August 04, 2011

なでしこの宮間は、いいやつだ

NadeshikoMiyamaSoloS.jpgClick to PopuP:FIFAウェブサイトから

 なでしこの選手たちはそれぞれに個性的で、一途である。
長い間女子サッカーを引っ張ってきた澤については、もう言うまでもないが、宮間の冷静な判断や正確なプレイと人柄はかけがえのない存在だ。 なでしこがPK戦に勝った瞬間、選手が横一線からキーパーの海堀めがけて走り出そうとする瞬間、だれもが前傾姿勢でいる中でただひとり、ニコニコして立っている選手がいる姿をとらえた録画があった。このときに遊びに興じるこどもたちをうれしそうに見ているお母さんのような表情を浮かべている宮間が、喜びの輪に加ったのは、だいぶ後になってからだった。このひとは、そんなことをしても振舞いがすこぶる自然なのだ。

NadeshikoMiyama-Solo2.jpgClick→ソロが宮間のことを語るYouTubeの映像
 そのとき、彼女はただひとり方向を転じてアメリカチームに向かい、戦い終えた相手の選手たちにことばをかけていたのだった。かつて、男子チームがフランスワールドカップの出場を決めた試合のあと、中田英寿がただひとり歓喜のチームをはなれ、芝に腰を下ろしていたのをぼくは思い出した。解き放たれた歓喜の場にあって、ひとり冷静でありつづけられるということは驚くべきことだ。それが、試合中にも冷静な状況判断として役立っているはずだ。
 しかし、中田はそれ以後もチームで孤立し続けたとされているのだけれど、宮間はチームメイトと喜びをともにしながら、敗けたアメリカの選手たちの気持ちを思いやっていたのだ。そのときの宮間のことを、アメリカのゴールキーパー、ホープ・ソロがアメリカのテレビ番組で語っている映像がYouTubeにある。ふたつ目の写真をクリックすれば映像が開いて、ソロの言葉によって、宮間がなにをしにアメリカチームに向かって行ったのかがわかります。
 そういえば、もうひとつ思い出す場面がある。グループリーグの第一線のニュージーランドとの試合で宮間はフリーキックで勝利を決定づけるゴールをきめたのだが、そのとき、選手たちが大喜びで駆け寄る中で当の宮間はすこぶる冷静だった。が、いつのまにか彼女はベンチを目指し全力で駆け寄って控えの選手たちとハグで喜びを分かち合っていた。

 日本の首相や外務大臣の言動が外国の人たちのこころを動かすことは滅多にないが、なでしこたちは、こんな形でもそれをやっていたのだ。だから、首相が偉そうに国民栄誉賞などを贈り、じぶんたちの人気取りに役立てようなどというのは、なんともおこがましい話ではないか。

投稿者 玉井一匡 : August 4, 2011 09:00 PM
コメント

shinさん
 そうですね。 しかし、なでしこには、昭和以前の勤勉実直な日本人とは違うところもあります。
 かつての日本人の大部分は、アメリカについてもヨーロッパについても、本や映画を通じてしか知りませんでしたし、実際にでかけた海外駐在員の多くは日本人村に依存していたことでしょう。しかし、なでしこの半数以上は、アメリカやドイツでプレイした経験があるか、いま所属している、あるいはこの大会が終わったら移籍するという人たちであり、海の向こうのプレイヤーたちがどのようなプレイをするのか何ができ何ができないかを、身をもって知っているということです。

 ソロのムービーを見てわかるとおり、あの肩幅で180cmをゆうに超える身長、陸上競技の選手のような足の速さをもつうえに、あの美貌です。それだけで降参してしまいそうですが、にもかかわらず、なでしこたちは自分たちに何が可能であるかを見極めていたのでしょう。「アメリカのチームの練習でパス回しをすると、5回ぐらいしかつづかない」とインタビューで澤が言っていました。技術では絶対に負けないという裏付けの上に、チームとしての戦術が築かれ、それを最後まで信じ、ドイツの監督をして女子サッカーの未来形だと言わしめたのではないでしょうか。
 じつは、あのスタイルは、日本のではなく、3.11以後の地球のめざすべき方向なのではないかと思うのです。


