May 17, 2011

原発を推進した人たち

HiroshimanoGenbaku.jpg
 池田香代子さんのtwitterに、彼女の友人が二日前にブログを始めて「広島は福島に謝らねればならない」とエントリーしたことが書かれている。
どういうことなのだろうかと興味をおぼえて、それを開いててみた。
「残しておきたいこと」というタイトルのブログだ。一昨日に書き始めたから、今日は「広島は福島に謝らなければならない(3)」という三つ目のエントリーだった。
 広島生まれではないが長く広島に住み、原爆についてきかれたときには、相手が子供であるときにかぎらず『絵で読む 広島の原爆』という、すぐれた本をすすめることにしていると、この人は書いている。ところが、この本に添えられた年表の記述に「1955年1月 米下院議員、広島に原子力発電所建設提案」とあったのにおどろいて、ブログを書くことにしたというのだった。

 それというのも、戦後間もないこのときは原爆を落とされた広島を原子力の平和利用の出発の地にしようとしていたのであろうが、広島の市長からもむしろアメリカに働きかけたというのだ。
 現在の文脈で言えば、アメリカ人は原爆を落としたうえに原発まで押しつけようとしたのかと腹立たしく感じる。しかし、この広島市長の考え方は、当時にすれば大部分の日本人の考え方だったかもしれない。原子力の平和利用とされた原子炉というものがどれほどの大きな危険をはらんでいるのかなど、われわれはまったく想像していなかった。鉄腕アトムが10万馬力で空を飛んだり「悪い」ロボットと死闘を演じるときには、日本を原子炉の落下と爆発の危険に曝していたんじゃないかと、僕が気づいたのはスリーマイル島事件の起きたあとのことだ。「アトム」の生みの親・手塚治虫は、その後も原発の広告に積極的にかかわっていた。

 正力松太郎や仲曽根康弘などの政治家が先頭に立って原発を進めたのは、視界の半分に利権をとらえていたにしても、エネルギー確保という問題を解決しようという、当時はまっとうな動機も一部にはあったこともたしかだろう。出発点では同情に値するかもしれない。
しかし、今回の事故が生じた後になってもなお読売新聞はいち早く朝刊の一面に仲曽根康弘の意見を掲載した。そこで彼は、事故を克服して原発をすすめるべきだと主張している。

Koide*Ohashi.jpgプルサーマル原発の是非をめぐる討論(2005)の映像(3/3)

 東大大学院教授である 大橋弘忠氏(システム量子工学専攻)は、原発の危険の可能性について十分に想像できる現代にありながら、あえて原発を推進する論陣を張ってきたようだ。さいわい、2005年に開かれたプルサーマル原発の是非を問う公開討論で、小出裕章氏との論争がYouTubeで見られる。(左上の写真をクリックしてください)この映像は2012年6月2日現在 削除されている
 こういう映像を、きちんと公開できることでYouTubeは世界を変える有力な武器になるだろう。ここでぼくたちは双方の論議そのものの正否を判断できるばかりでなく、周囲の人間を見下したような大橋氏の態度が、科学者としていささか見苦しいものであることも映像によって感じ取ることができる。

 二酸化炭素が地球温暖化の原因であるとする理論が、原発を再び推進する論拠になってきたが、それは原因の一部分に過ぎないとする見方がある。二酸化炭素の影響を否定するわけではないが、長期的に見れば地球は小氷河期からの回復過程にあり温暖化はその要因が大きいとする考え方である。ぼくは、むしろその説の方に理があると思っているが、いまふたたび温暖化についての論議を深化して、YouTubeやUSTREAMで公開してほしい。

■敬称について
上記の記述で、人名に敬称をつけている人がありながら、場合によっては省いている。省いた人は、すでに歴史上の人物であるからであって、好き嫌いや善悪で区別しているわけではない。大橋氏は、実在の「プルト君」としてプルトニウムは飲んでも大丈夫だと上記の討論でも主張し、原子力推進に影響を持つ人であり敬称をつけている。しかし、大橋研究室のサイトには、なぜか研究テーマの中に原子力発電の推進が書かれていない。みずから原発については歴史上の人物たらんとしているのかもしれない。

■地図
玄海原子力発電所/Googleマップ

■討論
プルサーマル原発の是非を問う公開討論/YouTube(1/3)
プルサーマル原発の是非を問う公開討論/YouTube(2/3)
プルサーマル原発の是非を問う公開討論/YouTube(3/3)(上記のものと同じ)
■関連エントリー
「正しく知る地球温暖化―誤った地球温暖化論に惑わされないために」/MyPlace
「二酸化炭素温暖化説の崩壊」/MyPlace

投稿者 玉井一匡 : May 17, 2011 10:00 PM
コメント
 柴田秀利のことは、NHKのドキュメンタリー番組を見てはじめて知りました。NHKにもくちばしを入れていたというのは知りませんでした。正力といい柴田といい、胡散臭い人物を書くのが、佐野眞一は好きなようですね。じつをいえば、ぼくも胡散臭い奴の方がおもしろいと思うところがあるので、佐野眞一の書いた本はけっこう読んでいます。甘粕のことを書いたのも読みましたが、正力のやつはまだ読んでいません。  利権がらみの連中とは違うところがあるでしょうから、もし手塚治虫が生きていたらどう言うか、どうふるまったろうかと思うことがあります。しかし、大橋弘忠には、おまえはこの状態をどう考えるのだと聞きたい、いや、追及したい思いがおさまりません。 Posted by: 玉井一匡 : May 18, 2011 12:44 PM
正力松太郎の懐刀で「毒を以て毒を制す」と原発導入の裏工作をした柴田秀利と云う人物も気になります。日本テレビの役員でありながらNHKの論説委員もしていた男で、まさに『由らしむべし知らしむべからず』と戦後官民一体となってメディアコントロールしていた愚民政策の立役者であります。 ちょっと胡散臭い佐野眞一が柴田秀利の『戦後マスコミ回遊記』について何か語ってる。 http://www.dotbook.jp/magazine-k/shibata_hidetoshi/ Posted by: iGa : May 18, 2011 09:22 AM
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