November 14, 2009

「Walking the High Line」

WalkingHighLine.jpgWalking the High Line/写真: Joel Sternfeld

 「Walking the High Line」が届いた。
amazonで探して新本もあったが古本を注文した。新本より少し安い程度だし時間がかかるだろうがそれよりも外国の古本屋から届けられるということに興味があったからだが、二週間ほどたってとどいたのをみると、ほとんど新本のようにきれいで、送り状にも「Used-Very Good」と書かれている欄があった。
 外国の本には腰巻きがない代わりに裏表紙に説明が書かれていることが多い。この本の裏表紙の解説は、すこぶる簡潔でわかりやすくて、もう余計な説明を必要としないくらいだから、それを訳しておこう。

*裏表紙の解説

 9月11日の攻撃を受けたあと、2001年のニューヨークにつづいた暗い日々のさなか、ジョエル・スターンフェルドはゲルハルト・シュタイデル(でいいんだろうかGelhart Steidelと書かれている)のもとを訪ねると、すぐにも出したい本があるんだと切り出した。
その2年前からスターンフェルドは、マンハッタンのウェストサイドを南北に走る、使われなくなった高架鉄道High Lineの軌道敷の写真を撮り続けていた。それは「フレンズ・オブ・ハイライン」というグループとの協同の活動で、彼らはHigh Lineを解体からまもり公園として蘇らせようとしていた。その不動産価値に目をつけるものや政治的に利用しようとする連中が、ハイラインを解体して跡地を開発する計画を、当時の混乱に乗じて一気に進めようとしていたからだ。
 スタイデルがスターンフェルドの依頼を引き受けると、わずか6週間後には本ができあがってニューヨークにあった。体裁こそ薄かったけれどその本は、それまで秘密に閉ざされていた鉄道敷に、季節ごとの美しい風景があることを、初めてニューヨーカーの眼に教えたのだった。さながら、ウィリアム・ヘンリー・ジャクソンの1870年代に撮ったイエローストーンの写真が、当時の議会を国立公園の設立へみちびいたように、スターンフェルドの写真はハイラインパークの実現への大きな転換点となった。
この、初めての出版から数年が経ったいま、今度は「ウォーキング・ハイライン」の写真に加えて、鉄道がつくられそれが変容していった現在に至るまでを写真と解説によって編年体でまとめ、あらたな一冊の本としてまとめられた。
    *  *  *  *  *

 ぼくは、本をひらいてまず写真を見たから、ページいっぱいの24枚の写真は公園になる前のものばかりであることに、ちょっとはぐらかされる気がしたのだが、そういうわけだったのだ。その写真のハイラインは、ひどく非現実的な印象だった。・・・・・どれも曇り空で、昼間なのに人影はひとつもない。廃止されたレールの上はいうまでもないが、ビルの窓にも人影がない。曇天だから影や太陽を手がかりに時間を想像することもできない。同じような場所で同じ方向を、季節を変えて撮っている写真があるのに、よく見ないとそれも気づかない。線路のずっと向こうまで、周りのビルに焦点が合っているのだ。

 ニューヨークをよく知る人は、見なれた建築、住みなれたまちに、こんな別世界があったことに驚いたのだろう。マンハッタンをつつむ格子状の街路にブロードウェイだけが曲線を描いてニューヨークのリズムに刺激を与えてきたのだが、このハイライン・パークは、クルマもいない空中の公園をニューヨークにつくり出して、素敵な効果を生むにちがいない。Googleマップができたいまは、ぼくたちはいつでも鳥になってHigh Lineを見下ろすことができるようになったのだ。2010年には、残りの工事が終わるそうだ。

■追記:ひと
*ジョエル・スターンフェルド
・Joel Sternfeldのことを、これまで僕は知らなかったが、こんな写真を撮ってきたひとなのだ。
「American Prospects」をはじめとするたくさんの写真集がある

*スティーヴン・ホール
 ウェブサイトで、この計画のコンペの審査員を見ると建築家スティーヴン・ホールの名前があった。彼にはBridge of Housesという計画案がある。高架線の上に集合住宅を載せるというすてきなものだった。それはHigh LIneを生かす提案だったのだと、今になって知った。

■関連エントリー
High Line:ニューヨークの高架鉄道あとの再生

投稿者 玉井一匡 : November 14, 2009 09:11 AM
コメント

玉井さん、ありがとうございます!
陰ながら、いつも見たいな〜って、指をくわえていました。
今日は、High Line直行便に乗れるのですね♫

Posted by: cen : November 21, 2009 10:06 AM

cenさん
追記です
あしたうかがうときに、この本を持っていきますね。
忘れないように、今夜からバッグに入れとこう。

Posted by: 玉井一匡 : November 20, 2009 11:13 PM

cenさん
すでにあるものを残して生かして、植物の力を借りようといのだから、cenさんからすれば特にたまらないっていう気分になるでしょうね。
cenさんは、アメリカでいえばどちらかといえば西海岸やハワイの空気の人のようだけれど、ニューヨークでもウェストサイドとなれば、京島あたりの世界と通じるところがあるんじゃないでしょうか。京島あたりでも、いまあるものを壊してピカピカのうすっぺらなものに置き換えるというのでなく、こんなふうに古い生活の染みこんだものを生かすまちづくりができるといいですね。
ぼくも、High Lineに行ってみたくてしかたなくなっています。

Posted by: 玉井一匡 : November 20, 2009 11:10 PM

この話はやはりしびれます。
ありがとうございます!

Posted by: cen : November 20, 2009 09:54 PM
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