March 16, 2011

「南へ」/NODA MAP

Mjnamihe.jpgClick to Jump to NodaMap 
 野田秀樹の主宰するNodaMapの芝居「南へ」は、2月10日から3月31日まで池袋の東京芸術劇場で上演されている。五十数回の公演すべてが予約満員だったが、こんな状況のために土・日・月の三日間を休演して昨日は4日ぶりの舞台だったそうだが、さすがに2/3ほどの入りだったが芝居の出来はすこぶるよかったという。
そこで、これから残りの公演の売り上げは今回の災害の被害者の支援金として寄付することを野田が発表したそうだ。僕が行ったのは3月9日の夜、地震の2日前だった。

 それというのも、この芝居は「死都日本」と同じく火山の大噴火の芝居だからだ。とはいえ、「死都日本」では噴火そのものが主題であるのに対して、「南へ」は大噴火を目前にすることであらわになる人間たちの奥にあるものを描く芝居である。舞台の文字通りの背景には、火山が大きく描かれている。野田秀樹は、「死都日本」にヒントを得たのにちがいない。

 ここは火山観測所。噴火が近いと言われる目の前の火山の活動を観測している。宝永の大噴火以来300年ぶりの大噴火が起きるかもしれないと口々に言っているから、火山とは富士山のことなのだ。ぼくが観に行ったときも平日というのに立ち見が出る満員だったのは、人気者が出演しているからでもあるだろうが、なにより野田秀樹の芝居そのものへの期待によるものらしい。

 ぼくには、これが初めての野田芝居だった。
伝えたいことはよくわかる。テンポのいい会話と場面のはこびが小気味よい。妻夫木聡は彼らしい魅力をみせ蒼井優にはこれまでに見たことのない側面を発見する。みずからを「天皇」と言う銀粉蝶と「皇后」という藤木孝は二人ならではの別世界の空間をつくり出す。野田秀樹自身は、白い燕尾服のようなモーニングのようなものを着て鳩なのだという。ぼくが見に行ったのは、玉井夕海が出てるからだった。観測所の近くで旅館を営む、噴火予知能力のある三つ子姉妹のひとりとして、おそろいの奇妙なカツラをかぶって舞台を走り回る。前作の「表に出ろいっ」の、野田と勘三郎演じる夫婦の娘役のオーディションを受けたときの縁でこの芝居に声がかかったのだが、CSATには名前がない。

 面白い。野田秀樹の言いたいことはよくわかる。
ただ・・・それなのに感情の奥から動かされないことに不満を抱きながら帰った。
ところが、寝床に入り横になっているうちに
それまで部分的にしかつながっていなかった脳のシノプシスが活性化されたかのように
あちらこちらがつながり始め、ぼくの中の火山が振動を始めた。

 「南へ」とは富士山から南へではない、言いかえれば「北から」ということだ
「天皇夫妻」と「富士山」が象徴する日本に北の「白頭山」からやって来る。
日本人は「北から」来たということなのだろうか
「南のり平」という名の人物が登場する・・・現実の男として・神話の英雄として
「のり平」の「のり」は「詔:みことのり」の「のり」、天皇のことばのことか?
この芝居の初日、2月10日は紀元節二月十二日の前日だった。
「死都日本」の主人公・火山学者黒木は、日本書紀の建国神話と加久藤火山の噴火を重ね、南から北へ進攻したのだという。

この芝居のテーマはアイデンティティである・・・人間の、くにの。
ひとりの人間ひとつのくにの何たるかを証し示すのは、IDカードでも組織への所属でもない、氏名でもない
国家に所属することでも民族に由来することでもない
まして
「星野が好きな人間」であるか「そうでない人間」であるかでもなく
(劇中、渡辺いっけい扮する観測所の所長が星野仙一のファンで、「人間は星野のファンであるか、そうでないかしかない」と言う)
「男」であるか「女」であるかでもない
氏名や写真によってそれと認識されるものでもなく
・・・彼、あるいは彼女自身であるということだ
他者によって限定される何者かではなく、ひとりの人間自身によってつくられる何ものかのことだ。

ところで、MAPとは何だろう。


投稿者 玉井一匡 : March 16, 2011 08:32 AM
コメント

もとせんもんさま
 当面の危機の回避ではなく、本質的な問題の解決すを目指して
「彼ら」ではなく、われわれひとりひとりが「国の責任者」となるべきですね。

Posted by: 玉井一匡 : April 2, 2011 12:26 AM

a citizenさま
 文責は負わないとおっしゃる文を残そうかどうかと迷いながら、せっかくお書きくださったのだから、そのままにしてあります。もともと、原発というものにはこうなる確率は少なくないのですから、文責よりはるかに重い事故責任を全面的に電力会社とその他が負うでしょう。

Posted by: 玉井一匡 : April 2, 2011 12:15 AM

同意します。もうこの件には発言しません。おっしゃる最終結末は国の責任者が考えているでしょう。ある評論家は先の大戦に続く敗戦と。

Posted by: もとせんもん : March 25, 2011 04:38 PM

最近の原発の事故に関する意見です。
(1)歴史専門家としての今度の事故の見通しは??%がチェルノブイリ 級になります。
(2)一市井人としては無事終結することを祈ります。
(3)当事者で責任者であるとしたら(1)の事を考えて公表はしないで対策計画を作ります。

つぶやき:
もしチェルノブイリ 級になれば北関東、東北南部は??年間住めません。小生が当事者で責任者ならこのことを考慮して計画を作ります。
この文章がネットに流れると危険です。したがって文責は負いません。

Posted by: a citizen : March 22, 2011 11:30 AM
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