May 05, 2011

原発作業員のために「自己造血幹細胞」を保存しておこうという提案

SaveFukushima-50.jpgClick

 福島第一原発の後始末をしている作業員(フクシマ50)の生命をまもるための提案への賛同を、虎ノ門病院の医師団がウェブサイト「Save Fukushima 50」で呼びかけている。
福島原発で作業しているひとたちが、多量の放射線をあびるような不測の事態に遭ったときのために、本人の「自己造血幹細胞」を保存しておこうというのだ。
すこぶるもっともな提案だとぼくには思われるが、関係者や専門家たち日本学術会議には反対意見があって実行に移されないという。
詳しくは上記のサイトに書かれているので、クリックして読んでみてください。

 それにしても、これに反対する人があるとは、どういうわけだろう。
おそらく、反対する理由は *それほど危険な作業をさせていると受けとられたくないこと *作業員だけでなく際限なく多くの人たちに範囲がひろがり東電に巨額の費用が請求され、それが他の責任にも及ぶことを恐れていること。 この2つくらいしか考えられない。患者となる可能性のある人たちのことを優先するべきなのに、会社の利益が先ずはじめに来ているのだろう。自分のいのちを危険にさらして、この島国、地球をまもろうとしているひとたちなのに。

 放射能を浴びると血液をつくる能力が損なわれる。そのときに「造血幹細胞」を血液に入れて血液をつくる能力をたすけ回復させる。しかし人間にそなえられた免疫力は、細菌や他人の血液が入れると、それを侵入者とみなして身体は猛烈な攻撃を加えて排除する。
だから免疫力を抑える薬を投与しなけれならないが、それは同時に感染症に対する抵抗力をなくすなどの副作用が大きい。だから、できるかぎり患者の血液に近いものを使うため、近親者や血液のタイプの適合する人を探さなければならない。しかし、それはとても難しく時間のかかることだ。
 だったら、あらかじめ本人の血液から必要な成分をとりだして保存しておこうではないかというのが、この提案なのだ。

■この提案についての日本学術会議の見解があった
 日本学術会議は公式ウェブサイトで「学術会議とは」と自己規定している。そこでは次のふたつを目的としている。
 ・科学に関する重要事項を審議し、その実現を図ること。
 ・科学に関する研究の連絡を図り、その能率を向上させること。
だとすれば、この提案を却下したことは、これが「実現をはかるべき重要事項」ではないと判断したわけだ。
したがって、PDFで「原子炉事故緊急対応作業員の自家造血幹細胞事前採取に関する見解」を表明して、自家造血幹細胞事前採取は「事前に採血保存することは不要か つ不適切と判断する。」と書いている。そのような危険な事態を招くような危険な環境ではないと言うのだ。
わずかひと月前に「想定外」の地震や津波におそわれたことを、この学者たちはもう忘れたのだろうか。

■追記:5月5日朝刊には朝日新聞でさえ、現場で働く人たちの待遇がひどいという記事を社会面の半分近くをつかい「原発作業 もういや」という大きな見出しで載せている。
ネットでは、すでに伝えられていた情報だが、体育館で寝泊まりをさせられていて滅多に風呂にも入れないとか、自身が津波や地震の被害者である人もいるから、休みの日には避難所にいる家族のもとに帰るのだが東電の社員だということで白い眼で見られるというまったく割の合わない待遇を受けているというのだ。
しかし、これもなぜかAsahi.comにはいっさい記述がない。
■関連エントリー
Save Fukushima 50/aki's STOCKTAKING

投稿者 玉井一匡 : May 5, 2011 08:59 AM
コメント
AKiさん  こういう事態になると、本性が表に出てくるということなのでしょうか、胸をうつ話をたくさん耳にする一方で、このような腹立たしいふるまいがあることも多く知らされるように思います。  腹立たしいふるまいは、おおかた政府や大企業、大マスコミに多いように感じます。日頃からひとを上から見おろしていると、ものごとの価値を、きちんと根源まで見通す能力がそこなわれるのではないでしょうか。  東電は、はじめからずっと、そういう視線と姿勢が一貫しているのは、中央官庁とまったく同じ体質であることを如実にものがたっているのでしょう。 われわれも、東電社員すべてがそういうわけではないのだということを、忘れないようにしないと、現場に残って必死で頑張っている東電社員を幹部たちと同じ眼でみてしまうかもしれないと、自戒します。 Posted by: 玉井一匡 : May 6, 2011 02:05 PM
さきほど、Save Fukushima 50 の「原発作業員およびご家族、国民のみなさまへ」を読みました。とても丁寧に書かれていて、よく分かりました。 今、現在、原発内で厳しい作業に追われている皆さんに「自己造血幹細胞の採取と保存」が、至急行われることを望みます。 しかし、この期に及んで、まだ「安心」「安全」とオウムのように繰り返す為政者、官僚、事業者、学界、マスコミに激しい怒りを覚えます。 Posted by: AKi : May 6, 2011 09:17 AM
Tosiさま  はじめましてようこそ。  じつは、今回のことがあるまで、河野太郎が反原発であることを私は知りませんでした。ホームページなどを読んでいるうちに、いまではこういう信念をもつ人物を首相にし、民主・自民を問わず有志議員を集めて形式上は連合といえる内閣をつくり原発処理を含めたこの事態にあたってくれないだろうかと思うようになりました。原発の輸出を産業の軸のひとつにしようなどと考えていた人間が、それを自己批判もしないまま中心にいるような政府には、とても任せることはできないでしょう。 いまは、政治や経済というレベルの問題ではなく、人間の種のとしてのありようを改める最後の機会だと思います。権力の奪い合いや利益の取り合いにもとずく「政局」などではなく、政治の枠組みを変えてほしいと思います。その意味でも、世田谷区が反原発・自然エネルギーを旗印にした人が区長になったことは、希望のともしびです。 世田谷区に住むひとたちを羨ましく思います。というだけでなく、非居住民として。陰ながら応援しています。そういえば、私は三宿小学校で6年をすごしました。 Posted by: 玉井一匡 : May 6, 2011 12:54 AM
はじめまして。 私も東京新聞や毎日と比較して、朝日にはきびしい見方をとっているのですが、今日の河野太郎氏の談話掲載など、たしかに、ここ一、二週間以来、紙面に若干の変化はみられるようになりました。経団連会長が繰り返す妄言や、そもそも銀行業界の提案をもとにしていて、経営陣も、株主も、債権者も事実上責任を負わされず、料金への上乗せで利用者に賠償負担を押し付けようとする(東京新聞が「大甘」と形容する)「原発賠償機構(仮称)」にもとづく東電存続案に対してさえまだ不満を表明するメガバンクには、本当にうんざりしますが、孫正義氏や城南信金など、脱核エネルギーにむけての肯定的な動きも目立つようになりました。デモや抗議行動もますます活発です。世田谷からの朗報についていえば、黒木実先生が市民派候補の一本化のために立候補を取り下げたことも少なくない意味をもったはずと考えます。秋山東一先生のブログもときどき拝見しているのですが、初期東事務所というのは凄いところであったのだろうとおもわれます。 Posted by: Tosi : May 5, 2011 06:18 PM
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