April 16, 2010

曲がり角の垣根

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 電車でうちにかえるときに、乗り換えずにもうひと駅先まで行ってから歩いて帰ることがたまにある。道中にちょっとした楽しみがあるのだ。
遠くから見れば竹の垣根に張り付いた茶色の固まりとしか見えないやつに近づくと、シュロ縄でつくった亀であることがわかる。こんな東京に、いまだ農家の風情を残した家が一軒。竹の垣根をめぐらせている道路際に大きな欅が数本立っていて、幹の半分ほどが垣根の外にはみ出している。そこでは幹のかたちに沿って垣根をふくらませているから竹でつくった円柱のようだが、垣根の高さより上には切妻屋根のように竹を結んで載せてある。ここには欅の幹も枝もないから、樹は枯れてしまったのだろう。亀は、長生きした欅をしのぶアイコンなのかもしれない。
 この家についてたずねたいことはいろいろあるのだが、天気のいい日は自転車で別の道を通るし、雨が降れば電車に乗ってわざわざ通り道をしようとも思わないから、ぼくがここを歩く機会は少ないせいもあって、この家で人を見かけたことがない。だから、住んでいるひとたちにこの家のことをたずねたことがないのだ。そのうちにたまたま遭遇する機会ができるだろう。

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 大きな樹木があるから、真夏でもこの前の道をとおれば涼やかな空気が漂っている。向かいの住宅でも、この家と同じように大きな木が塀を中断させて道路にはみ出しているのだが、さすがに役所も文句を言わないのだろう。そんな、木への気配りだけでも充分に気持ちよいのだが、この家が外にむける表情もすこぶるおおらかだ。これほどの大きな家であれば、おおかたは瓦をのせた門を設けたりするものだが、ここには屋根はおろか門柱もない。道路に立って視線をむければ、平屋の大きな瓦屋根が、ひろびろとした砂利敷きの前庭の奥にある。写真に見えるのは、おそらく倉庫だろう。庭木をきれいに刈り込むような手を加えているわけではないからたしなむための庭ではないけれど、手入れの行き届いた仕事場で感じることの多いすがすがしさが、ここにはあるのだ。それが、このいえに農家の風情を感じさせるのだろう。

 この道を行くと、つきあたって左に曲がれば案内板が立っていている。
ここは「垣根の垣根の曲がり角・・・・」という童謡「たき火」に歌われていた曲がり角の垣根なのだと、その案内表示に書かれている。

■追記:ケルト文様
iGaさんのコメントで、ぼくはケルト文様というものを初めて知った。wikipediaには「Celtic knot」という項目と「Eternity Knot」という項目がある。なるほど、knotつまり結び目なのだ。Aon Celtic Artsというサイトには、スッポンとおぼしきデザインもある。竹を編んでつくる垣根と編み目の模様、亀の甲羅の編目模様、長命のシンボルとされる亀と「Endress」という組み合わせ、さまざまな意味が重なっているようだ。

*Celtic knot/wikipedia
*Endless knot/wikipedia

投稿者 玉井一匡 : April 16, 2010 08:13 AM
コメント

iGaさん AKiさん
 お二方のコメントのおかげであちらこちら溯って拝読しました。「なるほど」がたくさんありました。どれも、Sights of interestですね。シュロ縄で編んだカメから、谷間の革命にまでたどりついてしまいました。
 celtic crossを45°回転させたこの形は、正方形を縦横3分割する曼荼羅をたどったもののようにも見えます。
それに、無限大の記号「∞」やヘビが自分の尻尾を呑み込んでいるウロボロス、それに卍巴も、これとどこかでつながっているのでしょうね。

Posted by: 玉井一匡 : April 19, 2010 07:57 PM

あっ、いやー...そうでした。(^_^;)

Posted by: iGa : April 19, 2010 02:16 PM

いつも見ているキイボードにケルト文様が……、又々、iGa さんはお忘れのようですね。
http://madconnection.uohp.com/mt/archives/000949.html
http://landship.sub.jp/stocktaking/archives/001657.html

Posted by: AKi : April 19, 2010 12:01 PM

iGaさん
そういえばぼくは、何がウィンザーノットでどれがシングルノットなのか、教えてもらったことも訊ねたこともありません。そのくせ、ジーンズにネクタイをするのはけっこう好きです。結び方は誰かが教えてくれたんだろうなあ。
 そういえば、水引で鶴亀をつくったりするのや籠なんかも、ケルト文様みたいなものですね。円を結ぶってことなんでしょうね。

Posted by: 玉井一匡 : April 18, 2010 02:56 PM

そういえば、ネクタイの結び方も僕らは精々Single KnotとWindsor knot位しか知りませんが、彼の国では我々日本人には数えきれないと云うか憶えきれない程のネクタイの結び方があるみたいですね。

Posted by: iGa : April 18, 2010 12:12 PM

iGaさん
ぼくは、ケルト文様ということは全く意識していませんでした。というより、ケルト文様というものの存在すら、ぼくは知りませんでした。なるほど、そうなんだ。
wikipediaにはCeltic Knotという項目もありました。このことと写真を、エントリーの本文に追記しておきます。

Posted by: 玉井一匡 : April 17, 2010 05:42 PM

何となくアイリッシュ繋がりでケルト文様にも見える亀さんですね。
...あ、やっぱり「垣根の垣根の曲がり角・・・・」でしたか...「曲がり角の垣根」から童謡「たき火」を連想する人は何歳位までだろう...

Posted by: iGa : April 17, 2010 04:56 PM
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