August 31, 2004

トショカルチョ

simpatico.jpg 図書券をかじって屈折した喜びをみせる優勝者
 日韓ワールドカップにつづいて、今回のオリンピックでもサッカー好きたちに声をかけて1人1000円ずつの図書券を賭ける「トショカルチョ」を開催したのだが、今日、優勝者に賞品が贈られた。
図書券を賭けるのは、図書券麻雀は合法だと警察幹部の麻雀をかつて肯定した故事によるのだが、ほかにもさまざまな利点がある。
1)参加費を普通の郵便で送ることができる。 
2)500円券なら1000円札の2倍の枚数になる 
3)図書券の方が現金よりも使いでがある。 
4)日本の出版文化に貢献する。 
5)図書券に提供者の氏名を書いておくと、使うたびに勝利のよろこびを再現する。

グループリーグとトーナメントに分けて、つぎの方法によるポイントの合計の最も多い人がすべての図書券をもらう。
*グループリーグ:日本の勝ち負けを、3点差以上、2点差、1点差の勝ちと負け、それに引き分けという7段階にわける。ぴたりと当たれば3ポイント、勝ち負けだけ当たれば1ポイントを得る7者択1
*トーナメント:1位、2位、3位のチームを予想して、1位があたれば4ポイント、2位で3、3位は2ポイント。
Excelで作った組み合わせ表に計算を組み込んで、各試合の得点を記入すれば投票者のポイントが自動的に出てくるようにしたワークシートを作ってある。因みに、主宰者あるいは胴元には何の特典も利益もない。

 今回はあまり声を掛けなかったので参加者は10人だったから、優勝者は一人のばあいでも図書券10,000円分を手にするにすぎない。もともと、ゲームを見る楽しさを増そうという目的から始めたことだから、多くの参加者は当てようというよりは、希望を込めて投票する場合が多い。
それでも、対戦表を見ながらすべてのゲームの得失点と勝ち負けを考えながらシミュレーションをする。得失点差が予選リーグの突破を決めることがあるのだ。
 10人のうち9人が日本の予選突破に賭けた。しかしサッカー通にとっては、日本の1位予選突破や優勝という予想は、はずかしくてできないし、大本命のアルゼンチン優勝もおもしろくないと考えたにちがいない。彼は日本が1点差で全敗、ダークホースのマリが優勝、2位韓国、3位コスタリカという予想をした。

 結果は、おたんこ那須の大ミスのおかげですっかり調子をおかしくした日本が予選敗退。サッカー通は日本の負けたはじめの2試合だけで3ポイントずつ合計6ポイントを取った。トーナメントでは1ポイントも取れなかったが、そのまま6ポイントで逃げ切った。石上申八郎氏である。
 ぼくは0点。新しい参加者iga氏は1点に終わった。ある参加者からは「玉井さんはドーピングテストの必要がありませんね」 というメールを頂戴した。
 しかしシドニーオリンピックでは、ぼくは1位となって20枚の図書券を獲得したことを付け加えておきたい。

投稿者 玉井一匡 : 09:18 PM | コメント (0) | トラックバック

August 24, 2004

366日空の旅

366days.jpg
 366日空の旅/写真:ヤン・アルテュス・ベルトラン/ピエ出版 3990円
 Earth from Above: 366 Days/Yann Arthus-Bertrand
 厚さ6センチほどもある本は、手に取ればズシリと重い。1月1日から12月31日までの毎日に1ページずつをつかった航空写真と解説が見開きになっている。表紙をみてざっと中に目を通すと、タイトルも楽しそうだから、うっかりすると美しいだけの本だと思ってしまうが、内容はさらに重い。10 年の時をかけて作られたという。

 美しい自然や人間の構築物を空高くから撮した写真とならんで、人間によって自然が蹂躙されたり、弱者が他の人間の犠牲になっていることを知らされる写真は、美しいだけに、なおのこと重く感じられる。 その中に明治神宮を飛行機から撮った写真がある。そこには「日本人は自然を神とする宗教を持っている」ということが書かれていたり、別のページには、日本では都市化が進むけれど、外で忘れ物をしてもちゃんと持ち主に戻ってくる、安全な社会でもあるというようなことも書いてある。写真家はフランス人だ。フランスではまだ日本のそういう側面を評価してくれているらしい。 ニュース23だかニュースステーションだったか、かつてテレビのニュース番組に出演したビヨークが話していたことを思い出した。「日本にはシントーという宗教があって、自然を神として大切にするそうですね」と。
 