Posted by: 玉井一匡 : August 6, 2011 05:29 PM

玉井さん、そうかもしれません、日本人がとうの昔に忘れたしまったこと
製造業もサービス業も想像力とチームワークと機敏な発想で、日本を今の位置までひっぱてきたわけですよね
言われてみると「なでしこ」って、そういう見劣りする日本人でも頑張れば成果出せると....昭和の、日本の、あれなんですね

Posted by: shin : August 6, 2011 03:41 PM

どうもshinさん
 今後ともなでしこリーグのご贔屓のほどよろしく。
なーんて、身内ヅラをしちゃって・・・。彼女たちは、フツーの生活をしながらサッカーをしているので、地に足が着いているし、とてもいい感じです。身長や足の速さなどではるかにまさる人たちを相手に、ボールを扱うテクニックと切り替えの早速さや想像力とチームワークで上回るという、この人たちのありかたは、サッカーに限らず日本の目指す方向ではないかと思うのです。

Posted by: 玉井一匡 : August 6, 2011 01:46 AM

ナデシコの活躍には大いに溜飲を下げましたが、実のところナデシコ全くしりません
したがって宮間選手も玉井さんのここで、ソロもはじめて知りました
ただこの記事でよく分かりましたよ、宮間は中々いい奴でナデシコは多様性に溢れている個性的な集団じゃないかと、そうじゃなきゃ世界一なんて無理なんだろうと....そんな風に感じたわけです

Posted by: shin : August 6, 2011 12:20 AM

iGaさん

 宮間のゴールも澤のも、いずれもアウトサイドに当ててボールの方向を変えただけの一瞬のプレイだったので、魔法のようでした。
Numberでは、巻頭の記事を書いた金子達仁が、いつもの批判を忘れたかのようにありったけの賛辞を送り、アメリカとの決勝を、男子の大会も含めてワールドカップ史上最高の決勝戦だったとまで言っています。

 睡眠不足と疲労をなだめながら、つまらない番組に出てつまらないことをさせられることも、女子サッカーを認知してもらうために必要なことと思いながら彼女たちはこなしているのだろうと思うと、けなげに感じました。
 が、ドイツでも女子リーグはやはり恵まれない環境にあると安藤梢が言っていますが、大会前には女子サッカーの人気を盛り上げるためにプレイボーイのグラビアにヌードで登場させられたそうです。上にあげたソロとワンバクが出ている番組でも、後半ではドアを開けて走るタクシーにボールを蹴り込むなんていう、つまらないことをさせられています。

 とにかく、手を抜かない女子のサッカーは、男子のゲームよりもむしろ面白いと思うところが多いですね。かつて、テニスでも女子は男子の下に置かれていてキングやナブラチロワが戦っていましたが、いまでは無条件に、男女が同じに並べられるようになりましたから、サッカーもそうなるときが来るかもしれませんね。

Posted by: 玉井一匡 : August 5, 2011 02:46 PM

決勝後半の宮間の同点ゴール...あの頭脳的なポジショニングから生まれたゴールは...長い間...男子A代表に求めていたものでしたね。

帰国共同記者会見最後の質問者・サッカー・ジャーナリストの大住良之も東京新聞のコラム「サッカーの話をしよう」で『女子サッカーは美しい』と選手の思いの純粋さを讃えてました。
それに較べ、ヴァラエティショーに駆り出される選手たちへの質問の下劣さを河合薫(気象予報士)が日経ビジネス・オンラインで『なでしこ報道で露呈した“ニッポン”の未熟な女性観 男性社会の自覚なき“刃”が女性を働きにくくする』と書いてますが、同感です。「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」で検索すると読めます。

Posted by: iGa : August 5, 2011 11:20 AM
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