April 15, 2011

政府の資料が「原発廃止は可能」を実証している

Genpatsu2003-1S.jpg2003年の原発稼働状況(クリックで全体を見る)

 先日、光代さんから送られたメールに注目すべき資料が添付されていた。
2003年の月ごとの原発運転状況を示す表だ。原発の事故が生じたので、総点検のために多くの原発が停止したのだ。この表を見ると、東京電力の原発の大部分が休止していたことがわかる。

 にもかかわらず、そのころ停電があったとはぼくの記憶にもないし聞いたこともない。今回の停電の結果くりひろげられた騒ぎは原発の必要性を印象づけるために影響の多いところを狙ったのではないかと思ったが、これはその見方があながち間違いではないことを物語る資料だ。そう考えると腹立たしいことだが、べつの見方をすれば、原発の撤廃は大きな犠牲をともなわずに実現できるという希望を抱かせる有力な資料だ。しかも、この表をつくって公開しているのが経済産業省のもとにある原子力安全基盤機構という独立行政法人なのだから、これまで原発を推進してきた経産省も資料の信用性を疑うとは言えない。

 ただし、この2003年の気候がどうだったかをwikipediaでしらべると、10年ぶりの冷夏だったとされていることは頭に入れておくのがフェアだろう。さらに、8年も前と現在では電気の需要が違うという主張もあるだろう。
 しかし、それらを考慮にいれたとしても、冷房負荷を減らすための技術を開発し、同時に生活スタイルの思い切った改善をすれば、暑い夏でも十分に可能な範囲だ。

 今回の事故は想定外の規模の地震と津波に襲われたからだと東電は釈明する。だとすれば、その「想定」の数値が適切だったのかどうかが、これから問題になるだろう。しかし、日本が地球表面をなす4つのプレートの交差点に位置しているからには、それらが動くのは地球にすれば日常活動の一部にすぎないのだから、いつかはそれが大きな地震をひきおこすことは確実なことだ。適切な「想定」について論議したり東電の責任を追及していては、それだけで何年もかかる。
 日本は特殊な地理的環境にあることを考えてすべての原発をやめるべきだ。原子力の技術者研究者の協力と、全国民を挙げての行動がかかせないことを考慮すれば、時間を無駄にするわけにはゆかない。東電に対する怒りをおさめて、原発の廃棄への協力を条件に免責を与えてもいいのではないか。黒人と白人の対立を納めるという大きな目標のために、かつてネルソン・マンデラが示した寛大さを見習うべきではないか。と言うそばから、東電の社長の会見では国が補償の肩代わりをしてくれるだろうと、はなからたかをくくっている様子を見ると、その思いも揺らぎそうだ。

 さて、この表を読み取ろう。東京電力管区の原発は全部で17基。内訳は、福島第一原発 6基、福島第二原発 4基、柏崎刈羽原発 7基。
・このうち、はじめの4月を見ると、福島第6だけ稼働率46.7%だが、ほかの16台はすべて稼働率ゼロ%だ。
・最も負荷の大きいはずの8月を見ても、東電の17基のうち11基が稼働率ゼロ%、1基は0.4%だからゼロに等しい。残りの5基のうち、いまではぼくたちにもすっかり身近になった福島第一の3号機は52.7%で、柏崎の3基と福島第一の6号機の1基だけが100%を記録している。
・同じ50ヘルツの東北電力からであれば融通してもらっているかもしれないので女川の3基を見ると、1基はゼロ%。余裕がないわけではないのだ。

■この表の出典をたどる(削除される前に)
KibankikoReport.jpg2003年の原発の運転状況

 この資料をつくった原子力安全基盤機構とは、経済産業省所管の独立行政法人である。そこがつくってウェブ上で公開している「原子力施設運転管理年報」に2003年の原発の運転状況を示す表がある。このエントリーの冒頭に挙げた表だ。このページに東電の原発がすべてふくまれているが、その次のページを加えれば、この年の日本全体の原発の運転状況がわかる。 こういう資料はいつ削除されるか分からないので、いまのうちに内容を確認しておこう。

「JESのご紹介」:原子力安全基盤機構公式ウェブサイト「JESのご紹介」をひらく→ここの一番上にならぶタグの中から「広報誌・年報」をクリックする
「広報誌・年報」をひらく:ここで公開している広報誌などが7種類ならぶ→「原子力施設運転管理年報」というタグをクリックする
「原子力施設運転管理年報」:平成16年版から23年版までの年表のタグがならぶ→平成16年版「デジタルパンフレット」を選びクリックする
平成16年版「原子力施設運転管理年報」:年報の表紙にたどりつく。とても反応のいいPDF版の資料だ→46,47ページをひらく
2003年の原発の運転状況:この年の日本の原発の稼働率が月ごとに整理され、表にまとめてある。

■原子力関係組織一覧
 テレビには、いろいろな肩書きの「専門家」が登場するが、とりわけ政府機関とおぼしき組織が似たような名称のものが多くて、よくわからない。よくわからないことが大事なのかもしれないが、こちらは分かりたいので比較のために4つの機関を列挙しておく。
原子力安全基盤機構/wikipedia:経産省傘下 公式ウェブサイト
原子力安全・保安院/wikipedia:資源エネルギー庁傘下 公式ウェブサイト
原子力安全委員会 /wikipedia:内閣府傘下 公式ウェブサイト
内閣府原子力委員会/wikipedia:内閣府の審議会(初代委員長は正力松太郎) 公式ウェブサイト

投稿者 玉井一匡 : April 15, 2011 12:25 PM
コメント

光代さん
 ドイツ政府も、今の首相がいったんは原発容認に方向転換したのを、ふたたび廃止に向けて舵を切りました。日本が、これだけの反省の機会を与えられながら原発を続けることにすれば、これまで原発を続けてきた以上に犯罪的なことだろうし、地震・津波に加えて原発の被害にお会いになったかた、さらに亡くなった方々に対して顔向けができませんね。

