May 03, 2010

VevtorworksではじめるCAD

VectorworksCAD-S.jpgVectorworksではじめるCAD 2010/2009/2008対応 /五十嵐 進 著/ソーテック社/3,800円
 宅配便で本が届けられた。さっそく開いてみると長年愛用しているVevtorworksのマニュアル本の新バージョン「VevtorworksではじめるCAD」だった。いうまでもなく著者は五十嵐進さんだ。すでに、この本のことは五十嵐さん自身によるMADCONNECTIONのエントリーを読んで知っていた。
 その後、愛用のMacBookがふたたび変調をきたして連休中に入院することになった。おかげで外に出るときも自宅にいるときも隣にいたMacがいない。iPhoneでは物足りない。喪失感とはこういうことかと絶えず感じる羽目になった。
 言いかえれば、それほどにMacが肉体化しているわけで、それはぼくの身体(手と脳)の能力を延長したものとして感じられるように、Macができているからなのだ。Vectorworksは、もともとMac用につくられたアプリケーションだったから、Macそのものと同じように、いまではぼくの身体の一部となってしまった。
 しかし、初心者だった頃には、分からないことがあると五十嵐さんに電話をかけて質問して迷惑をかけたが、そのうち、Vectorworksについて質問の電話をかけることがなくなった。ひとつには、ぼくの上達したせいでもあるが、もうひとつには、彼の書いたマニュアル本ができたので、それに相談すればすむようになったからだ。もしかすると、うるさい電話から解放されようという思いがこの本を書かせる力になったのかもしれない。

 このCADの入門書に目を通しているうちに、かつて、手描きからCADに移るのを躊躇していたことを思い出した。図面として建築を表現するのは、ほかの人に計画を伝えるためである前に頭の中で思い描いている建築を図形にして空間を客観的にみるためでもある。自分の頭の中にあることを言語にすることによって思考を客観的に対象化できるのとおなじことだ。
 しかし、機械を間に介したCADでは、それが思うようにできないだろうと思っていた。ワープロ専用機を使い始めた頃には、キーを打ち込んで文章をつくることと考えることがつながるまでには2年くらいかかった。ところが、MiniCAD(Vectorworksの前身)を使い始めたときには、すぐに、考えることと画面に現れるものがつながるようになった。マウスによって、おおよその位置や大きさを画面に描くことができるし、機能の選択もキーボードでなくマウスで選ぶことができたからだ。それに、平面図の壁に高さを与えてやれば、すぐ3次元に姿を変えた。
 さらに、スケール感が長年身体に染みこんでいるのに、1/50の図面1/20の図面がディスプレイの中ではさまざまな大きさに変えられるということに、感覚的に対応できるだろうかと疑問に思っていたが、それにも何の抵抗もなく適応した。よく言えば、人間の感覚というのはとても幅の広い適応能力をもっているらしい。わるく言えば、身体にしみついたスケール感なんていいかげんなものだったんだといわれるかもしれない。
 こういうことをしたいのだがと思ってメニューバーをあちこち探してみると、それらしき機能が必ずどこかに見つかった。ぼくはますますMacとMiniCADが好きになった。

 とはいえ、どんな建築をつくるかを他の人に伝える図面には厳密な寸法で描くことが欠かせない。それはCADには必須の機能であって、それにはどうしたって数字(digit)や文字をキーボードで打ち込まなければならない。マウスをつかう感覚的な入力だけではすまないのだ。
そうなると、マニュアルやマニュアル本が必要になってこの本の登場するというわけだ。

投稿者 玉井一匡 : May 3, 2010 02:59 PM
コメント

そうですね、ブログだってだれかに読んでもらおうというよりは、自分で考えたことを記録として残しておこうというところがあって、それを公開することで自分に責任をもたせるというようなものですね。あとになってから読むと、すっかり忘れていて、こんなこと考えていたんだなと思うことがよくあります。

 リートフェルトの椅子のことも、すっかり忘れていました。そうでしたね。あれは、たしかに3Dの教材としては、とてもいいですね。色といい部材のシンプルさ、それに接合部もわかりやすい。シュレーダー邸も同じような意味で、教材に向いていますね。

Posted by: 玉井一匡 : May 4, 2010 10:16 AM

玉井さん、どうもです。
或る意味、感覚や製図のメソッドを離れアプリケーションに支配された手続きが必要なプロセスは、自分の為にメモしているとも云えますね。
そういえば、リートフェルトのレッドアンドブルー・チェアーは玉井さんが持っていたスケールモデルのパッケージをお借りして、3Dモデリングの事例として作成したものでした。「2D-CAD」の初版が94年で、正式な寸法の解るリートフェルトの図面のコピーを入手したのは98年になってからでした。

Posted by: iGa : May 4, 2010 01:37 AM
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