April 20, 2010

伊丹秀敏の三味線 4月24日土曜日

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 まだまだ先のことだと思っていたが、伊丹秀敏さんの三味線をきく「浪曲の夕べ」が、もう今週の末に開かれる。ぼくは、あの三味線を聴くのが楽しみでしかたないのだ。

 いつのことだったか、音の具合を確かめるために伊丹さんが会場にいらして三味線をひいた。ためしに弾いただけのことだから聴き手は四人、時間もわずか数十秒ほどにすぎなかっただろうに、それだけに全身に染みこむすてきな音だった。ぼくたちが三味線に陶然としていると、同行の弟子の水乃金魚(みずのきんとと)さんが「師匠は浪曲もうたえるんです」とおっしゃる。じゃあぜひ唄もきかせてくだいと、言わずにいられなかったが、照れくさそうにしてなかなかウンと言わない。が、やがてじゃあと言ってアーだったろうか、ひと声ふた声出して様子を見たあとに西洋音楽で言えば一小節ほどをうたった。それがまた美しかった。それほどのひとが、あんなに照れるというのも、なんともいえず好もしく思われた。
 「浪曲をうなる」という言い方をするが、浪曲はうなるものばかりでなく、むしろうたうものなのではないか。きっと、うたう浪曲師は演歌を歌う人になってしまい、浪曲の世界にはうなる人が残ったということなのかもしれない。

ItamiPortraitS.jpgClick to PopuP 伊丹敏秀像(by masa)
 昨年、この会場・席亭 宇で講談の田辺一鶴さんの一門会が開かれた。その数ヶ月後、突然、一鶴さんが亡くなってしまった。今年になってから田辺一鶴を偲ぶ会が開かれ、それに出席して兄弟子の話などを聞いていると、一鶴さんの元気な最後の講談をきけたことは幸運なことだったと思いながら、こんなふうにして貴重な芸をもう二度ときけなくなってゆくということが、これから何度も起こるのだろうと思うとなんとも惜しくなってきた。 

 そんなことがあったあと、伊丹さんの三味線を聴く会を「席亭 宇」で開いたらどうだろうかと思いついてmasaさんに相談した。彼はアメリカの音楽を主にきいてきたので、日本の伝統的な芸能のことはほとんど知らなかったというが、玉川スミ米寿記念の会を見て、伴奏をしていたひとの三味線がとてもすてきだということを感じとって、その後も何度か演奏を聴きに行ったと聞いていた。
 玉川さんの舞台がはねたあと、ぼくたちが道で立ち話をしていると小屋の前でmasaさんが誰かと話しているのに気づいた。あとになって、あれはだれなのかと訊ねると、さっき三味線の伴奏をしていた人で、あまりによかったので話を聞いていたのだというのだ。ぼくは主役に目を向けるばかりだったのだろう、まったくそんなことに気づかなかった。しかし、masaさんが惚れ込むんだからきっといい三味線だろうと思っていた。
 そんなわけで、席亭 宇で伊丹さんの三味線を聴きたいとmasaさんに相談したのだが、彼はすぐに水乃金魚さんに電話で相談し、ぼくは席亭 宇の桜井さんに相談した。話はトントン拍子に進んで関宿屋の主・稲葉八朗さんと会場でお会いすることになったのだった。冒頭の話は、そのときのことだ。

ふつうの場合には浪曲の伴奏者は衝立のかげに隠れて演奏するから、客席からは見えないんだということも、会場の下見のときに水乃金魚さんにきいて驚いた。今回は、むしろ三味線と伊丹さんに焦点をあてて解説と浪曲を聴こうという、おそらく稀な機会であるということも、楽しみでしかたない理由のひとつだ。

「そこのおにいさん、おねえさん、聴かないと損をするよ。ワンドリンクと弁当つきで3,500円だよ」という声のきこえそうな柴又とは、江戸川をはさんで向かい合う位置に、松戸はあるのだ。

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■浪曲
浪曲/wikipedia


投稿者 玉井一匡 : April 20, 2010 12:00 PM
コメント

fuRuさん
ようこそ。
いつか、松戸のたい焼き屋のとなりのラーメン屋を知ってるっていう話がありましたよね。

Posted by: 玉井一匡 : April 21, 2010 12:00 PM

masaさん
師匠ですか。
もしかしたら母上なのかとも思っていました。
あらためてwikipediaで「浪曲」をしらべてみたら、知らなかったことや思い出したことがいろいろとありました。
こうしてみると浪曲では昔から女の人が多かったんですね。玉川スミさんだって浪曲師からはじめたそうですし。なぜか講談で女の人が増えたのは、ここ十年二十年くらいのことのように思います。

Posted by: 玉井一匡 : April 21, 2010 11:59 AM

僕も予約しました。
とても楽しみです!

Posted by: fuRu : April 21, 2010 10:39 AM

伊丹秀子さんは、ご想像なさったとおり、伊丹秀敏さんの師匠だそうです。これは秀敏師匠に直接うかがいました。

Posted by: masa : April 21, 2010 10:27 AM

masaさん
ありがとうございます。ぼくは、玉川スミさんのときに伊丹さんの三味線に気づいたmasaさんにおどろきました。あのときに舞台に上がっていた人たちを見ていたら、大変乱暴な言い方をすれば、テレビにはカスばかりとは言わなくとも、カスがたくさん出ているんだということを、おっと、演芸場にはきらりと光る石がたくさんあるんだということをつくづく感じました。あのときにぼくは感じ取れなかった伊丹さんの芸を、こんどは見て聞くことができるのがほんとうに楽しみです。
ところで、wikipediaを読んでいたら、伊丹秀子という浪曲師がいたようですが、なにかの関係があるんでしょうね。

Posted by: 玉井一匡 : April 21, 2010 02:16 AM

玉井さんと「関宿屋さんで伊丹さんの三味線の会ができたら良いな〜」と初めてお話させていただいたときは、まだ夢物語のようでしたが、その後、関係者のお人柄もあってトントン拍子で事が運び、いよいよ今週末には...というところまで来たんですね。細い糸が布になるようにして実現するこの夕べ...もう楽しみでたまりません。きっと伝説的な夕べになるような気がしてなりません。もうワクワクです(^^;

Posted by: masa : April 20, 2010 11:25 PM
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