March 11, 2011

「メビウスの環の仲間たち」:齋藤幸恵個展/ストライプハウス ギャラリー

 mebius.jpg先週の土曜日にうかがったのに、エントリーが会期終了寸前になってしまった。ああ、最終日は3月12日の土曜日、明日だ。
ここ数年、齋藤さんはメビウスの帯をつくり続けていらっしゃる。自由学園の明日館を会場にした昨年の個展は、草木染めの植物と織物や糸をならべてわかりやすくみせるものだったが、「メビウスの環の仲間たち」というタイトルと写真でわかるように、今回は織物でつくられたメビウスの輪だ。もちろん帯をつくってから捻ってつなげたんじゃあ面白くない。織りながら捻るのだ。どうやって織るのだろうかという、当然の疑問が浮かぶ。

「経糸を輪にしておいてねじるんでしょ、張っていない糸はどうしておくんですか?」
「織機で織るんじゃないの、枠をつくって織るのよ。」と、こともなげにおっしゃる。
 ほんとうは、もっと詳しくうかがいたいけれど、織り方についての質問はそれだけにしておいた。大変な苦労をして考え、作業をしていらっしゃるに違いないから、素人があまり具体的にうかがうのも申し訳ないし、それにこちらだって疑問をかかえたままであれこれ考えている方が楽しい。
写真は、八重のメビウスの帯だ。

 会場の写真のように、単色の糸でしっかり固い帯は水平の板の上に置かれているが、天井から吊ってあるやつは複数の色で模様を織りこみ、複数の輪をつないで鎖をつくっている。
「形としては、こっちの方が面白いとぼくは思うけれど、固いから大変でしょうね」
「それは、特別な糸をつくってもらって、横糸にしてるから厚いの。それを糊で固めてある。」
板の上のものは複数回とぐろを巻いている。
「奇数回捻ったメビウスは板の上で、偶数回ひねりはメビウスにならないから一回ひねりのものを鎖にして吊ってあるのよ」
メビウスの輪は複数回というのは、知らなかった。複数回捻るのも大変だが、鎖を造りながら1回ひねりのメビウスの環を織ってゆくのだって、ひどく手間がかかりそうだ。しかも円とストライブの模様を織り込んであるんだよ。

個展のタイトルが「仲間たち」というのは、ねじり方つまり捻る回数がいくつもあり、色と模様がさまざまあるからだ。実を言えば、ぼくは何回も捻るメビウスの帯ができるということを知らなかった。
 齋藤さんは、塚原のカミさんの友人で織り仲間だが、もともとは原子物理学者で反原発のために大学の職を辞した人だから、こんな面倒なことをやりたくなってしまうのだ。ご自分でパンも焼いてしまうが、電子レンジは食べ物の分子の配列に影響を及ぼすはずだからできるだけつかわないなんて、このときもおっしゃるから、そうだよな電磁波の害だけじゃあないだろうななんて思ったのに、ぼくはその後も冷凍の古いメシを電子レンジで温めてしまう。

明日の土曜日が最終日ですが、六本木に行ってみてください。
会場がストライプ ハウス ギャラリーであるのもメビウスの帯とストライプの縁なのでしょう。
そういえば、年賀メールに返事をくださって「幸」の漢字の字源を教えてくださったのは、この幸恵さんです。「禍福はあざなえる縄のごとし」っていうのも、メビウスの輪のようだなあと思って、もとにもどります。

投稿者 玉井一匡 : March 11, 2011 08:09 AM
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