July 15, 2011

SAY NO TO RACISM:女子ワールドカップと反差別

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 手のひらをかえすというのはこういうことなのか、朝日新聞夕刊を見ておどろいた。
「なでしこ初の決勝」が一面のトップ、社会面は「なでしこ頂点見えた」、もう一枚めくってスポーツ面を見ると「なでしこ 自然体3発」という見出しで、ここもやはりトップという破格の扱いだ。これまで、日本のサッカー協会と歩調を合わせるようにメディアは「なでしこジャパン」を軽んじつづけてきたことを思えば驚くべきことだ。

 ちょうど日本とスウェーデンの準決勝試合前、ならぶ選手たちの前に両チームのキャプテンが立って順番に自国語でメッセージを読みあげた。7月13日はFIFAの「Anti Discriminations Day」(反差別デー)ということで、この日の試合ではみな、このセレモニーがおこなわれたそうだ。録画を繰り返して再生し沢の読みあげたメッセージを書き取った。

「日本代表チームは、人種・性別・種族的出身・宗教・性的趣向・もしくはその他のいかなる理由による差別も認めないことを宣言します。私たちは、サッカーの力をつかってスポーツからそして社会の他の人々から人種や女性への差別を撲滅することができます。この目標に向かって突き進むことを誓い、そして皆様も私たちと共に差別と戦ってくださることをお願いいたします。」沢は、性別による差別が日本には少なくないことを思いつつこの宣言を口にしていたのだろう。この宣言のあと、両チームの選手が並んで拡げた横断幕をかかげた。それには「SAY NO TO RACISM」(人種差別にNO)と書かれていた。

 たとえば、スポニチのウェブ版がつたえるところによれば、サッカー協会が出すワールドカップの報奨金は男子が優勝3500万準優勝2500万に対して、女子は優勝150万準優勝100万という驚くべき格差だ。
 岡田武史がワールドカップで4位以内を目指すと言ったとき、日本の実力はせいぜい30番目くらいだったから唐突に感じてだれも相手にしなかった。その証拠に、ベスト4の目標がベスト16で終わったにもかかわらず、よくやったと言われた。それにひきかえ、なでしこの中心である沢や宮間などは、「なでしこは優勝を目指す」あるいは「優勝します」と公言してきた。すでに彼女たちのチームは世界ランキング4位にあり、技術は一番とされているのだから、その目標は自然なことだ。
 もっとも、男子はいくら高い報奨金を約束したところで払う心配はほとんどないが、なでしこは優勝するかもしれないから安くしておこうと考えた・・・それほど、なでしこを高く評価しているということなのかもしれない。男子の優勝確率は1%もないだろうが、なでしこは大会前でも30%くらいは期待できたのだから。

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中国で行われた前回の女子ワールドカップでは、なでしこは激しいブーイングにさらされたが、ドイツとの試合に負けたあとに「ARIGATO 謝謝 CHINA」という横断幕をかかげて一礼をした。
それに対して中国では賛辞と、賛辞に対する反論があったと伝えられた。いまのドイツ大会では、試合後に選手たちは横断幕を手に場内を一周する。「To Our Friends Around the World Thank You for Your Support」と書かれていて、世界からよせられた震災へのの支援に対する感謝の気持ちを伝えるためだ。いずれも、ぼくはとてもいいなと感じた。日韓関係は、共催したワールドカップを機に大きく好転した。

 今日のNewYorkTimes ウェブ版のスポーツ欄トップでは、Nadeshikoの快進撃のようすと、決勝であたるアメリカチームのメンバーのインタビューに2ページを割いている。アメリカでプレイしたことのある沢を、チームメイトだったFWのワンバックをはじめ多くのアメリカ選手が知っており、手強い相手だと言う。さらに、ハリケーン・カタリナで被害をうけたニューオリーンズ・セインツがスーパーボウルで優勝したように、地震と津波の被害を受けた日本は、特別な力を発揮するだろうと伝えている。
 国の代表チームの対戦するスポーツは、ときにナショナリズムを昂揚させむしろ対立を深めることがあるが、たしかに人種差別を越え国境をやわらげることもできる。なでしこJAPANの活躍と試合後の努力は、きっと力になるだろう。サッカー協会やマスメディアは、すでに男子チームを凌駕したなでしこに対する「差別」をすぐになくすことがなによりのご褒美、いや、沢のことばによる日本のサッカー協会の約束をまもることだ。優勝しても「国民栄誉賞」などで危篤状態の政府の延命などに利用しないでほしいと、ぼくはいまから心配している。

■関連エントリー
「天から降りてきた日本の真奈」:岩渕真奈/MyPlace(このひとの大活躍が見られれば、サイコーなんだが)

投稿者 玉井一匡 : July 15, 2011 07:00 PM
コメント

AKiさん
 もう、2回も再生しました。そのたびに「オー」とか「あっ」とか言います。しあわせな気分です。
が、ドイツの試合を見ようとして準決勝と決勝のチケットを買ったドイツのファンには、ちょっと気の毒な気もします。しかし彼らも、大きなアメリカチームとたたかうチビの日本を応援してくれるのではないでしょうか。ということは、アメリカ以外のすべてが日本を応援するでしょうね。

Posted by: 玉井一匡 : July 15, 2011 08:27 PM

やぁ、玉井さんがにこにこしているだろうと思いながら、私めも眠い目をこすりながらテレビを見ていました。月曜日の朝が楽しみです。

Posted by: AKi : July 15, 2011 07:57 PM
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