September 17, 2010

二代目のウエストポーチで思い出す三つの「ウエスト」

WaistPouch1S.jpgClick to PopuP

ちかごろ、ウエストポーチがひどく傷んできてみすぼらしいと言われるようになった。夕方、買い物に出たついでに、前に買った「Coco Carco」に様子を見に行ったら、同じものがひとつ置いてある。ちょっと寸法が大きくなっているので、やや不満に思いながら店の奥さんとおぼしき女のひとにたずねた。
「かたちを変えたんですね」
「いいえ、長い間おなじものです」
そうかなあと半信半疑のぼくは外してみせた。
「かたちが馴染んだんですよ」というから中身を取り出してふくらみをたたいてかたちを整えてみると、うーむ、たしかに同じ寸法ではないか。そうなのか。有り体に言えばかたちが崩れたのだ。並べてみるとずいぶんくたびれている。
「iPhoneが発売される前の年のはじめに買ったから3年弱だなあ、その間に2回修理している」というと、「いえ、もっと経っているはずです」といわれるとそんな気がするがiPhoneの発売を物差しにすると3年のはずだ。
帰ってから前回のエントリー「ウエストポーチ」を開いて日付を確認すると2007年1月。iPhoneは予告してから1年半で発売したことになり、こいつは4年近くつかったわけだ。

 ところで、少年の頃ぼくたちがよく耳にした「ウエスト」というカタカナ語には三種類あるようだった。西部劇や「日劇ウエスタンカーニバル」なんていうときに「ウエスタン」として使われた「ウエスト」、野球でピッチャーがわざと高めにはずす「ウエストボール」、そしてバスト、ウエスト、ヒップと三つ並べてつかわれることの多かった「ウエスト」だ。なんか違うようだとは思っていたが、それらが、westとwasteとwaistという別の英語であるんだということは、英語を習うようになってからやっとわかった。
 カタカナ語として耳にはいると、こんなふうに別の外国語が同じ表記をされてしまうことがあるが、逆に同じ外国語がカタカナ語ではまったくべつの表記をされてしまうこともある。なぜそんなことに気づいたがは記憶にないが、もしかしたらオードリー・ヘップバーンの「ヘップバーン」はヘボン式ローマ字の「ヘボン」と同じなんじゃないかと思って辞書を調べてみたことがある。両方とも「Hepburn」だった。

 ウエストポーチということばを使うたびに、この三つのウエストをぼくは思い出してしまう。「ウェイスト パウチ」というのが近いんだろうが、どのみちカタカナを使って外国語の発音を正確に表記するわけにはゆかないのだから別の言葉だと思ってつかえばいいと思うのだ。

■追記
wikipediaを見ると、おどろいたことにふたりのHepburnは同じ一族だと書いてあった。

 

投稿者 玉井一匡 : September 17, 2010 11:03 PM
コメント

AKiさん
 わたしは、はじめて知ったのが肯定的な意味として刷り込みされましたから、もとはそうでないらしいことを大辞林で知っても、肯定的なニュアンスが前に出てきます。憶えてからまだ日が浅いことばなので自分のことばとしては使えるようになっていませんが、たしかに職人の感覚という雰囲気を感じていいなと思います。
「芸が枯れてきた」なんていう「枯れる」と同じようなつかいかたですね。
古いやつは、それなりの時に使うつもりです。何がどこにあるかというのが変わると忘れ物をしやすいので。

Posted by: 玉井一匡 : September 24, 2010 11:23 AM

玉井さん、お調べいただいてありがとうございます。
きっと正確には、そういう事で……、肯定的な意味合いを持っていない言葉でありましょう。
私が耳にした「やれる」はとても肯定的な言葉で、「馴染む」と同義よいう感じでありました。それは、なにか職人言葉的なテレを感じるものでありました。

Posted by: AKi : September 24, 2010 02:05 AM

AKiさん
 ぼくは、「やれる」ってことばはAKiさんやmasaさんが書いていらっしゃるのを見て知りました。そういええば調べてみたことがないと思い、iPhoneの大辞林で「やれる」を検索してみると出てこない。「やれ」を探してみたら「破れ」と書いてあるのがどうもそれらしく、つぎのように書かれています。カテゴリーに「ことば」を入れているので

やれ2[破れ]
 [動詞「やる(破)」の連用形から]
 ①破れること。また、破れたところ。やぶれ「ー穴」「−縁」「襖のーをつくろう」
 ②印刷の過程で刷り損じた紙。損紙。

しつこいですが、「破る」を開くとこうあります。

やる[破る]
 一(動ラ四)
 やぶる。柵。「むつかしき反故などー・りて/源氏浮舟」
 二(動ラ下二)
 裂ける。やぶれる。こわれる。「ー・れたる草鞋に編笠着て・太平記二」

Posted by: 玉井一匡 : September 23, 2010 02:56 PM

私は「やれる」という言葉を使いたいと思いますが……、昔、私の 356 をメカニックが「……やれてきたね」というのを、誉め言葉として聞きました。

Posted by: AKi : September 23, 2010 10:07 AM

iGaさん
 そうそう。
ぼくは母譲りの外反母趾なので、靴の内側の指の付け根が膨らんで、型が崩れるのですが、こうなってはじめて歩きやすくなるのです。
さらに国家のレベルで言えば、司法制度が検察あるいは国家の権力の外反母趾(美しく言えば目指すくにのかたち)に馴染んできたおかげで、自在に冤罪をつくりだせるというわけですね。

Posted by: 玉井一匡 : September 22, 2010 11:27 AM

そうか、無闇に「崩れた」とか「くたびれた」なんて言ってはいけないのだ。
これからは「生活習慣にかたち(体形)が馴染んだ」とか「都市空間にかたちが馴染んだ」とか言おう。

Posted by: iGa : September 22, 2010 11:01 AM
コメントする









名前、アドレスを登録しますか?