 

Posted by: 玉井一匡 : April 19, 2011 02:15 AM

裕吾さん
 伊那谷にも、もうすぐさくらと若い緑の季節がやってきますね。裕吾さんご自身は、すでに太陽と水と風とみどりに包まれて自然に近い生活をしていらっしゃる。生活スタイルを変える必要のあるのは、不必要に高いビルに閉じこもって力ずくの暖冷房で生活しているひとたちですね。

日経ビジネスの記事拝読しました。・・・が、有料サイトには入らなかったので途中で終わってしまったものの、論旨は理解できました。
 ただ、冷戦が終わって非武装中立論が立ち消えになったように、この事故が起きてからは再生可能エネルギー論の元気がなくなったと書かれているのは、すこしちがうように思います。東西二極対立という軸があるから中立というものがありうるのであり、多極化すればそもそも中立ということがなくなるのは論理的に当然のことですから、この問題と比較するのは無理があるでしょう。

 それに、原発をやめることはさほど無理なことではないのに、その事実がこれまで押さえ込まれていたのだということを知り始めました。さらに、津波の被害を受けて家族も家もまちも財産も仕事も失った方たちの苦難を思えば、多少の不便はたいしたことではない、むしろこれまで続けてきた無駄な生活を改めることは、彼らへの支援をいながらにしてできるということじゃないかと思えばなおさらです。
 「反原発」は声が小さくなったのではなく、拳を握りしめて声高に叫ぶことから、おだやかに理性的な選択として語り合えるように成熟したのだと思います。 

 

Posted by: 玉井一匡 : April 19, 2011 01:16 AM

加嶋裕吾様
お久しぶりです!!

私もこれは読みました。
私は ちょっと違う側面からコメントさせていただきますね。
今、考えているのは もっともっとエネルギー消費を抑えた生活で、しかも、快適に暮らす事が可能だということです。
なぜなら 私達は知らず知らずに 不必要なのに過剰に電力を使う事をさせられてしまっていると感じるからです。
そして、その事が自己疎外を生んでいるとも思います。
だから、自信が無くて不安でいつも焦っていて、いつも何かが足りない気がしている・・・・・。

長くなるので端折りますが、もっとエネルギーを使わない生活は 私達の生活を自分の手に取り戻す行為になって行くと思います。
だから、幸せになれると思うのです。
説明、短か過ぎます?
でも、裕吾さんには 言わんとする所を汲み取っていただけると思います。


しっかし、裕吾さんの今の生活、大変な所もいっぱいあるでしょうが、素敵な生活なのでしょうね?
羨ましく感じています。
一度伺いたいです。

Posted by: 光代 : April 18, 2011 09:51 PM

玉井様 光代さん お久しぶりです。僕も、(誰でもですよね、)原子力の危険なことは感じています。しかし、いつも思うのですが、現在の人口増と人々の快適さへの、それぞれの本能的な追求があるなか、一時的に、テクノロジー的にはエネルギーの変換は出来ても、いずれは.....。田舎で薪ストーブであまり電気を使わない生活ですが、それでも、エネルギーがないと暮らせません。都市であの窓のあかない近代ビルの中でコンピュータの巨大電源が通っている中に働く人々はどうしたらいいのでしょうか。あまり一方的に述べるのは好きではないし、どうしたら良いのか考えてしまいます。
そんな中で、日経ビジネスにこんな記事があります。かなり現実的な話のように思います。『原子力発電の代替エネルギーは何か
「空想エネルギー論」を蔓延させないための本質的コスト論http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20110413/219422/?bv_rd
そのなかのこの表はかなり具体的です。http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20110413/219422/?SS=nboimgview&FD=54139247
もしかしたら、各ビルの中にあるボイラーやクーラーでで小規模発電をして、少しでもまかなえればなあなどと想像しますが、そんな考えいかがですか?

Posted by: 加嶋裕吾 : April 17, 2011 04:43 PM

光代さん

 いい資料をありがとうございました。
広瀬隆がでているYouTubeの映像で、休止している火力発電をつかえば十分に原発なしでやっていけると発言していましたが
この表を見れば、それが本当であることがわかります。

 これだけ情報があふれていると、どれを信用すればいいのか判断がとてもむずかしいことですね。
 でも、その情報が不利になるはずのところから出ている情報は、証拠能力があると考えていいでしょう。
その意味で、この表はとても説得力があると思います。
それだけに、そのうちに削除されてしまうことが心配ですから、できるだけ多くの人にこの資料を記憶しておいてほしいと思います。

Posted by: 玉井一匡 : April 16, 2011 01:00 PM

原発をこんなに沢山止めていても大丈夫ってところが 良いですよね。(と 明るく考えましょう)
いっぱい止めても そんなに昔の生活に戻らなかったのですから。


まだまだ 細かくやれば いっぱい節電は出来るでしょう。
更に工夫すれば もっともっと 電力に頼らず楽しく生きて行けるでしょう。エネルギーを使い過ぎずにすむでしょう。
私たちの幸せが 未来を壊しているなんて、何と悲しい事でしょう!!それだけは嫌です。

そして、美しい日本を次からの世代にバトンタッチして行きたいのです。
こんなに恵まれた土地を 汚しては いけませんもの。

今日「風評被害」について書きましたが、「言葉」には 要注意です。
煽られず 騙されず しっかり見据える事に努めなければ、結局は加担する事になってしまいますから。
そうです、何もしない事は 加担していると言う事ですもんね。

Posted by: 光代 : April 16, 2011 09:29 AM
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