 ここにはしかし、好意的な誤解がある。明治神宮が神としているのは自然よりもむしろ天皇であって、それが作られた時代には、それまであった多くの土地固有の神社をなくして神々の中央集権化をはかったこと、近頃は凶悪な犯罪が著しく増えていることも、ぼくたち自身は知っている。それどころか、日本と周囲の国々で徴用された軍人に加えて敵味方の民間人さえ大量に死に追い込んだ人間も神として崇める神社があり、首相がそこを公式に無批判に参拝する。
 この本の著者やビヨークの好意的な誤解は、その背後にもっと広く日本に対する好意的な誤解があるためなのかもしれない。たしかにそれは誤解であるにせよ、かつての日本はそうであったことは事実だし、すくなくとも、自然を神のように大切にすることが人間の生き残る唯一の道であることは間違いない。

投稿者 玉井一匡 : 09:12 PM | コメント (3) | トラックバック

August 19, 2004

カメと高速道路

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高速道路のサービスエリアには、端の方にゆくと木蔭にベンチやあずまやの設けられた一画がある。
ぼくたちは車をおくと、そこをめざした。5組ほどの人たちが昼飯を食べていたが、だれもが犬を連れていた。ぼくたちも愛犬cooを同伴していたから、みんな同じことを考えるものなんだとつまらない感心をして娘と一緒にサンドイッチを食べ始めた。やがて30mほどはなれたところにあるあずまやと車の間を、大きな荷物をかついで何度も往復するおじさんがいるのに気づいた。プラスチックの箱を、つぎに丸い大きな固まりを肩にかついで何度か運んだ。目をこらすとそれらは亀である。ゾウガメにちがいない。数人の人がその廻りを遠巻きにしはじめる。

  見に行きたくて、ぼくは 残り少なくなった昼飯を急いで終えると、近づいていった。まちがいなくカメだが、cooが食べちゃったりするといけないから、引き綱を娘にあずけて近づいていった。60〜70㎝のやつが2匹、小ぶりのがプラスティックの箱の中に4,5匹いる。奥さんが座っていたので、さっそく質問する。「ゾウガメですか?」
「ゾウガメじゃないけど、陸亀です」
「どこからきたんですか?」
「原産はアフリカですけど、アメリカで養殖されているんです」
「もしかする、やつらは食用に養殖してるんですか?」
「いえ、ペット用らしいです」
「オムツしてますね」
「大きいのが車でやっちゃうと大変なんです」(車は小型のミニバンだった)
「何歳くらいなんですか?」
「10才くらいです」
「10年でこんなでかくなるんですか。この甲羅の年輪で年齢がわかるんですか?」
「こんな小さいときに買ってきてから10年くらいたったんで」と、大きめのアンパンの大きさを手で示す。・・写真で数えてみると、甲羅の年輪は10本くらいだった。
「小さいのは、こっちの大きいやつのこどもですか?」
「いいえ、みんな、買ったんです」

 かつて、事務所でグリーンイグアナを飼っていたことがある。爬虫類は生きているかぎり大きくなるんだときいたことがあったから、1mくらいになって部屋の中を歩き回るのを楽しみにしていたのに70㎝ほどのときに死んでしまった。ミヒャエル・エンデの「モモ」に出てくるゾウガメ:カシオペイアのようなやつが部屋を歩いたらすてきだろうなと思っていた。
しかし、サービスエリアでの大荷物、ブルーの紙おむつ、白菜の固まり。・・・・・スローライフと現実世界を折り合わせるのは、なかなか大変だ。
 *聞き忘れた質問が、まだいくつかあった。1)名前を呼んだら来ますか?  2)いくらで買えるんですか  3)卵がいっぱい孵ったらどうするんですか  4)何歳ぐらいまで生きるんですか 

