくれた。よくやったね、というしるしなのだろう。
 急にいわれたんだと言っていたが、リハーサルはやったんだろうなって思いながら岩城里江子さん自身のブログ「う・らくん家」をよんでみたら、この夜のセッションのことが内側から書かれている。それによれば中休みのときに児山さんから話を持ちかけられたんだそうだ。彼女の親友の松浦さんは「涙が出そうだった」と言ってた。ぼくたちは新たな満足でポケットをふくらませて、とっても得をした気分で人気の少ない電車のベンチを占有して帰った。
駅を降りていえまでの道で、「里江さんがルー・タバキンと一緒に演奏して、掛け合いまでやったよ」と携帯で娘に報告、よろこびを分かちあった。
■Lew Tabackin Trio
 Lew Tabackin : Tenor Sax/Flute
 Boris Kozlov : Bass
 Mark Taylor : Drums

投稿者 玉井一匡 : September 10, 2009 11:59 PM
コメント

らくさん
 重いアコーディオンを抱えていれば、どうしたってバランスをとるために胸を張らざるをえないだろうし、自然に頭を上げるようになっちゃうんだろうなと思って見ていましたが、あれはメンバーを見ていたんですね。そうすうれば余計なことを考えずに音楽の波に乗れるんですね。
 途中でふり向いたら、にっこりといつもの笑顔を浮かべたんで、楽しんでるんだなと分かりました。あの笑顔が、みんなと楽しさを共有できるようにさせるんだね。

Posted by: 玉井一匡 : September 11, 2009 11:28 AM

玉井さん

改めてこうやって読ませていただいて、腹の底からうれしさとありがたさと勇気のようなものが涙になって湧いてきました。

「とにかくバンドのメンバーをよく見なさい。やることがわかるから」と児山先生が仰っていたので、バンドの内側を向いて弾いていたけれども、ふと振り向くとすぐ左の一番前に玉井さんがいらして、わ、ここに、と力強くなりつつも、こんな近くだとうるさかろうなとへんにおかしうれしくなってさらに笑ってしまいました。

ニコニコと帰られる皆さんを見送りながら、どんなにうれしかったか、うまく伝えられないのがもどかしいです。
本当にありがとうございました。

Posted by: らく : September 11, 2009 10:12 AM
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