投稿者 玉井一匡 : 03:34 PM | コメント (0) | トラックバック

August 05, 2004

掃除ロボットたち

roboQ.jpg ロボQの腹側

7月はじめ、塚原にメールを送り、オーストラリア製7800円のロボQという掃除ロボットのサイトのURLを貼り付けた。翌日に電話すると、「買えという意味だと思って注文したよ」という。気の早いやつだ。別のサイトでは15,800円で売っている。値段のわりには出来はいいしなかなか働くよというので、先週末にやっと見に行ってきた。

 フナムシのように動く。12時間充電で1時間動くことになっている。吸引力はあまり強くないので、米粒のようなものはとれない。しかし、犬や猫の毛のように、取りにくいが軽いというゴミには向いている。多少はうるさくても留守中に動かしておけばいい。 動きは、部屋の中央に置くと螺旋形のルートを動く。壁やモノに先端のバンパーがぶつかると方向を変えるというルールに従っているようだ。敷居ほどの段差があると上らないが、上段から下には落ちる。
 裏返して腹を見ると中央に細長い吸い込み口がある。左右にプラスティックのクシのようなものがあって、それが回転してゴミをあつめる。吸い込み口の後方には拭き取り用のシートを付けてふき掃除まですることになっている。ほかの製品とくらべると移動スピードが遅いというが、おかげでエネルギー消費が少ない。しかも、ゆっくり移動することが吸引力の弱さを補うことになる。
 他にも、このごろ有名になってきたアメリカのiRobot製のRoombaは39800円、この サイトには他にもかわいいロボットがいる。東芝が販売するエレクトロラックスのトリロバイト(trilobite)は30万円近い。
少なくともテスト用にはいい機械だと、塚原は満足しているようだ。はじめは「おれが5000円で引き取るよ」というと乗り気だったが、ちかごろはぼくに他の機械を買うようにすすめるようになった。

投稿者 玉井一匡 : 10:54 PM | コメント (0) | トラックバック

August 03, 2004

Be-h@usの本

Be-h@usbook.jpg 日曜日に「Be-h@usの本」が届いた。

 7月に行われた那須の殻々工房の見学会で、よいイエとは「精霊のやどるいえ」だという吉村順三のことばについて秋山さんが話した。それまでにもきいたことはあったが、ぼくはそのたびに羨ましく、しかしすがすがしく感じていた。
 かつて吉村順三がいたころ、芸大の建築科の学生もOBも、だれもが彼を尊敬し愛していたが、秋山さんはその思いがひときわつよく深かったように思う。ぼくは、敬愛というにふさわしい師に大学で出会うことはなかった。そのころ多くの建築家は、神の住む家を作ろうとしていたにちがいない。そして、彼らがいつのまにか、みずから神になろうとさえしていたときに、吉村は精霊にすみついてほしいと望んでいたのだ。それを吉村順三自身の語る言葉として受けとり、身体に染みこませることができた秋山さんが、ぼくはうらやましかった。

  精霊は、ヒトの世界とトポロジカルにつながるもうひとつの世界のあいだを自在に行き来する。そして、自分ではそこに行くことのできない人間に、もうひとつの世界を伝える。近代の建築はひたすら「空間」をつくろうとしていたが、吉村順三は建築を身の丈にあうモノとしてとらえながら、モノたちのむこうのゆたかな世界へ連れて行ってくれる精霊を、そこに住まわせようとしていたのだ。

  秋山東一は、オモチャと道具の、背後にゆたかな世界をひそませたものが大好きだ。オモチャと道具は対極にありながらそれぞれに純粋である。オモチャはオモチャ自身である以外に目的をもたないゆえに純粋であり、道具は、それぞれに定められた目的のためにのみ存在するゆえに純粋である。ヒトのつくるモノは、オモチャであるか道具であるかのいずれかでしかない。そしてもうひとつ、そのいずれでもあるもの。
 オモチャと道具のいずれでもあり、しかもゆたかな世界を背後にかぎりなく詰め込んでいるのがアップルコンピューターだった。秋山東一がMacを道具としてオモチャ箱として使いながら、モノとして洗練された住宅キットBe-h@usをつくることになったのは、こうしてみると必然だったように思える。ただし、精霊がすみついてくれるかどうかは、君たちしだいだよと、住み手に作り手に設計者に秋山さんは言いたいにちがいない。

 しかし、「Be-h@usの本」には、すでに精霊がすんでいる。

投稿者 玉井一匡 : 05:45 PM | コメント (1) | トラックバック